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パラレルワールドに家出中っ!(6)
ウミユリカ
私は軽い足取りで1年4組の靴箱まで歩いた。
履いていた水色のスニーカーを靴箱になおして、かわりに学校で指定されている赤色のスリッパを履く。1年生は赤色、2年生は黄色、3年生は青色のスリッパだ。
ペタペタという音をたてながら階段を上がる。1年生のクラスは3階にある為、かなりこの階段で疲れる。3年生の教室は2階にあるのに、どうして1年生の教室は3階なのだろう。
生徒とも先生とも廊下ですれ違わない。先生はまだ職員室にいるのだろうか。
少し息を切らせながら階段を上り終えると、左に曲がって1年8組まで続く長い廊下を歩く。4組だからまだいいけど、8組だったら階段は長いは廊下も長いはで、朝からイライラしながら授業を受けることになりそう。
そんなことを想像しながら4組の教室の前まで辿り着く。ドアの鍵はあいていた。
ガラガラガラッと大きな音をたてながら教室のドアを横にスライドさせる。
流石にまだ誰もいないようだ。
誰もいない教室なんてはじめてみた。
なんだか新鮮な気持ちで1番後ろの自分の席に座る。なんだか前より視力が悪くなっているような気がする。先生に言って、次の席替えは前にしてもらおうか?私がもといた世界なら絶対そんなこと言えないけど、ここはパラレルワールド。きっと先生もクラスメイトも優しいのだろう。
そんな私の予想は的中した。
6分ほど経つと、クラスメイトが1人入ってきた。
あの人は、梨田(なしだ)さんだ。梨田さんはクラスの学級委員を務めるみんなには活発で優しい女子だ。私のもといた世界だと、私にだけは陰口をたたいたり、わざとぶつかったり態度が悪かったけど、、、
私の存在に気づくと、驚いたのか目を見開く。
「かなたちゃん、すっごく今日は登校はやいね!びっくりしちゃった!」
私は嬉しかった。梨田さんはみんなのことは○○ちゃん、○○君と呼ぶけど、私のことは小川さんと呼んでいたから、、、
梨田さんの名前はたしか梨田 琴音(ことね)さんだったと思う。一度友達みたいに話しかけてみようか?
「えへへ!琴音ちゃんも、毎日朝こんなにはやく学校に来てたんだね!」
琴音ちゃんなんて馴れ馴れしく呼んだけど、梨田さんは嫌な顔1つせず、むしろそう呼ばれて当たり前かのように、
「それほどでも、、、ある!」
と言った。
それからやってくるクラスメイトも私のことを「かなたちゃん」、「小川さん」というふうに呼んでくれた。「小川」や「小川菌」なんて誰1人言わなかった。
私もみんなのことを○○ちゃん、○○君と呼んだ。
しばらくして、朝のホームルームがはじまる。先生もいつもより明るくて、とても居心地がよかった。でも、クラスメイトの池辺 遥(いけべ はるか)という名前の男子だけは私や他のクラスメイトのことを不審そうにみていた。
1時間目の授業が終わったら、一度話しかけてみよう。私はそう決意した。