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第8話 怪異の呪いと彼の秘密
これはシリーズ「レコード・リライト!」の第8話です。今までの話を読んでからお読みください。
何を言われたのかよくわからなかった。
カイイ? っていうのはよくわかんないけど、呪い?
常識なら到底信じられないようなことだ。
前までのあたしなら、冗談でしょって絶対笑い飛ばしてた。
だけど、呼び出されたら目の前が真っ暗になったり、みんなに自分のことを知らないと言われたりした今、笑い事にはできない。
でも、すぐには信じられないのは確かだ。
「えっと……カイイって、何?」
影宮は目をむいた。
「そんなのも知らないのか?」
「馬鹿にすんなっ。で、教えてよ。カイイって何なの?」
影宮は呆れ顔で盛大にため息をつく。
めちゃくちゃ馬鹿にされてるみたいで、とても、とても、ムカつく。
瑠璃乃にそういう顔されるのと、あたしを半ば強制的にここに引っ張ってきた、よく知らん意味不明男子の影宮にされるのとでは違う。
いくらあたしの成績が悪いからって、その態度はやめてください。つーかそういうオカルト系?(多分)の言葉って成績関係ないでしょ。
あたしはむくれて頬を膨らませる。
「あのな、怪異っていうのは、|妖《あやかし》みたいなもんだ。いや、お前は妖も知らないか。つまり、妖怪だよ。簡単に言うとお化け。そんな生やさしいもんじゃないけどな。漢字は妖怪の怪に異質物の異だ」
すごーく舐められてる気がするけど、影宮の易しい説明のおかげで、あたしも理解できた。
あたしは、お化けにヤバい呪いをかけられたと。
ありえないような話だけど、このおかしなことの連続は、確かにそういう事じゃないと説明がつかないかもしれない。
「あたし、呼び出しの手紙をもらって旧校舎に行ったら、急に目の前が真っ暗になって倒れたの。その時に、みんながあたしのことを忘れちゃう呪いをかけられたってこと?」
あの暗すぎる闇を思い浮かべただけで、身震いがする。
あれは、怖い。
何よりも、怖かった。
「だから、教室に来なかったのか。……知ってたか? みんながお前のことを忘れた、ってだけじゃない。|お前の存在自体が無いことになっていた《**・・・・・・・・・・・・・・・・・・**》んだ。今朝俺が学校に来たら、お前の席がなくなってた。変だと思って見て回ったら、席だけじゃなくてお前が一学期に書いた自己紹介カードも、下手くそな美術の絵も、全部、消えてた。それなのにみんな、何も違和感を感じてないみたいだった」
存在自体が。
無いことになっていた。
その言葉の意味を理解した瞬間に、あたしは体の芯までもが冷たくなった。
それって、みんながあたしのことを忘れるよりももっともっと、恐ろしいことじゃない?
「でも、直接そういう呪いをかけた訳じゃないような気がするんだ。お前にかかってるのはかなり強い呪いだが、そんな呪術を使えるのは上級の意思を持ってる怪異だけしかいない。合理的な奴らが、こんな意味不明な呪いをかける利点が俺にはよくわからない。どちらかというと、|もっと強い呪いが弱められて今の呪いになった《**・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・**》、って感じがする。この虫眼鏡じゃ呪いの詳細までは見えないから、あくまで憶測だけどな」
あたしは頭を高速(光速)フル回転させて影宮の難易度が高くなってきた話を整理する。
あたしにかかってる呪いは、もっと強いやつの弱くなったバージョンってこと?
今のよりもっと強い呪いってどんなの?
背筋が凍る。
そして、ふと、疑問が浮かんできた。
「ってかさ、何で影宮は呪いとか怪異とか、そういうのだってわかるの? 霊感とかある?」
「いや、違う。多分俺には霊感はないな。この虫眼鏡のおかげだ」
影宮が掲げてみせた呪いが見えるっぽい虫眼鏡。
絶対そんなの常人は持ってないよね?
「そうじゃなくてさ、何でそんなの持ってるのかってこと」
「ああ、そうか」
影宮はあっさりと言った。
**「俺が、怪異警察だから」**
終わり方が前回とおんなじようなのになっちゃったのが納得いかぬ