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僕の心の闇
マレウスはエースを抱きしめる。
「少しだけ、このままでいさせてくれ」
いつになく弱い言葉だった。
突然のことにエースはとまどう。背中に回された腕の震えを感じて、何も言えない。
マレウスは言葉をつむいでいく。
「いまのお前は、まるで光のようだ。僕の心の闇を、少しだけ照らしてくれる」
「闇、ね……」
聞いているこちらが小っ恥ずかしくなる言葉だった。しかしマレウスが言うと、やけに似合う。
こわばっていたマレウスの腕が、徐々にゆるんでいく。エースの温かさに安らぎを得ているようだが、それにエースは気づかない。
「礼を言おう、トラッポラ」
「そこは『ありがとう』って言ってくださいよ」
「ありがとう」
素直な言葉に、今度こそエースは照れた。