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作った答えは強がることと愛想笑いで。
おもち
--- **大ニュース** ---
その日、インターネットとエンタメ界の歴史が、一瞬にして塗り替えられた。
株式会社STPRの公式X、歌い手「りんね」の公式アカウントから、同時に一つの重大発表がポストされた。
『【お知らせ】この度、歌い手「りんね」が株式会社STPRに所属することとなりました。すとぷり、AMPTAKxCOLORS、騎士X、めておら、すにすての後輩として、新たな一歩を踏み出します。今後とも変わらぬご声援をよろしくお願いいたします』
その瞬間の爆発力は、凄まじいものだった。
スマホの画面が、狂ったような速度で通知を刻み始める。
Xのトレンド欄は、1位の「#りんねSTPR所属」を筆頭に、「登録者100万人」「ロストワンの子」「すとぷりの後輩」といった関連ワードで瞬く間に埋め尽くされた。
『マジか!!!あのりんねちゃんがSTPR!?最強すぎる!!』
『すとぷりやAMPTAKの後輩になるの!?コラボが今から楽しみすぎて死ぬ』
『顔出しなしで100万人いったりんねちゃん、ついにプロの世界へ……!おめでとう!』
タイムラインを埋め尽くす、何万、何十万もの祝福と驚愕のコメント。
TikTokやYouTubeのショート動画でも、ファンたちが作ったお祝いの切り抜き動画がミリオン再生を連発し、ネットの世界は完全に「りんね」一色に染まった。
さらに、その熱狂はネットの海だけに留まらなかった。
翌朝、リビングで真白お兄ちゃんがつけたテレビのバラエティ番組。
エンタメニュースのコーナーで、見覚えのある私のアイコンが画面いっぱいに映し出された。
「続いてのニュースです。ネットシーンを揺るがす電撃発表です!圧倒的な歌唱力でチャンネル登録者数100万人を突破した、正体不明の現役高校生歌い手『りんね』さんが、大人気グループ『すとぷり』『AMPTAK×COLORS』などが所属する大手事務所・STPRへの所属を発表しました!」
アナウンサーの弾んだ声と共に、私の『ロストワンの号哭』の歌ってみた動画が地上波で大音量で流れる。
「テレビでもやってる……。お兄ちゃん、これ本当に私、なんだよね?」
ソファの上で膝を抱えながら、私は夢を見ているような心地で画面を見つめていた。
「ああ、本当だよ。すごいな、恋白。もう『知る人ぞ知る』じゃなくて、日本中が注目する大スターだよ」
キッチンから朝食のプレートを運びながら、お兄ちゃんは誇らしそうに、だけどいつもと変わらない優しい眼差しで微笑んでくれた。
かつて私は、学校という小さな教室の中で、嫌われないように愛想笑いを浮かべ、傷つかないように「大丈夫」と強がって生きていた。
自分の居場所なんてどこにもないと思って、作った答えばかりを周りに差し出していた。
だけど今、テレビの向こうでも、スマホの画面の向こうでも、何百万人もの大人が、同世代が、私の歌声に熱狂し、私の未来に期待してくれている。
「……よし、お兄ちゃん。今日も勉強、頑張る」
「あはは、その意気だよ。いくら大ニュースになっても、今日の分の数学は免除されないからね」
真白がクスッと笑って、私の頭を小突く。
外の世界がどれだけお祭り騒ぎでも、この温かいリビングとお兄ちゃんの存在が、私を「七五三掛恋白」という一人の等身大の女の子に引き戻してくれる。
作られた笑顔も、偽りの強がりも、もう必要ない。
私は最高の理解者であるお兄ちゃんに見守られながら、STPRという新しい大きな舞台で、100万人、そしてこれから出会うもっと多くの人たちに向けて、本物の私の歌声を響かせていくんだ。