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最高のグループ_11話
戦場に立ち込める死の香りは、ルアの身を削る自己犠牲によってより一層濃密なものへと変貌していた。
ログが咆哮を上げると同時に、空から降り注ぐRed Fangの精鋭たちが一斉に崩れ落ちていく。
それは単なる物理的な破壊ではない。
ルアの爪から放たれた「ウイルス」が、ヴァンパイアたちの肉体を瞬時に腐敗させ、
彼らの誇り高き血の呪縛を内側から瓦解させていたのだ。
しかし、その代償はあまりにも過酷であった。
ルアの肌はひび割れ、まるで砂漠の地表のように乾き、
彼女がウイルスを生成するたびに生命力が吸い取られていくのが見て取れる。
那央「……莉音、今だ! 全ての魔力を集中しろ。ターゲットはルアの体内に潜伏する『異物』のみだ!」
那央の鋭い指示が飛ぶ。
彼は状況を瞬時に把握し、最も効率的で正確な戦術を選び取った。
莉音は深く息を吸い込み、その瞳に決意の光を宿す。
彼女の手から放たれた純白の回復魔法は、ルアの全身を包み込むように奔流となって降り注いだ。
莉音「……お願い、届いて……! ルアさんの体を治して、あの呪いだけを取り除いて!!」
凄まじい魔力の衝突が起こる。
ルアの体内で、彼女をヴァンパイアへと変えようとする細胞と、
それを破壊しようとするウイルス、そして莉音の回復魔法による再生力が激しく火花を散らした。
驚くべき現象が起きた。
莉音の魔法はルア自身の肉体を修復し続けながら、
同時に彼女の中に根付いたヴァンパイア特有の細胞だけを「異物」として認識し、
徹底的に分解・消滅させていったのだ。
柚子「……信じられない。回復魔法とウイルスの相互作用で、ルアさんの人間としての形を保ったまま、種族的な変質だけを中和しているのね……!」
柚子は冷静な分析を行いながらも、その瞳には涙が滲んでいた。
ルアは苦痛に顔を歪めながらも、ゆっくりと意識を保とうとしている。
彼女の指先から溢れ出るウイルス魔法は、
今や自分を守るための盾であり、かつての仲間たちへの贖罪の証でもあった。
悠斗「……姉貴! しっかりしろよ!! 俺たちがいるだろ、もう一人で背負わなくていいんだよ!!」
悠斗が叫びながらルアの手を握る。
その瞬間、ルアの体から放たれていた禍々しい魔力の波動が急激に収束し、
静まり返った戦場にはただ彼女の荒い呼吸だけが響いた。
ヴァンパイアとしての細胞は消滅した。
しかし、それによって生じた傷跡は莉音の魔法によって塞られつつある。
菜乃「……終わったのか? いや、まだだ。ルアをこの状態で放置するわけにはいかない。」
菜乃が重厚な盾を構え直し、周囲を見渡す。
敵の主力部隊は壊滅したが、Red Fangの本拠地にはまだ幹部たちが潜んでいるはずだ。
彼らは自分たちの支配下にあったルアを奪還しに来るだろう。
那央「……全員、準備を。ルアをこの場から運び出し、カイトの元へ向かう。あそこなら彼女の治療と保護に最適な設備がある。」
その言葉が終わらぬうちに、ログが再び低く唸り、ルアの意識を繋ぎ止めるように彼女の傍らに寄り添った。
ルアは弱々しく微笑み、悠斗を見つめた。
ルア「……ふふっ、みんな……ありがとう。約束……守れたわね。」
その言葉は、かつて彼ら全員で交わした「誰も取り残さない」という誓いへの答えであった。
6人の仲間たちは、再び立ち上がる。
後悔を力に変え、救ったはずの姉を守り抜き、奪われた平穏を取り戻すために。
夜雨「……月が綺麗だね。でも今は、君たちの顔を見ている方がいい。」
夜雨は静かに呟き、自身の魔力を再充填する。
彼らは再び歩み出す。
ルアを乗せた救出の旅路はまだ始まったばかりであり、
Red Fangとの因縁は、この血塗られた戦場で終わりを迎えることはないのだ。
(まだまだ続く)