公開中
六怪目
目の前にいる先輩は無事そうだった。―――花嫁衣装を来ている以外は。
とりあえず、先輩に一言断って、掲示板に書き込む
---
171:イッチ
神社見つけて入った。
先輩いた。
無事そう。
一つを除いて
172:名無し
え?
173:名無し
急展開
174:特定班
なぜ若干片言?
175:名無し
一つを除いて⋯?なんか不穏
176:イッチ
和服の⋯花嫁衣装着てる
177:名無し
は?
178:名無し
え⋯?
179:特定班
!?
180:名無し
籍入れ報告か?
181:イッチ
俺が着せたわけじゃないよ!
クソ。俺が見ていなかった隙に先輩が毒牙にかかってしまった!
182:名無し
落ち着けよ。
183:特定班
まさか⋯いや、あれは噂のはず…
184:名無し
とりあえず先輩に話聞いてみたら?
185:イッチ
うん⋯わかった
---
「せ、先輩⋯その服は⋯?」
「こ、これ?その⋯この山の神様の、お嫁さんになったの⋯」
俺から目をそらしてそういう先輩を見て、シュバババっと掲示板に書き込む。
---
186:イッチ
ごめん、ちょっとここの神様殺してくるわ
187:名無し
急展開
188:名無し
待て、何があった?
189:イッチ
先輩が山神の奥さんになったって言ってる。
俺はもう、その神様を殺すしか⋯
190:名無し
落ち着けよ
191:特定班
とりあえず、帰るように説得してみよう?
192:イッチ
⋯それもそっか
---
「先輩、帰りましょう」
「⋯ごめんなさい。私はもう、戻れない。」
「そうだよ。君はもう僕のものなんだから」
急に背後から声がした。振り返ると、同い年ぐらいの男がここにいた。
どこか生気のない目に敵意を宿しながら俺に近づく《《それ》》に俺は一歩後ろへ下がった。
「君は⋯この山の神様かい?」
「神⋯?僕が?ハハッ。君はおかしなことを言うね。今の今まで僕を嫌っていた癖に、困ると僕に神として助けを求める。」
強い悪意のこもった目に俺は気圧される。
すると、それを割って入る人がいた。―――先輩だ。
「お願い、この人を傷つけるのはやめて。ほら、私がいるじゃない」
「⋯そうだね。僕にはもう、君がいる」
「先輩⋯何を⋯」
呆然と立ち尽くす俺を、男が勝ち誇ったように見てくる。
男はスイっと手を動かした。
「君はもう要らないから⋯出ていって」
周囲の葉がガサガサと動き、何かが這って出てくる。和服の花嫁衣装をきたそれは、人間《《だった者》》なのだろう。
これが、花嫁の成れの果て⋯思わず俺は身震いした。だってそれは明らかに生きていないのだから。
男がパンッと手を鳴らした。すると、それらは一斉に俺の方へ向かってきた。
これに追いつかれてはいけない。俺は本能的にそう思った。
「っ!先輩!」
「ごめんなさい、私はもう⋯帰れそうにないわ」
寂しそうな先輩の声に胸が張り裂けそうになる。
しかし、そんな感傷に浸る暇もなく神の花嫁だった者たちが一斉に襲ってきた。
俺はなんとかその攻撃を避ける。今は撤退が先決だ。そう頭ではわかっているものの、先輩を置いていくことをしたくはなかった。
「先輩!必ず⋯必ず迎えに行きますからっっっ!!!」
断腸の思いで神社に背を向け駆け出す。未練がましい俺の叫びに、彼女は何を思ったのだろうか⋯