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0002 天才なので、深読みだってしちゃいます
カクヨムで投稿する際は、キャッチコピーに「天才は長所じゃない」みたいなこと書こうかな。なんか良い気がする。
※妖術……術者が使う術の名称。妖魔が語源。本当はそんなに妖しくはない(不思議ではあるが)。
次の日。
教室にメイの姿はなかった。
メイ……
昨日のメイの様子が思い浮かんで、心配になる。
だけど、あの様子のメイは、私に心配されても喜ばない気がする。
だって、私はSランクで、メイはFランクだから。
たぶん、私の同情はメイにとっては上の立場の人からのお情けに感じるかもしれない。
そうじゃない可能性があるからと言って、安易なそんな行動は……私にはできない。
だから、メイが卒業式までに立ち直れることをそっと祈った。
「術学の希望調査の提出は金曜までだからなー、まだ決めてないやつ、希望を出してないやつは急いでおけ」
「「「「「はい」」」」」
朝の会で、先生がそんなことを言っていた。
というわけで、私は先生に絡みに行った。
「立花先生」
「ん? どうした、咲良?」
「術学の希望者ってどれくらいいるんですか?」
「んー、うちのクラスはCランクがいなかったから、Dランクの話になるが、Dランクの人は班半々、といった感じだな。Dランクの術者人生でもいいと思った人は術学を希望している」
先生は私の質問の意図を汲んでか、少しずれた返事を寄越した。
「Dランクの術者人生でも、ですか?」
「お前にはわからんだろうな、咲良。だが、普通は術者ってのは儲かる職業なんだ。そして、妖術を使えるというファンタジーなことができる、素晴らしい職なんだ。だから、行きたがる人はかなりいる。危険性と天秤にかけてもな」
ファンタジーなこと、か。
確かにそう考えると、なりたい人が多いことにも説明がつく。
「術者の数は飽和しないんですか?」
「するかもしれないが……妖魔の数は増減が激しい。術者が多くて悪いことはないのさ」
「そうですか……」
「なんだ? 自称天才のくせにまだ決めきれてないのか?」
「そりゃあ術者を選ばなくてもお金は稼げそうですしね。術者じゃないといけない理由なんてなかなか見つかりませんよ」
「ははっ、まあ、それでこそ器用貧乏な自称天才咲良っぽいじゃないか」
「笑い事じゃないんですけどね」
「けれど妖術においても、『|天才なので《いつもの》』を言えるようにはなるんだろう?」
「まあ、それはそうですね。ま、いかに私が天才といえど、今回は水晶で才能が図られてしまっているので厳しいかな~とは思うんですけど」
「そこはお前が何とかすべきところだな」
「ですね~。ま、術学に行っているうちにそこらへんはなんとかするか、とっかかりは見つけるつもりなので心配しないでくださいね。今回は特にSランクスタートでハードルが高いから多少は努力しないといけなさそうですけど」
「そこまでやるのに術者は目指さないんだな」
「だってそれは他の物事に関しても同じことですから」
「ま、俺的には何か考えてくれればいいな、と思っただけさ。|奏多《かなた》もBランクだから、みたいな雰囲気もあっただろ? 実をいうとお前に関してはそんなに心配していなかったけどな?
……なんせ器用貧乏だし」
「……」
一瞬でもいい雰囲気を予想してしまった自分が馬鹿だった。
この先生が殊勝なことを言うわけがないのだ。
次からは騙されないようにしなくては。
「じゃあ私はこれ以上考えなくていいですね。十分考えましたので」
私は、先生が私に向かってそれを言ったと思ったから真剣に考えようとしていたのだ。
かなちゃんに向けて言っていたのだったら、私はもう考えなくていい。
そもそも、術者なんてまだ体験さえしていないんだ。
それなのに決めるなんて……
天才で多方面に才能がある私じゃ、到底決められない。
もし、私にあまり才能がなかったら……Sランクなら、術者に行きたい、と思っていただろう。
……まあそれでも、途中まで考えていたことを放棄するっていうところは私の沽券に関わってきちゃうんだけど。
自分の席の方に移動し始める。
「咲良」
先生に呼ばれて振り返る。
「選択肢くらい絞っとけよ。お前のようなやつによくあるのがどれも中途半端になることだから」
その顔は、声は、いつもにまして真剣そうだった。
真剣そうなことに、気付いてしまった。
これは、先生は本気なのかな?
けれど、さっき騙されかけたし……
「うーん……」
気にしなくてんも何もないんだろうけど、気になるなぁ。
念のため、心にとどめておくことにした。
「じゃあ授業を始めるぞー」
先生は何事も変わらないまま、授業を開始した。
「あ、咲良」
「なんですか、先生?」
放課後、先生に声をかけられた。
「お前がSランクだから、術者協会はお前に結構注目しているみたいだぞ」
「そうですか……」
「だから卒業式に地元のテレビがうちを取材するらしい」
「え?」
話が大きくなったなぁ。
「そしたら、校長先生が『それなら駒井さんに答辞を任せましょうか』ということになったんだが……いいか?」
「いいですけど……」
もともとは誰だったんだろう?
なんかどうせ任されそうだった気がするのは気のせいかな?
「あと、もしかしたらお前に取材がくるかもしれない、らしいぞ?」
「卒業式の時にですか?」
「いや、それ以外で」
「……まあそのときに考えます」
「そうか。じゃあ来週くらいまでに答辞の原稿を見せてくれ。去年のやつはお前の親に送っておく」
「分かりました」
何事もなく、日は過ぎていった。
アドバイス、タイトル案、感想待ってまーす。
読んでくれてありがとうございました!