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パラレルワールドに家出中っ!(3)
ウミユリカ
パラレル電車の表記が斜体だったり強調だったり何度も変わってすみません!"パラレル電車"で決まりにしようと思います!
「お客様、そろそろお降りください。」
、、、なんだろう。
また男の人のような機械が喋っているような無機質な声がぼんやり聞こえる。
そこでハッと目を覚ました。
いつのまにか寝てしまっていたようだ。
目を擦って、あたりを見回す。
誰も座っていない椅子、静かな空間。誰もいない車内。
男の人のような機械のような声は耳元で聞こえたような気がしたけど、、、
「アナウンスで喋っていたのかなぁ?」
リュックを背負って、とりあえず外に出ることにした。
このままここに居続けたら、何が起こるかわからない。
開いているドアをくぐり、駅のような場所に降りる。
駅のようなというか、完璧に駅だ。また誰もいない駅のようだ。
「え。」
私は2メートル先ほどにある看板に釘付けになった。
ゆいのむらえき
結野村駅
何度もその文漢字とふりがなを読む。
結野村駅は、まさしく私が"パラレル電車"に乗った場所の駅名なのだ。いつも使っている駅の名前。
「ど、どういうこと?」
"パラレル電車"は確かに結野村駅から遠ざかっていっていた。
それなのに、どうしてまた結野村駅にいるのだろう。
一周して帰ってきたのだろうか?
でも、終点についた時にあの機械の声の男の人に呼ばれると思うし、、、
私は"パラレル電車"に一度戻ろうと後ろを振り返る。
驚いて、目を見開く。
そこに"パラレル電車"はなかった。
いつもの普通の電車がそこにとまっていた。
ごく普通の、行き先が表示されている電車。その電車の中に人がたくさん座っている。
いつのまにかまわりにも人が10人ほどいた。
誰もいなかったはずなのに。
そしてその止まっている電車に乗り込んでいく。
しばらくして、電車が発車する。
また人がやってくる。
そんな当たり前の光景を私は、信じられないような目でみた。
もしかして、"パラレル電車"なんて電車は最初からなかったのかもしれない。全部、私の空想だったのかもしれない。
時計をみる。
16時28分。
私が"パラレル電車"に乗り込んだ時と同じ時刻。
そこで確信した。
"パラレル電車"は全部私の空想で、ほんとうの私は少しの間ここで電車を待っていただけだ、と。
空想とは思えないほどリアルだったが、そうとしか考えられない。とりあえず帰ろう。そう思い、使わなかった切符をポケットに入れて、駅を出た。やっぱり、私が住んでいる、私の知っている、結野村区の風景。
今日は疲れてるみたいだし、親も幸い家にいないはずだから、家出は明日にしよう。
私は自分の家に向かった、、、
10分ほど歩いて、自分が住んでいるマンションまで着く。
私の家は703号室だから、エレベーターを使う。
7階に着いて、703号室の前に立つ。
リュックから一応持ってきた鍵を引っ張り出して、ドアの鍵を開けた。
小さくギィィィという音を鳴らしながら、ドアが開く。
私は言葉がでなかった。
玄関の先に、私のお母さんがいた。
今日は仕事のはずなのに。
どこに行ってたのかときっと怒鳴られる。
「ただいま、、、」
小さくそう言い、覚悟を決めて、玄関に入る。
お母さんが私をじっとみつめる。
「ごめんなさ、、」
怖くて、先にごめんなさいを言おうと思った。すると、
「あら、おかえり!かなたちゃん!」
私のお母さんとは思えないほど明るい声で、私の名前を呼んだ。
ここは本当に私の家なのかと疑う。
お母さん?は続ける。
「今日は夏帆(かほ)ちゃんと遊ぶ約束をしてたのに、こんなにはやく帰ってきて、どうしたの?」
「かほチャン??」
「ええ。同じクラスの仲良しの子なんでしょ?」
かほちゃん。かほ、夏帆、、、
お母さんが言っている夏帆ちゃんとは、多分、いつも私をいじめてくる植(うえ) 夏帆のことを言っているのだと思う。クラスでかほという名前の人は一人しかいない。
私はわけがわからなくなった。
優しすぎるお母さん。
私と仲良しの植 夏帆。
自分は異世界にいるような気分になった。