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#7 手術の結果と終わり
手術室の赤いランプが消えたのは、予定を大幅に過ぎた深夜だった。
待合室の硬い椅子で、赤葦と恋歌、そして天音の両親は、
祈るようにその時を待っていた。扉が開いた瞬間、全員が弾かれたように立ち上がる。
「……手術は、無事に終わりました。動脈瘤の処理には成功し、命に別状はありません」
医師のその言葉に、恋歌はその場に崩れ落ち、母親は顔を覆って泣き崩れた。
だが、赤葦だけは医師の次の言葉を待つように、静かに拳を握りしめていた。
「ただ、後遺症の有無については……彼女の意識が戻ってみるまで、確かなことは言えません」
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数時間後。集中治療室のベッドで、#名前#の指先がかすかに動いた。
「……ん……」
「天音!?」
#名前#は重い瞼をゆっくりと持ち上げた。
最初は、何も見えなかった。ただ眩しい光の塊があるだけ。
でも、次第にその光の中に、見慣れたシルエットが浮かび上がってくる。
「……けい、じ……?」
掠れた声で呼ぶと、視界の端で赤葦が息を呑むのがわかった。
「……#名前#、俺が見えるか?」
#名前#はゆっくりと瞬きをして、赤葦の顔を見つめた。
いつもの冷静な彼ではない、泣き腫らした目で、必死に自分を見つめる愛しい人の顔。
「……見えるよ。京治。……すごく、ひどい顔してる」
その言葉を聞いた瞬間、赤葦は#名前#の手に額を押し当て、
子供のように嗚咽を漏らした。視力は、奇跡的に残されていた。
「……じゃあ、私の声は!? #名前#!聞こえる!?」
横から割り込んできた恋歌の叫び声に、#名前#は少しだけ耳をそばだてる。
「……恋歌。……ちょっと、声が大きすぎる……耳に響くよ……」
「……っ、あああ良かったぁぁ!!」
聴力も、失われていなかった
もちろん、術後の経過はこれからだ。手足のしびれや、
細かい後遺症についてはリハビリが必要になるかもしれない。
でも、#名前#の目には光が宿り、その耳には大好きな人たちの声が届いていた。
「……約束、守ったよ。……生きて、京治のところに、帰ってきたよ」
天音の弱々しい、でも確かな言葉に、
赤葦は彼女の手を二度と離さないと言わんばかりに強く握りしめた。
「……おかえり、#名前#。」
梟谷の青空の下、また三人で歩ける日が来る。
アルバムの次のページには、きっと最高の笑顔の三人が、新しい物語を刻んでいくはずだ
梟谷の司令塔と、消えない光のアルバム【完結】