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#2 微妙な距離関係
高校の校門を出て、駅までの夜道。
「自主練、遅くまでお疲れ様」
#名前#が隣を歩きながら声をかけると、赤葦は
「#名前#も、付き合わせて悪かった」と短く返した。
二人の距離は、近すぎず遠すぎず。
幼馴染という「正解」があるせいで、あともう一歩が踏み出せない。
「……ねえ、京治。さっき木葉先輩に何言われてたの? 試合の反省?」
「……いや。別に、大したことじゃない」
本当は、大したことだった。
『赤葦さ、雨宮のこと見てる時だけ目が全然「冷静」じゃないんだよな。早く付き合っちゃえばいいのに』
そんな風に揶揄われたなんて、死んでも言えない。
「そっか。……私ね、最近ちょっと不安なんだ」
「不安…?」
天音が俯き加減に呟くと、赤葦が足を止めた。
「京治、バレーも上手だし、カッコいいから。……大学に行ったら、
私の知らないところで誰かと付き合っちゃうんじゃないかな、って」
それは、天音なりの精一杯の告白だった。
でも、赤葦の答えは、予想外に少し強い調子だった。
「……ありえないよ」
「えっ?」
「……俺が、#名前#以外の誰かを、そんな風に見るわけないだろ。……バカなこと言わないでくれ」
赤葦は天音を見ようとせず、少し先を歩き出す。
その歩幅がいつもより早くて、でも、隠しきれないくらい耳まで真っ赤になっているのを、
#名前#は見逃さなかった。
(……今のは、自白ってことでいいのかな)
天音は胸の高鳴りを抑えながら、早足でその背中を追いかける。
「今の、どういう意味!? ちゃんと顔見て言ってよ!」
「……うるさい。歩くのが遅いよ、#名前#」
お互いに「好きだ」とはまだ言っていない。
でも、繋ごうとした指先が少し触れ合って、二人同時にビクッとする。
保育園の頃みたいに素直に「結婚しよう」なんて言えないけれど。
このもどかしい距離感こそが、今の二人には心地よくて、何より愛おしかった。
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