公開中
0005 天才なので、注目されるんです
少しぶりですねー
今日は、卒業式の前日。
朝、教室に入って一番にメイの姿が見えた。
「メイ! 学校に来たんだ!」
「久しぶり、咲良。先生に説得されちゃったわ」
「うれしい!」
けど……
メイは、送ったメッセージの話には触れなかった。
やっぱり私の送ったメッセージは無駄になったみたいだ。
それにしてもメイを説得するなんて……
「先生はどんな話をしたの?」
「内緒」
「そっかぁ。あ、じゃあメイも卒業文集書こうよ! ファイルに挟む形式だから明日にメイの分を配ればいいし」
「いいよ~」
私の言葉でメイが学校に来たわけではないし、そろそろメイとのおしゃべりもいいかな。それよりも術学のことについてかなちゃんや夕陽とも話したい。
私はメイから離れていった。
◇
咲良が行っちゃった……
おかしいな、あたしのことを心配してくれていたんじゃないの?
あ、Bランクの奏恵と隣のクラスのイケメンの男子と楽しそうにしゃべっている。
咲良はとっくにあたしのことを吹っ切れていたのかもしれない。
二週間くらい休んでいたし、愛想をつかされても仕方がない。
それに、あたしも咲良には愛想をつかしている。
さっきまでだって心の均衡が壊れてしまいそうだった。
咲良がそうしているんだし、あたしだってもう咲良には必要以上に関わらなくてもいいんだ。
何でなのかは気になるけど……
これであたしはあたしのことに集中できる。
|あ《・》|り《・》|が《・》|と《・》|う《・》、咲良。
◇
『明日の卒業式は咲良に取材が来るからなー。コメントを求められてもちゃんと断るんだぞ?』
昨日そんなことを言われていたなぁ、なんて思いながら、朝の学校の喧騒を私は眺めた。
もちろん、親も十分に多いけど、カメラも複数来ているのが見える。
この中で、答辞をするのかぁ。
もう少し取材陣の期待に添えるような答辞の方が良かった? いや、もっと緊張しているのはきっと送辞の子だろう。私が緊張するようなことじゃないな。
そう割り切ったお陰で、
「――2068年3月21日、卒業生代表 駒井咲良」
答辞は思っていた以上にうまくいった。
校長先生の話は長かった。去年よりも。
まさか、取材が来ているから気合が入って祝辞が長くなったんじゃないよね?
そんなことを勘ぐってしまった。
その後は、無事にホームルームも終わり、おのおので思い思いに過ごす時間になった。
「あ、咲良は取材があるから来てくれ」
「はーい」
私は簡単な取材を済ませて、さっそくかなちゃんと夕陽と一緒に写真を撮った。
ちなみに卒業式じゃない方のこの取材はまだまだ続きがあって、15分ほどの毎週ある番組の一つになるらしい。
「また入学式にも撮ろうね!」
「うん!」
「入学前の寮のときにも会おうね、咲良さんに奏恵さんも」
「「もちろん!」」
私は、かなちゃんと夕陽と別れた。
しばらくして、立花先生を見かけた私は先生に声をかけた。
「あ、立花先生」
「ん? 自称天才が何の用だ?」
「確認みたいなものですけど……多分先生に聞くことがあるかもしれないので、お母さんから先生のアドレスをもらっててもいいですか?」
「ん? それならプライベートの方のアドレスを教えようか?」
「あれ? 大丈夫なんですか?」
「ん? どうせ教員と生徒の立場も終わったし……皐月にも渡したぞ?」
「メイにも?」
「そうだから気にするな」
昨日から、メイはやっぱり私に何か思うところがありそうで、私とメイの会話は、必要なことや当たり障りのない会話にとどまっている。
多分、小学校に入る前から親友だと思っていて、だからこそ今までその関係にこだわっていたんだろう。
そんな関係だったから、一度亀裂が入ったらそれが回復することはあまりない。
まあ、一応メっセージを送っちゃったし、術者には今のところなるけれど。
よくよく考えてみれば、今のメイと私に残っているつながりは、アドレスとその約束だけかもしれない。
それさえも私からの一方的なものだけど。
「咲良」
「どうしの、メイ?」
「最後にさ、写真撮ろうよ。学校も変わってもう関わりはなくなるかもしれないからさ」
「いいよ、撮ろう撮ろう」
「やった! じゃあ撮るよ? はい、チーズ」
――パシャ! パシャ! ジ、ジ、ジ……
「ありがと、咲良。はい、これ。現像されたやつ。二枚あるから選んで」
「じゃあこっちで」
「オッケー。本当にありがとね」
「メイも……今までありがとう。じゃあね、|皐《・》|月《・》」
「……うん」
どうしてメイが写真を持ち掛けてきたのかはわからない。
だけど、この写真は――私たちの小学校卒業記念であると同時に、親友からの卒業記念であるのだ。
その日、十年ほどの皐月との交流は途切れた。
まだ忙しいので、たぶんまたしばらく間が空きますが、これからもよろしくお願いします。
アドバイス、ファンレター、タイトル案待ってます!