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受けとりたい
試し書き
デスクの上から伝わる振動に気がつくとスマートフォンが視界の端で震えている。
ヘッドホンを外すと先ほどまで遮断されていた窓の外の工事の音、隣の部屋から漏れてきこえるTVの音が一気に耳に届いた。ただ、着信は途絶えてしまった。
スマホの画面が光る。そこには『2件の不在着信』と通知があった。作業の途中だったパソコン画面に目を向けると、集中していたからかいつもの数倍も文字の羅列が長かった。素直に嬉しかった。
いつもは14時までかかる作業が、昼前には終わってしまったので今日はもうこのまま終えてよさそうだ。とりあえず、画面をそのままにしておくわけにもいかないので一通りチェックをして保存してからタブを閉じ、そのままシャットダウンをした。足元にあるゲーミングPCの電源も落とした。
保存し忘れて、タブを閉じてしまう事もよくあるのでここは細心の注意が必要だ。
無事にパソコン画面が真っ暗になったところで、スマートフォンをとった。そうしたらまた、通知が増えていた。『送信者:吉田』と表示された。
やってしまった
そこには同僚の吉田さんからの電話だった。しかも2回も電話があった。ああ、留守電あるかな。電話掛け直さないとダメだよな。したくないな。悶々としながら、通知を開くとそこには吉田ではなく高橋の名前と非通知からの着信しかなかった。
「なんで高橋が……」
高橋の電話番号、俺は登録してたのか。でも間違い電話じゃないだろうか。
「あ、メール」
急いでまた別のアプリを開く。そこにはなんて事ないただの業務連絡があった。文末には返信不可と書いてあった。
俺はとりあえず、空になったマグカップを持って台所へと席を立った。それにしても、高橋から電話なんて珍しいな。というか何年ぶりだ。
「懐かしい、高橋か」
ちょっと嬉しいな。学生時代の友達からの連絡なんて、自分にはそんなものこないと思っていた。