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最高のグループ_8話
森の静寂を切り裂く咆哮は、次々と重なり合い、地響きとなって大地を揺らした。
闇の中から現れたのは、異常なまでの身体能力と凶暴性を備えた「Red Fang」の眷属たちであった。
那央「……来るぞ! 柚子、先制で弱体化を展開しろ!」
那央の声が響くと同時に、彼は指先を鋭く突き出した。
彼のオリジナル魔法『星導の刻印』が発動し、空間に幾重にも重なる光の紋章を描き出す。
それは敵の動きを予測し、最適な攻撃ルートを仲間に提示する精密な戦術図であった。
柚子「……了解したわ。対象の防御力を削り、機動性を奪う」
柚子は冷静に詠唱を重ねる。
彼女の魔力890が周囲に拡散し、敵たちの皮膚を焼くようなデバフの波動へと変貌した。
本来なら那央の指示に従い範囲攻撃を行うべき場面であったが、突如として側面から飛び出してきた一匹の眷属が莉音の方へ向かったのを彼女は見逃さなかった。
柚子「……っ! 指示を上書きするわ。菜乃、右側をカバーして!」
柚子は瞬時に判断を下し、自身の魔力を集中させて敵の速度を極限まで低下させる特殊なデバフを一点に叩き込んだ。
それは那央の指示よりも優先される「生存のための最適解」であった。
菜乃「……任せろ。私の盾は、誰にも通させない」
菜乃は地を蹴り、巨大な防壁を展開した。
魔力894が放つ衝撃波が敵の爪弾を弾き飛ばす。
彼女はあえて自身の体を盾の最前線に置き、仲間への想いを鋼のような意志で守護する。
背中を預ける仲間の存在こそが、彼女の防壁をより強固なものへと変えていた。
悠斗「ハッ! 隙があるぜ、この野郎ども!」
悠斗は怒涛のごとき勢いで剣を振るった。
魔力847を刃に宿した一閃が、弱体化した敵の肉体を容易く切り裂く。
彼はかつての仲間を救えなかった悔しさを、今この瞬間の全力の攻撃へと変換していた。
莉音「あはは! そんなに怒らなくてもいいじゃない! ……でも、怪我をしたら大変だからね!」
莉音は弾けるような笑顔を見せながらも、その手から溢れ出る癒やしの光で悠斗の傷を瞬時に塞いでいく。
彼女の魔力896は常に循環し続け、仲間たちの疲労を削り取っていく。
攻撃と回復、その両輪を回しながら、彼女はグループの士気を支え続けた。
夜雨「……あまり騒がしいのは好きじゃないけれど。僕の領域に踏み込むなら、相応の代償を払ってもらうよ」
夜雨は影の中に身を潜めながら、静かに呟いた。
彼の魔力1846はもはや個人の域を超え、周囲の空間そのものを重く変質させていく。
彼が手をかざすたびに、敵たちはまるで泥沼に足を取られたかのように動きを封じられ、
絶望的なまでの弱体化へと追い込まれた。
那央「……いい連携だ。だがまだ終わらん。さらに増援が来るぞ!」
那央は冷静に状況を見極めながら叫んだ。
彼の瞳には戦況のすべてが映っている。
しかし、彼らが見つめる先にあるのは勝利への道だけではない。
その奥底には常に「あの時」の記憶が澱のように沈んでいる。
悠斗「……あいつらなら、俺たちが今ここを突破すれば助け出せるはずだろ!?」
悠斗の叫びは、仲間たちの胸に突き刺さった。
彼らは信じている。
Red Fangによって奪われたかつての仲間たちは、まだどこかで生きていると。
自分たちが強くなれば、再び彼らを救い出し、あの日の後悔を拭える日が来ると。
柚子「……ええ。私たちは止まらないわ」
柚子は一歩前へ出た。彼女の瞳には揺るぎない決意が宿っている。
那央「『最高のグループ』……我々の約束を果たすため、この森を突き進むぞ!」
六人の魔力が共鳴し、一つの巨大な奔流となって敵陣へと突っ込んでいった。
彼らはまだ知らない。
自分たちが救おうとしているはずの仲間たちの姿が、
今やRed Fangの色に染まり、異形の貌でこちらを見つめていることを。
その残酷な真実を突きつける日は、すぐそこまで迫っていた。