裏社会で暗躍するスパイ組織『Mars』。
所属する諜報員はそれなりに腕の立つものばかり。
自由を許さぬ上層部と、自由を望むスパイ達。
スパイ達は組織からの脱却と自由を手に入れることができるのか?
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目次
沈黙のMars#0
よろしければファンレタっ((🤛
裏社会で殺し屋業にも匹敵する"要"、『スパイ』。諜報活動を生業とする、高度な情報戦が繰り広げられる現代において、最も必要とされる者たち。
彼らは裏社会で名を馳せ、また、その命を散らす。
今日もまた、彼らは敵地を駆けるー。
『コードネーム" ナンタイ"、敵の戦闘員と接触を確認!』
耳障りな|雑音《ノイズ》とともに、司令部からの無線が聴こえてきた。
敵は3人。いずれも男。スタンガンを持っている。
そう冷静に分析し、自分の得物を取り出し、弾を込めた。
「戦闘許可を。」
お互いに距離を詰め合う。ジリジリとした緊張感が体を支配する。
『戦闘を許可する。』
バンッ
まずは一発、敵の眉間に向けて放つ。
その隙に間合いを詰め、隠し持っていたジャックナイフを引き抜く。
慌ててこちらへ銃を向けてくるが、もう遅い。
手首を叩いて銃を奪い、こめかみにナイフを刺す。
返り血を浴びぬように体を逸らす。
残り2人ー。
手早くナイフを抜くと、飛んでくる弾丸の間をすり抜け、銃を2回撃つ。
弾丸は男の心臓のあたりに直撃し、男は倒れた。
生き残った男は、やけになったのか狂ったように突っ込んでくる。
シュバッ
ナイフを一振り。それだけだった。
刃が頸動脈を切り裂き、赤く染まる。
即死は無理だろう。死ぬ直前まで痛みに悶えていれば良い。
無惨に散っていった戦闘員を避けて、先に進む。
いくらあたしでも、遺体を跨いだりはしない。
目的地は直ぐ近く。
「悪いな。これも仕事なんだ。」
あたしは背を向けたまま言う。
非情だ。と思うかもしれない。だが、任務に感情はいらない。
それがあたしのモットーであり、真実だ。
沈黙のMars【紹介】
よ〜けれ〜ばファンレタっ((🤛
裏社会随一のスパイ組織、『Mars』。
そして敵対している組織、『T.B.ヴァロン』。
戦いを制し、自由を手に入れるのは、『ベルセルク』か?それとも『男爵』か?
熱き戦いが、闇を照らす!
---
【主人公】
名前:神木エル
コードネーム:ナンタイ
性別:女
年齢:26
茶髪のベリーショートで、紫の瞳を持っている。体がしなやかで、幼少期に新体操を習っていた。
『Mars』の中でも強さでは上位に入る。
仲間からの信頼も厚く、次期『四天王』候補である。
---
「なるほど…なかなかの手練れのようだな。」
『Mars』本部の総司令官書斎にて、背の高い男がつぶやいた。
扉付近には、仮面をつけた男女4人が待機している。
彼らは組織に絶対の忠誠を誓い、その真の姿を闇に葬りし者たちである。
「ギル!この者の素性を調べろ!」
ギルと呼ばれた者が肩を震わせる。
「ハッ!」
一瞬にしてその姿が消える。
研ぎ澄まされた第六感でしか感知できない位に存在を弱め、密偵、暗殺者、護衛として暗躍する四天王。
彼らは『Mars』の要である。
「使えると良いが…」
男は不敵に笑った。
読んでイタダキありがとうございます!
これからもよろしくですm(_ _)m
沈黙のMars#1
本編始動!
よければ日記で広めて下さい!
タグは「沈黙のMars」でお願いできません?
「コードネーム"ナンタイ"、帰還した。」
『了解。』
あたしは神木エル。スパイ組織『Mars』に所属する諜報員だ。
ついさっきまで、任務に出ていた。
突然だが、ここ『Mars』本部は、司令塔と複数の宿舎、研究棟からなる建物だ。
司令塔には司令室と司令官たちの自室、倉庫などがあり、一般の諜報員はまず立ち入ることができない。入れるのは"四天王"と呼ばれる者だけだと聞いた。
宿舎は一般の諜報員達の家だ。1つの小隊に約5人編成。それが6個の計30人ほどが、本部直属の諜報員として活動している。
研究棟はその名の通り、持ち帰った情報の研究や保管、現場の裏工作まで行う裏方…である。
あたしが所属するのは第4番小隊。
宿舎に戻ると…
「おかえり〜!!」
扉を開けるなり飛びついてきたのは|姫野鐘羅《ひめのしょうら》。まだ子供なのに裏社会に来てしまった少女。
「ハイハイ、ただいま〜。」
適当にあしらいつつ、彼女を引き剥がす。
「レイドさん、バトンタッチ。」
そう言い、壁に寄りかかっている狼人間にタッチする。
レイド・リーヴェルト。狼の姿をした獣人だが、それが本来の彼の姿かは、本人でも分からないらしい。
「レイドさ〜ん!」
鐘羅は|標的《ターゲット》を切り替え、レイドにくっつき始めた。
「はいはい。おかえりなさい、エルさん。」
奥にある厨房から、|橘奏《たちばなそう》の声が聞こえる。
「ああ。ただいま。」
これがあたしの仲間たちだ。
今は任務中だが、|累條《るいじょう》という名の諜報員もいる。
「ご飯ですよ〜。」
「はーい!」
厨房から、温かい匂いが漂ってくる。
みんなで厨房へ押しかけていくのであった。
次回予告!『瑰麗、累條要!』です。
読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
沈黙のMars【幕間】
【レイド・リーヴェルト】
コードネーム:氷狼
性別:男
年齢:不詳
狼の姿をしているが、本当の姿かどうかは本人も知らない。
青い毛並みに紫の瞳。氷を自在に扱う、第4小隊の隊長である。
【|橘 奏《たちばなそう》】
コードネーム:イージス
性別:女
年齢:21
灰色の髪と瞳を持つ女性。馬鹿力とよく言われ、巨大な盾で仲間を守ることを得意とする。
【|姫野鐘羅《ひめのしょうら》】
コードネーム:甘姫
性別:女
年齢:9〜14(推定)
第4小隊の中で最年少。白いツインテールに薄黄色の瞳を持つ少女である。得意武器はクロスボウ。
---
「はい、シューリョー。案外早かったな。」
背の高い優男が、得物を下ろす。
「こんな雑魚に手こずるなんて、『Mars』も廃れたな〜。」
優男は不敵な笑みを浮かべ、去っていく。
|標的《ターゲット》に目もくれず、去っていくのであった。
沈黙のMars#2
『瑰麗、累條要!』
まだまだ続くよ!
まだまだ序章だぁぁぁ!
ファンレタっ((🤛下さっ((🤛い!
砂漠化ー。
それは陸地が砂漠と化していく現象である。
砂漠化により作られた荒野で、熾烈な戦いが繰り広げられていた。いや、一方的なリンチかもしれない。
「こうしてる今、キミは油断しちゃっている。油断禁物だよ。」
ズガーン
荒野にはいくつもの死体が転がっている。それらは全て、ある1人の手によって起こった。
その名もー
「|累條要《るいじょうかなめ》。覚えといてね。」
ニコっと笑う優男。その名も累條要。
彼もまた、第4小隊の仲間である。
「コードネーム"瑰麗"。帰還しまーす。」
---
今日はアイツが帰ってくる日だ。
鐘羅はいつものように、レイドの耳を触っている。
「レイドさんの耳、フワフワ〜。」
奏は部屋の掃除をしている。
「何でこんなにも散らかっているんですか〜!」
そしてあたしはため息をつく。
「うるさくなるな。」
「まったくだ。」
レイドが同調する。
累條要は良いやつなのだが…少しナルシストのサイコパスなのである。それは実際に会って話してみるとよく分かる。
「たっだいまー♥」
鐘羅がそっとレイドの後ろに隠れる。
奏は掃除機を片手に2階ヘ逃げる。
あたしはー。
「あっ、もう帰ってたんだね、エル。」
「あーまーそうだな。優秀だからな。」
棒読みで返す。悪いやつではないけどー。
「あっ、鐘羅ちゃん🎶ただいま〜。」
「あっ、うん…おかえり…なさい…」
鐘羅、目が泳ぎまくってるぞ。しっかりしろ。
「ねえ、エル。」
「ん?」
要が今までになく神妙に言うので、自然と気が引き締まる。
「何で堅物レイドには懐いているのに爽やかな僕には懐いてくれないの?」
はぁ~
あたしの気持ちも分かってくれる?
次回予告!
「甘いものはお嫌い?」
お楽しみに〜😁
沈黙のMars【幕間】
【|累條要《るいじょうかなめ》】
コードネーム:瑰麗
性別:男
年齢:23
紫陽花青色の髪と、若紫色の瞳を持つ、身長180cmの優男である。何か特別な力を持っているらしい。ナルシストのサイコパスだが、優しく、頼れる存在。そのため、レイドも一目置いている。
---
「ハーイ。累條要でぇす!」
お呼びしましたよ!累條さんを。
「よろしくね。」
彼は仕事ができる人なので。大丈夫ですよ。多分…
「僕ね、頑張るよ!」
「本編に入るからな。しっかりやれ。」
おお!レイド隊長!!
「お前のことは評価している…」
「レイドさん。鐘羅ちゃ…」
はーい、今回はここまででぇす。
さいなら~。(誰)
沈黙のMars#3
夜も深まってきたころ…。夜道を歩く人影があった。
『Mars』本部の方向へ、迷うこと無く進んで行く。
---
「久しぶりですね。エルさんと任務なんて。」
奏が得物を振り回しながらはにかむ。
「ああ。そうだな。その前にっ!」
エルは奏の得物である巨大な盾を避けながら、叫び返す。
「盾をっ!しまってくれって!」
「そこの2人、止まりなさい。」
女性の声だ。
ハッとして顔を上げると、美人だが、壊滅的に目つきの悪い赤髪の女性が立っていた。
特殊秘密機動隊(S.S.R.)の制服を着ている。
まずい。そう本能が告げている。
「ここから先は立入禁止区域だ。引き返せ。」
細い目を、更に細くして言う。
「チッ、奏!後衛にいろ!」
「はいっ。」
相手はS.S.R.。一筋縄ではいかない。
拳銃をそっと取り出す。奏は盾を構える。
バンッバンッ
まずは相手の動きを封じなければ。足のあたりに直撃、もしくは跳弾すれば、しばらくは動けないはず…
だが、そううまくはいかなかった。なんと、バク転して避けられる。
「S.S.R.の|甘井霞《あまいかすみ》よ。武器を下ろしなさい!」
ほう。と感心する。おそらく相当の現場を踏んできたのだろう。動きがプロだ。
甘井と名乗る機動隊員は、投げナイフを飛ばしてきた。
マジか。S.S.R.って投げナイフも使えるのかよ!
心の中で毒づき、横っ飛びで避ける。
紙一重だった。
お互い息が乱れている。
実力はほぼ互角。こういう戦いが、一番辛い。
「奏!」
「ハイッ!」
奏の馬鹿力で甘井を吹き飛ばす。
甘井は見たところ細身だ。奏の盾なら…
奏は迷うこと無く突進していく。まるでイノシシのようだ。コードネームである|イージス《守護の盾》は伊達ではない。
甘井の顔が引き攣る。そのためか、動きが鈍くなる。
轟音が響き、甘井と盾とがぶつかる。
甘井はあえなく吹き飛ばされた。が、流石にプロ。受け身は取ったようだ。
(まぁ、無事では済まされないだろうがな。)
「私は甘いものは嫌いなんです!」
奏は誇らしげに盾を構え、甘いに向かって高らかに言うのであった。
「あんた、S.S.R.じゃないだろ。」
「よく、分かったわね…」
---
あたしたちはあれからすぐに本部と連絡を取り、帰還した。
甘井はいつの間にかいなくなっていた。
これが敵組織の最初の|宣戦布告《コンタクト》になっていたと気づいたのは、まだ先の話だ。
次回予告!「T.B.ヴァロン」です!
沈黙のMars#4
甘井の件があってから、『Mars』は警戒態勢を敷いた。
それと同時に、四天王が動き出したという情報も入った。
四天王とは、『Mars』における実力者のことである。
諜報員として裏社会で名を馳せ、認められたもののみが選ばれる4人。彼らは組織に絶対の忠誠を誓っている。いわば組織の犬…
「エル。」
考え事をしながら、宿舎に向かって歩いていると、懐かしい声が聞こえた。
「ギル。」
ギル。という名を持つ同期の諜報員が駆け寄ってくる。こうして会うのは久しぶりだ。
「いや〜、いつぶりだ?こうして話したのは。」
「さあな。お互い任務もあったし…」
あたしは自然と微笑む。
「久しぶりにどうだ?一杯。」
ギルは唇の端を釣り上げてニヤリとした。こういうところは変わっていない。
「ああ、悪いけど、酒は飲まないんだ。」
へぇ。と、感心したように言う。コーヒーなら良いんだが…と心の中でつぶやいた。
「変わらねぇな!」
シュッと空を切る音が聞こえ、思わず飛び退く。
ギルはバタフライナイフを取り出していた。
「なんのつもりだよ!?」
「お前を試す。それだけだ。」
吐き捨てるようにそう言うと、ギルは滑るように忍び寄ってくる。昔から、こういう戦い方をするやつだった。
ナイフを避けながら逃げるか…?いや、追いつかれるな。
だが、何でここであたしを試す必要が…?
考えている間も攻撃は止まらない。
いつしか、あたりに人だかりができていた。
あたしは幼少期に新体操を習っていた。そのため、体は柔らかいほうだ。ナイフの刃を避けるくらいなら、余裕だろう。だが、長期戦には向かない。体力には、限界がある。
ためらうこと無く襲いかかってくる刃をかわし、ギルを傷つけずにこの状況を脱するには…あれしか無い…
あたしはギルの真正面に立ち、その動きを見逃すまいとした。
ギルはというと、感情のこもっていない目で虚空を見つめている。
突然彼の残像が見えた。ナイフが銀色に輝く。
見える。と思った。あたしだって進歩している。
大きく横に凪ぐ。俗に一文字斬りと呼ばれる大技。威力も範囲も申し分ないが、隙は大きい。
腹ががら空きだ!
自分の拳を繰り出す。手に感触が伝わってくる。
次の瞬間ギルは体勢を崩し、大きく吹き飛んだ。
「なんのつもりだよ!」
「へへへっ。強さは申し分ないな…。」
ギルがヘラヘラと笑う。悪魔のようだった。
「総司令がお前に目をつけた。次期四天王候補だとよ、おめでとう。」
小馬鹿にしたような響き。この数年が彼の心を変えてしまったのだろうか?以前の彼は、こんなことはしないはずだ。
「お前に一つ教えておこう。」
T.Bヴァロン。
そうギルは言った。
「甘井とやらが属している組織のことだ。俺達にイタズラを仕掛けている。」
ギルは砂埃を払って去っていく。
「甘井を倒せ、エル。」
T.Bヴァロン。それが敵の名前か…。
あたしはその名を、心に刻んだのであった。
次回予告!『眠り王子』
沈黙のMars#5
『眠り王子』
『Mars』は、諜報員を信頼し、ある程度の自由を許している。
ギルから敵対組織の名前を聞き、それをみんなに伝えたところ、敵の情報を調べようということになった。
そこで、隊長ーレイドの旧友であるミネルヴァ・スカーレットという情報屋を訪ねたのだった。
「久しぶりだな、ミネルヴァ。」
複雑に絡まったコードの山をくぐり、パソコンに向かっている男に向かって声を掛ける。
男はヘッドホンを外し、ゆっくりとこちらを振り向いた。
「レイド、なのか…?」
男はもともと大きく開かれていた目を更に見開いて言った。
「ミネルヴァ、話がある。」
どうやらレイドとこの男、ミネルヴァは社交辞令など必要としない間柄らしい。ミネルヴァは頷き、奥の部屋へと入っていった。
「話ってなんだ?」
「T.Bヴァロン。」
レイドが切り出すより早く、あたしが答える。
「レイド、この人はー」
誰?と聞かれる前に名乗る。
「神木エル。『Mars』の諜報員だ。」
ミネルヴァは嫌味っぽく笑う。
「あんた、情報屋の大切さをよく分かってない人だね。もしくは慣れてない人?」
一瞬いらっときた。だが相手は年下だ。キレてもしょうがない。
「あはははは…嘘だよ。あんた相当の手練れだろ?」
読めないやつだ。と思った。同時に信頼できる。と確信する。
「これからよろしく。神木さん。」
差し出された手を握りかえした。
ちょっと短くなってしまいました…。
次回予告!『平礼、現る。』
沈黙のMars#6
『平礼、現る!』前編です!
薄暗い部屋の中。
二人の男が話しをしていた。
一人は背の高い細身で、もう一人は『Mars』の総司令。
二人は人目をはばかるように声を潜め、薄笑いを浮かべている。
「使えそうか?"ナンタイ"は?」
「ほどほど、らしい。まぁいいとは思うが…。」
「しっかし驚いたね〜。まさか四天王の総入れ替えなんて。」
四天王とは、組織に絶対の忠誠を誓いし四人の諜報員を指す。
「他にもいるんだろ、候補は。」
「ああ。」
「誰なんだよ?」
細身の男が悪魔のように唇を歪め、軽く小突く。
総司令は困ったように笑った。
「"蜘蛛"と"ナナシ"だよ。」
「蜘蛛?」
男はオウム返しをする。その声は上ずっていた。
「本気か?あいつが引き受けてくれるとでも?」
「思ってないさ。でも"サミダレ"が動けばやつも動く。反対もまた然り、だ。」
総司令はさっきより声を潜めて囁く。
「ナナシの方もな。かなりの実力者だし。」
「手があんのか?」
男は身を乗り出して頬を紅潮させた。
---
その頃。『T.B.ヴァロン』では。
「"氷山"。」
「はーい。なんですか樹井さん。」
無邪気に笑う男の子と、男の子とは対照的に暗い雰囲気の女の子。
「任務。出よ。」
樹井と呼ばれた女の子、|伊沙羅木樹井《いさらぎゆい》は握りしめていたスタンガンの電源を入れた。バチバチという音が、虚しく響く。
"氷山"こと|平崎礼弥《ひょうざきれいや》は、人懐っこい笑みを浮かべ頷く。
二人はまだまだ幼く見える。
そんな幼い子供でも、裏社会で容赦はされない。子供だから。で済む場所ではないのだ。ここは。
どんなときも、油断しない。
どんなときも、感情的にならない。
それが私の、わたしたちのモットー。
生きるために、自分をそっと押し殺す。
それが、裏社会というものだから。
次回は後編ですよ!
沈黙のMars#7
あれから小一時間経った。
ミネルヴァはずっとパソコンと向き合っている。
事情を聞いたあと、彼はずっとパソコンと睨み合い、キーボードを打っている。時々ブザー音が鳴り、画面に大きくバツが表示されている。おそらく弾かれているのだろう。ミネルヴァはそのたびに軽く舌打ちを漏らしながら、何も言わずにまたパソコンを睨む。
レイドはその様子を、目を細めて見つめていた。
この二人はどういった関係なのか?という疑問が頭をかすめる。
何にせよ、そのおかげで奴らの正体を暴けるかもしれない。
基地の場所さえ分かれば、あとは潜入すればいい。
しばらくして、ミネルヴァが「あっ。」と声を漏らした。
画面がさっきまでと違う。
「入れた。」
ミネルヴァはこちらを見て、フッ。と笑った。
「T.B. ヴァロン…。」
息を呑んで彼を見つめる。
「裏社会で1、2を争う大手だね。諜報、殺し、はたまた護衛まで。幅広く手掛けているみたいだ。」
「それで、どこにある?」
「南区の裏通り…。廃ビルが並んでるところだよ。」
それだけで十分だった。
「分かった。当たってみるよ。」
あたしは素直に礼を言って、彼に背を向けた。その時、大きな音が聞こえ、足を止める。
入口の鉄扉から聞こえてくるようだ。続いて足音も聞こえてくる。
慌てて向かってみると、そこには少年が立っていた。
手にはコンパクトガンを持ち、こちらを見据えている。
その後ろから、もう一人、少女が出てきた。
こちらはスタンガンを持っている。
「誰だ?」
ミネルヴァは立ち上がり、二人を睨む。
「何の用だ?」
「平崎礼弥といいます!お兄さん、お姉さん、はじめまして!」
礼弥と名乗った少年はニッコリと人懐っこい笑みを浮かべる。
「会って早々悪いのですが…、死んでもらえませんか?」
礼弥が銃を構える。
あたしは懐から拳銃を取り出し、手早く弾を込めた。
礼弥がその銃口を向けてくるよりも早く、撃つ。
弾はコンパクトガンに直撃し、礼弥が銃を取り落とす。
その隙をついてレイドが飛び出した。
「させない。」
後ろに控えていた少女は、スタンガンのスイッチを入れる。
レイドは慌てて止まろうとするも、その攻撃を完全にかわすことはできなかった。
脇腹に直撃し、大きな音を立てる。
レイドはゆっくりとその場に崩れ落ちた。
次にあたしが取るべき行動は一つ。
「ミネルヴァ!」
「ああ!」
動けないレイドを背負い、撤退する。
停めておいた黒のスポーツカーへ飛び乗った。
去っていく車を、二人は追うこともせずにその場で見ていた。
次回、『潜入捜査』です!