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雪と暖炉
エースは薪を大きくくべた。暖炉の火が勢いを増し、パチパチと音を立てる。先程よりも少しだけ、室内が暖かくなった気がした。
「雪はまだ止みそうにないな」
──先輩が降らせてるくせに。
エースを帰したくない魂胆が見え見えである。けれど、あえてエースは乗った。
「まぁね。でも先輩の部屋ってあったかいし、大丈夫でしょ」
知らないフリをしたエースも共犯だ。
共犯者同士、くすくすと笑い合う。
「近くに寄っても良いか?」
「なんで?」
「暖を取りたい」
「しょうがないなあ」
エースは遠慮なくマレウスに身を寄せる。マレウスはエースの肩をそっと抱く。
二人の体温が、静かに合わさっていく。
「紅茶も淹れたげよっか?」
「あとでな」
暖炉の火が、二人の姿をやさしく照らしていた。