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#3 空気の読めない主将(デジャウ)
部室棟の裏、自販機の前。
赤葦と#名前#は、二人きりで微炭酸のジュースを分け合っていた。
「……あ、これ新作? ちょっと酸っぱいね」
「そうだね。……でも、天音はこういうの好きでしょ?」
一本の缶を交互に飲むなんて、幼馴染じゃなきゃ許されない距離感。
お互いの指が触れるたびに、心臓の音がうるさくて、何か言わなきゃと焦るほど言葉が出てこない。
赤葦が意を決したように、「あのさ、天音……」と口を開きかけた、その時。
**「ヘイヘイヘーーーイ!! 何してんだ二人とも!!」**
背後から、鼓膜が震えるほどの爆音。
木兎が、木葉と猿杙を引き連れて、ガバッと二人の肩に腕を回してきた。
「木兎さん、声が大きいです……」
「いいじゃねーか! それより赤葦! お前さっき
『#名前#が可愛すぎてトスが乱れるからマネージャー引退してほしい』
って、部室で泣きそうな顔して愚痴ってたよな!?」
「………………は?」
#名前#の動きが止まった。
隣にいる赤葦は、見たこともないような真っ白な顔をしている。
「ちょ、木兎! それは言っちゃダメなやつ!(木葉)」
「えっ!? そうなのか!? でも赤葦、
『#名前#と付き合えるならバレー人生の運全部使ってもいい』
って……」
***「木兎さん!!!!!(クソデカボイス)」***
冷静沈着なはずの赤葦京治が、体育館の端まで届きそうな声で叫んだ。
その顔は、今や茹で上がったタコのように真っ赤だ。
「……京治、今の、本当?」
天音が震える声で尋ねると、赤葦はバッと両手で顔を覆って、そのままうずくまってしまった。
「…………もう、死にたい……」
「えっ、えええ! 赤葦!? 待って、私も……
私も、京治がカッコよすぎてスコア書く手が震えるって、
雀田先輩に相談してたから! お相子だよ!!」
「…………え?」
顔を覆っていた赤葦の指の間から、驚愕の目が天音を捉える。
爆弾を落とした本人の木兎は、状況が飲み込めず
「? お相子なら解決だな! よし、飯行くぞ!」と笑っている。
「……バカ、天音。……今の、本気?」
「本気だよ! ……京治のバカ!!」
爆発したのは、二人の羞恥心か、それとも長年溜め込んできた想いか。
ニヤニヤしながら見守る木葉たちと、固まる二人、そして相変わらず絶好調な木兎。
梟谷の放課後は、これまでで一番騒がしく、そして甘い時間になった。
うん