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過去になった
琥珀色の街、上海蟹の朝-くるり
肌をゾワゾワと逆撫でていくような、あの身の毛のよだつ感覚を忘れてしまった。怒りと言葉で脳を固めて、縮こませた時のあの顔の皮膚まで熱が伝導していく感じ。
嫌だ。もうあの頃の力や言葉、視線、景色、思考は返ってこないのだろうか。
ああ、わたしはずっと間違っていた。虚しいっていうのはきっと解放された事をいうんだ。
もう怒りが噴き出ることはないだろう。
不満と悔しさが心を蝕む事も、なくなっていくのだろう。許せない、壊してやる、遮るな、そんな言葉で針の筵の如く、周囲を敵と見做していたあの頃の歯痒さや孤独、地団駄を踏んで、ただ行き場を見失ったあのやるせなさすら、もう湧き出てくる事は絶対にないだろう。
乗り超えてしまったからだろうか。
もうわたしは、弱くはないのだ。子供ではなくなったんだ。
取り戻したい。あの歪な形で澄んだ色をした苦く、鮮やかだった瞬間を
死んでいない芽が今はとても『憎い』
憎いは状態
かたちづくっても、そこにあるのは造形された怒り未満のモノだ
こんな整ったものなど、忌まわしい蟠をまくような頭の中には生まれない