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作った答えは強がることと愛想笑いで。
おもち
--- **対面** ---
STPRからのDMに、私は震える指先で「よろしくお願いいたします」と所属への意思を伝える返信を送った。
それから数日後、画面に届いたのはSTPRのオフィスでの、実際の顔合わせの日程だった。
『今回は16歳というご年齢でのご所属となりますので、ご本人様がよろしければ、保護者様やご家族の方にもぜひ同席していただければと存じます。安心して活動できる環境を一緒に作っていきましょう』
メッセージには、そんな温かい気遣いの言葉が添えられていた。
「高校生が歌ってみた」という動画のタイトルを見て、STPR側がまだ高校生の未成年の私を深く心配し、配慮してくれたのだ。
「……お兄ちゃん、顔合わせの日程が決まったんだけど」
「うん、メッセージ見たよ。恋白、一人じゃまだ不安だろ?」
リビングのソファで、真白が優しく微笑みながら私の頭を撫でてくれた。
いくらチャンネル登録者数が100万人を超えたとはいえ、私は少し前まで学校で愛想笑いを浮かべて強がっていただけの、ただの高校生だ。
芸能界のようなプロの世界に一人で乗り込むには、やっぱり少しだけ足がすくんでしまう。
それを誰よりも分かっている真白は、迷うことなく「俺もついていくよ」と言ってくれた。
顔合わせ当日。
私はいつも学校に着ていたブレザーの制服ではなく、お兄ちゃんが「プロの事務所に行くんだから」と選んでくれた、少し大人っぽい私服に身を包んだ。
お兄ちゃんも、普段のバイト着ではなく、クローゼットの奥から引っ張り出してきた綺麗なシャツを着ている。
東京・渋谷。すぐ近くにそびえ立つ、洗練されたSTPRのオフィスビルを見上げたとき、私の心臓はうるさいくらいに跳ね上がった。
「大丈夫だよ、恋白。お前の後ろには100万人のリスナーと、俺がいるんだから」
エレベーターに乗る直前、真白が私の手をぎゅっと握ってくれた。
その手の温もりが、私の震えをそっと止めてくれる。
いつだって私を窮地から救ってくれた、世界で一番信頼できるお兄ちゃんの手。
「……うん。行ってきます!」
私は、もう誰の目も気にしない、本物の笑顔をお兄ちゃんへと返した。
学校での偽物の答えは全部捨てた。
ここから始まる「りんね」としての本当の物語の扉を、私は最強の味方である真白と一緒に、力強く押し開けた。