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第三話
数日後。 私は宮仕えもしている中将の君から、 内裏での帝の様子を聞き出した。 返ってきた報告は、呆れて言葉を失うほど 愚か極まりないものだった。
『帝は、女四の宮さまことはお諦めになったようでございます。 しかし、 身代わりが手に入らぬのならせめて形見を愛でよ うとでも思われたのか、亡き桐壺の更衣の形見である二の宮様・・・・・・巷で噂の光る君を、常に御身辺に置いて離そうとしない ご様子で・・・・・』
私はこの話を聞いて激昂した。
ーーもう一度、文を送ってやるわ・・・・・・! あの愚帝は一体何を考えているの!
責めるべき点はまたしても二つ。
一つ目。 前途ある幼子を愛玩の身代わりにし、 まともな教育も受けさせずに手元に囲い込むとは如何なものでしょうか。
二つ目。己の私情に溺れて国の政を疎かにするとは、 国の長として如何なものでしょうか。
追伸。 光る君はこちらで責任を持って教育いたしますゆえ、 金切声で泣くほどに干渉なさらないでください。
よし、 できた。
「命婦、文ができたわ。 読んでみて」
「はいはい、分かりました」
また同じことを言われるかしら。 帝に対してこのような手厳しい物言いをするな、と。
「宮様、 また帝にこのような物言いをなさって・・・・・。 聡明でいらっしゃるのは素晴らしいことですが、 その知識は帝をお説 教するためにあるのではありませんわよ」
「だから言っているでしょう。 あの帝は本当に愚かなのよ!」
私の剣幕に、命婦は大きなため息をつきながらも、最後には納得したように深く頷いた。
「五の宮。 お前はまた帝に手厳しい文を送りつけるつもりなのかい?」
呆れたような、それでいて愛おしそうな表情で話しかけてきたのは、 最近声変わりをされたばかりの格好良いお兄様だっ た。
「ええ!だって帝があまりにも愚かでいらっしゃるのですもの」
「おいおい。それは事実だとしても、帝に向かって面と向かって言って良いことではないよ。 分かっているだろう? 聡明 なお前なら」
お兄様のあまりに真っ当な正論に、 私は返す言葉もなくて苦笑するしかなかった。
「では、お兄様。 この文、 内裏へ行かれる際についでに帝へ届けてくださいましね。 頼みましたわよ」
「やれやれ。 畏れ多いことこの上ないが、 可愛い妹の頼みとなれば断れないな。 喜んで引き受けよう」
さすがは私たち姉妹を溺愛してくださっているお兄様、頼りになるわ。
「ありがとうございます。 では、 お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくるよ。 私の可愛い宮」
私たちののやり取りを見守っていた周りの女房たちは、その仲睦まじい様子にほっこりと顔を綻ばせていた。
読んでくれてありがとう!今回も私の個人の意見が入ってますね‥