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離ればなれのあなたへ#1
楓と彩視点。
桜が舞っている。
晴れ渡る青空の下、俺たちは新たな一歩を踏み出す。
慣れ親しんだ町が、今日は輝いて見えた。
【南浜中学校 入学式】
校門に掲げられた看板。未知の生活への期待。少しの不安と、ほどよい緊張感が、新入生を歓迎する。
「か~えで!」
背中に軽い衝撃が来る。
振り向かなくても誰かわかった。
「彩。」
真新しい制服に身を包んだ少女が、ニコッと笑った。
彩とは幼稚園から今までずっと同じクラスの幼なじみだ。家も近いため、その関係は途切れることなく、今でも続いている。
「クラス分け見た?」
隣にならび、当たり前のように歩き出す。
その肩は俺のよりも少し低いところにある。
小学生の時は変わらなかったのに、と、時の流れを改めて知った。
「一緒に見に行こう。」
彩は少し驚いたような顔をし、次に嬉しそうに頷いた。
彼女への明確な好意を自覚したのはいつだったか。
幼なじみを自分の手で守りたいと思ったのだ。
「反対から探そ。」
この中学校は1学年4クラス。
二人でそれぞれわかれて探すことにした。
「あっ。」
と声をあげたのは彩だった。
「一緒だ。」
嬉しそうに笑う姿を見て、俺はあらゆる神に感謝した。
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待ちに待った中学校の入学式。
私はある幼なじみの男の子と待ち合わせをしている。
校門に立つ彼ー楓を見て、鼓動が早くなった。
「か~えで!」
彼がゆっくり振り返る。
「彩。」
少し低くなった声、少し高くなった背。
気恥ずかしくなってうつむきながら、自然に横にならんで歩く。
「クラス分け見た?」
彼はうんとも、いいえとも答えず、ただ「一緒に見に行こう。」
と言った。
待っててくれたんだ。と、分かって、嬉しくなった。
二人で名前を探す。
4組、あった。楓の名前。
あとは私の名前があれば...。
「あっ。」
その瞬間、彼と目があった。
「一緒だ。」
自然と笑みが浮かぶ。
彼も笑った。
この上なく幸せだった。