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作った答えは強がることと愛想笑いで。
おもち
--- **初配信** ---
焼肉屋での打ち上げから数日後、私の17歳の誕生日である1月12日に向けて、STPRの総力を挙げた巨大なバースデープロジェクトが動き出した。
その中核となるのが、すとぷりのるぅとさんプロデュースによる、私にとって初の「誕生日記念オリジナル曲」の制作だった。
「りんねちゃんのこれまでの葛藤も、これからの希望も、全部詰め込んだ最高の曲にしよう!」
STPRのスタジオで、るぅとさんは優しく微笑みながら、いくつものメロディの欠片を聴かせてくれた。
学校で愛想笑いを浮かべ、強がっていた「七五三掛恋白」の過去。
そして、お兄ちゃんやSTPRの先輩たちに救われ、本音で歌えるようになった「りんね」の現在。
るぅとさんの作る繊細で力強いメロディに、私は自分の言葉で紡いだ歌詞を乗せていく。
昼間はお兄ちゃんに勉強を教えてもらい、夜は歌詞を練り上げる、目まぐるしくも充実した毎日が続いた。
そしてもう一つ、誕生日当日に向けたとんでもない企画が決定した。
1月12日の誕生日に、初の「りんね・誕生日記念V体生配信」に挑戦することになったのだ。
顔出しをしていない私にとって、V体はリスナーのみんなにリアルタイムの動きを届けるための大切な身体になる。
STPRの技術スタッフさんたちが、私のために最高に可愛い2Dモデルを仕立ててくれることになった。
「動きのテストをするから、りんねちゃん、ちょっと自由に動いてみて」
スタジオでモーションキャプチャーの機材をつけられた私は、緊張のあまり、逆に身体が変な動きをしてしまった。
「う、うん……?りんねちゃん、なんか、思ってたより……すごく動くね?」
スタッフさんが画面を見ながら目を丸くする。
そして迎えた1月12日、誕生日当日の夜。
オリジナル曲『タイトル未定』のMVがプレミア公開され、その直後に始まった「V体お披露目生配信」。
画面の裏では、真白お兄ちゃんと、すとぷりのななもりさんたちがハラハラしながら見守ってくれていた。
「――みんな、こんばんは!STPR所属、歌い手の『りんね』です!今日で17歳になりました!」
配信が始まった瞬間、リスナーの前に現れた「りんね」のV体は、これまでのSTPR Familyの誰のV体よりも、凄まじい躍動感で動き出した。
私が嬉しくて笑うと、V体の目がこれ以上ないくらい細くなり、口が大きく開く。
驚けば目が漫画のように丸くなり、ちょっと照れると顔が真っ赤に染まる。
最新の技術とスタッフさんのこだわりによって、私の豊かな(というか激しすぎる)喜怒哀楽が、完璧に画面の向こうへと同期されていた。
『待って、りんねちゃんのV体、めっちゃ表情豊かで可愛い!!!』
『どのFamilyのV体よりも顔が動くじゃんwww生きてる質感がすごい!』
『歌声のクールなイメージとギャップありすぎて最高なんだけど!!』
リスナーは大喜びでコメント欄を爆速で埋めていく。
だけど、配信が進むにつれて、もう一つの「私の本性」がリスナーにバレていくことになった。
「あ、スパルタお兄ちゃんから……じゃなくて、お兄ちゃんからのプレゼントはね!あ、でもその前に、るぅとさんの曲の話したっけ!?ええと、あの、コメント早すぎて読めない!待って待って!」
私は嬉しさと緊張でテンションが爆上がりし、手振りを交えながら、画面の中で右へ左へと小刻みに動き回っていた。
落ち着きがなさすぎて、V体の髪やリボンがずっと激しく揺れている。
『りんねちゃん、めっちゃ落ち着きがないことが発覚wwww』
『ずっとちょこまか動いてるの小動物みたいで愛おしいんだが』
『ロストワンであんなに格好よく叫んでた人と同一人物ですか?ww』
「ち、違うの!普段はもっと大人しいんです!学校でも地味って言われてたし……あ、学校はもう辞めたんだけど!うわあああ、お兄ちゃん助けてー!」
画面の端で、お兄ちゃんが「あちゃー」という顔をしておでこを押さえているのが見えて、私はさらに顔を真っ赤にしてジタバタした。
かつて学校の教室で、誰にも嫌われないように愛想笑いを貼り付け、クールに強がっていた私は、そこにはもういなかった。
落ち着きがなくて、表情がうるさいくらいに変わる、これが作られていない、17歳になったばかりの「七五三掛恋白」の本当の姿。
「みんな、たくさん笑って、たくさんお祝いしてくれてありがとう。17歳のりんねも、全力で本音を歌っていくから、ついてきてね!」
画面の中で最高に輝く笑顔を浮かべる私に、100万人を超えるリスナーからの「おめでとう」の弾幕と、お兄ちゃんからの温かい拍手が、いつまでも降り注いでいた。