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Those crazy people 頭のおかしいやつら6
朝。制服に着替えているミハエルに、私は言い放った。
「今日は学校、休みなさいよ」
どうせ大したこと習ってないんだから、いいでしょう?ミハエルは驚いた顔で固まっている。ああもう、愚図ったらしいことしないでよ。
「映画に連れてってあげる。この前街に出たとき、ポスターが貼ってあったじゃない」
私の言葉に、ミハエルは驚いた顔のまま、小さく頷いた。私は続けた。
「じゃあまず、その服脱ぎなさい」
泡を嫌というほど盛り立てたバスルームに二人、弾けるシャボンで息が詰まり、石鹸の甘い香りにむせかえる。華奢な裸になったミハエルは、おとなしく私のされるがままになっていた。
細い身体。でも骨と皮って感じじゃあない。当然だ。食事はちゃんと摂らせている。
頰にふわふわの泡を垂らしたミハエルは、まだ充分に幼い。私に性器を見られるのにも抵抗がない。彼の年齢を考えると、少し幼稚すぎると思うけれど。彼はマザー・コンプレックスの気があるのかもしれない。でも私はこの子の母じゃない。
しゅわしゅわの泡を洗い流して、温かいお湯に首まで浸からせて、バスタイムを終えた。
指通りのいい金髪を乾かして、白い小さなシャツを着せて。手をかけたミハエルは綺麗だった。人形のようで、あまり触れたくない。
家を出ると、私は彼の手をふんわりと握った。ミハエルの拳は小さくて、少しだけ湿っていた。気持ち悪くて愛しい感触。わざと早足に歩いて、ときどき駆け足になるミハエルの手を引っ張った。かわいいミハエル。私のミハエル。
映画館は少し遠い。バスを使った。隣に座るミハエルは物珍しそうに車内を眺め回し、それから私の顔を盗み見ていた。かわいい子。愚図で小さなかわいい子だ。私は知らないふりをした。
映画は子供向けのアニメだった。派手で分かりやすい色が画面を埋めつくし、恥ずかしくなるような歌が流れ続けた。ミハエルは少しでも私と触れる面積を増やそうとしているかのように密着し、私の腕を掴んでいた。その体温のおかげで、ちっとも眠くなかった。
「面白かった?」
「うん」
ならいいの。よかったわね、ミハエル。思ったけれど言わなかった。
帰り道、市場の青果屋でさくらんぼを買った。真っ赤でつやつやしていて、いい匂いのする紙袋に詰まったのを一つ。いかにも美味しそうで、安かった。ミハエルは嬉しそうに袋を抱えた。
家に着くと、ミハエルはさくらんぼをテーブルの上にずらりと並べて、私の隣にぴったりくっついて座った。私は彼の頭を撫でて金髪を指で梳きながら、一粒ずつ彼に食べさせてあげた。私もいくつかを食べた。酸っぱくて甘い汁が互いの唇を塗った。
かわいい子。私は幸せだった。さくらんぼの甘い匂いが、リビングに薄く広がっていた。