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離ればなれのあなたへ#5
第5回を記念して、過去を掘り下げていく回ですよ〜。
良ければファンレタっ🤛
失礼しました。m(_ _)m
遠い昔の記憶。今となってはおぼろげでしか無いが、私の宝物。
かけがえない友人との、大切な、大切な記憶。
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「あーやっ、遊ぼうよ!」
幼馴染の一人である悠里が、スコップを片手に駆けてくる。
私よりも先に集まっていた楓と大河が手を振っている。
「うんっ。」
私もその輪の中に入り、砂場で遊ぶ。
幼稚園生だった頃は、よく4人で遊んでいた。小学生になっても遊んでいたけど、周りの目が気になってくる年頃だったのだろう。結局幼稚園生時代が、一番遊んだ時期なのではないだろうか。
悠里と、楓と、大河は私の大切な存在だ。お泊り会だってしたし、小学校の修学旅行も同じ班で、ずっと一緒だった。
そして、これからも変わらないと思っていた。なんの根拠もなく。
子供は大人に抗えない。
子どもの気持ちは、大人からしたら甘えに過ぎず、踏みにじまれる。
「ママとパパが、」
「私立の学校行けって。」
悠里と大河。2人は地元の公立中ではなく、都会の方の私立中を受験するということだった。
唐突に告げられた別れ。仲良く繋いでいた手をいきなり振りほどかれたかのような、驚きと戸惑い。
4人で泣いた。お互いの背中を擦り合い、ずっと泣いていた。
それからも4人で過ごしはしていたけれど、これまで通りの安寧はどこにもなかった。
一緒にいると、離れられなくなる。
悠里や大河とは、いつの間にか疎遠になってしまった。
でも楓は、呆れずに側にいてくれた。
「彩には俺がいるだろ。」
今思えば、彼はあの頃からもうカッコよかった。
少しの気遣いと、優しさは、私の冷めきった心を温めてくれる。
彼といると、不思議と幸せな気持ちになれた。
卒業式当日、私は久しぶりに悠里や大河と話した。
楓は私の隣で見守ってくれていた。
「また、どこかで会えるよ。」
またすこし泣いたけど、あまり寂しくはなかった。
あの頃は思いもしなかったが、私達の距離はそこまで開いていなかったのだ。
休日に電車を乗り継いでいけば、会えない距離ではなかった。
今となっては世界の果てにいるかのように感じてしまうけれど。
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私には楓がいた。
隣にはほとんどと言ってもいいほど楓がいてくれた。
これからも一緒が良かったけれど。
私は気持ちに蓋をして、さらにカギをかける。
頬に一筋の涙が伝っていった。