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第三章 ー改めましてー
はぁ……またあいつが余計な厄介ごとを抱え込んできました。
みなさん、こんにちは。無頼の尻ぬぐいに日々胃を痛めている馨です。
今回舞い込んできたのは、お偉いさんの娘さんの捜索依頼。
手がかりは名前すら分からない似顔絵一枚だけ。
「馨の得意分野だろ?」なんて本人は気楽に言っていますが、人探しがなぜ得意なのか……
その理由は追々分かります。
それでは、呆れ半分でお付き合いください。
第三章 ー改めましてー
「で? そのお偉いさんから聞いた話を、一から全部吐き出しなさい」
腕を組み、冷ややかな視線を送る馨の前で、無頼は正座させられていた。
正座の脚の痺れに耐えかねてモジモジと身をよじるが、馨の眉間にはシワが寄ったままだ。
「いやね? 俺だって最初から騙すつもりじゃ……まあ、ちょっとあったけどさ。でもちゃんと話は聞いたって! えーっと、お偉いさんが仕事に行ってる間に、その娘さんが突然いなくなったんだと」
「名前は? 年齢は? 最後に確認された場所は?」
「……あー、名前は……写真に夢中で聞き忘れた」
「はぁぁぁ……!?」
馨の大きなため息が部屋に響く。
頭を抱える馨の前に、無頼はお偉いさんから預かった娘の似顔絵が描かれた紙を差し出した。
「でも顔はこれ! かなりの上品なお嬢様って感じだろ? どこぞの大名か豪商の娘っぽかったぜ。あ、それと『思い当たるところは探した』って言ってたから、家出とかじゃなく事件性の匂いがプンプンするね」
馨はその似顔絵を受け取り、じっと見つめる。
「……確かに、着ている物も身なりも相当な家柄の子ね。でも、名前も分からないのに江戸の街から一人を探すなんて、そう簡単じゃないわよ。前払い金はいくら受け取ったの?」
「えーっと、束でどーんと……」
「全部没収。当然よね?」
「げぇっ! 俺の遊興費が……!」
「元々あなたのお金じゃないでしょ! ……ハァ、引き受けちゃった以上、うちの店の信用にも関わるわ。無頼、あんたもちゃんと働くのよ。今から詳しい情報を聞き直すわよ!」
「てか、お前の得意分野じゃん、人探しって。一人でもできるでしょ〜」
「あんた、なんで私がそういうの得意か知らないからそんなこと言えるのよ。そもそも、あんたが勝手に受けたのがいけないし、、」
切りが悪いかも知りませんがここまで!
最後までお読みいただきありがとうございました!
正座させられて脚を痺れさせている無頼を描くのがとにかく楽しかったです。
前払い金を全額没収された彼の明日はどっちだ。
そして名前も分からないお嬢様は無事に見つかるのか……!
馨の意外な過去や特技の秘密についても、これから少しずつ明かされていきますので、どうぞお楽しみに。
また次の章でお会いしましょう!