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彼は孤独の超能力者だった。一話
一ノ瀬 / evening bell
一ノ瀬です。ローファンタジー小説です。
…何故だ。何故、
"見える"ようになってしまったのか?
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初めまして。俺は英語科を生徒に教えています、|野村《のむら》と言います。
早速ですが、見えてしまったのです。
今、これを読んでいるそこのあなたの感情が。
…俺はいつのまにか、人の"感情"が見えるようになってしまった。
『喜び』や『悲しみ』に『怒り』…など。
とりあえず一つ分かったことがあった。俺は普通ではないということ。
普通がどんなものかはわからないが、とにかく、こんな人間は誰でもおかしいと思うだろう。
感情が見えるのは、どうやら俺の右目がおかしくなったせいだった。
俺は右目に眼帯をつけて、怪我しているように偽った。
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朝、職員室はガヤガヤしていた。
野村『おはようございます…』
いつも通り挨拶をする。机に荷物を置く。
野村『…どうしたんですか?』
俺は自分の机の隣の先生、理科を生徒に教えている『加藤』さんに聞いてみた。
加藤『え?ああ、あたしもよくわからないんだけどね。なんか、無断欠勤した人がいるのよ。』
野村『無断欠勤?誰が。』
加藤『岩野先生。どうしちゃったんでしょうね。』
無断欠勤…。俺にとっては無縁の言葉だった。岩野先生は、保健体育…保体を生徒に教えている先生だ。あの人は大人しくて、若くて、とにかく無断欠勤をする人ではなかったはず。きっと何かあったんだ。そう思った。
この話で頭がいっぱいだったが、加藤先生が俺に質問をしてきた。
加藤『そういえば、右目に眼帯つけてますけど、どうしたんですか?』
ああ、そういえばそうだった。
昨日の絶望感を改めて思い出す。そして感じる。酷く醜い能力を持ってしまったなぁと思う。
野村『…ああ、け、怪我したんですよw』
加藤『怪我?大丈夫でしたか?』
野村『まあ軽い怪我でしたから…w大丈夫でした。』
加藤『よかったです!早く治るといいですね。』
…そんなこと言われたら余計、謎に罪悪感を感じる。
自分の椅子に座ると、俺は今日の授業はどこのクラスに行くか確認した。
確認していたら、|矢上《やがみ》先生が、俺の方に来た。
矢上『おはようございます。』
矢上『目、怪我したんですか?』
野村『ああ、まあ…軽い怪我ですけど。』
矢上『大変ですね…。それで授業できます?』
野村『左目あるんで、できますよww…多分。不便なことは出てくると思いますけどね。』
俺にしてくる会話はこれしかないのか、とか思った。
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よろしくお願いします。