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第十三話 救世主
「やめてっ!」
手を上げた九里さんに向かって、なにもできないくせに突進する。なにもできないし、スキルもない。無力だけれど、少しはマシだろう。早速振り払われたけど。
一方、視界の端で西園寺と待機していた美桜が逃げていったのが見える。美桜ちゃんはいいけど、西園寺め、逃げやがって、、、。でもとりあえずわたしはこっちに集中だ。
すると苛立たしそうな表情の九里さんはパンっと手を叩く。普段だったらハエでもいたのかな、と思うけど、この状況では、嫌な予感しかしない。
そう思った私はまふゆの方を振り返ろうと、首を動かそうとする。
え。く、首が、か、硬い、、、?
なんと、体は、髪の毛一本でさえも固まっていた。風も吹いているのに、まるで時が止まったようだ。でも鼓動が聞こえるし、心臓は動いている。、、、体の表面?だけが動いていない。視界が動かないからわからないけれど、怜やまふゆ達もこの状態なんだろう。にしても九里さんのスキル、結構厄介だな、、、。九里さんの髪の毛は動いてるから、止める人は選べるっぽい?
「ざまぁみろ。わたしが解除しない限り、オマエらそのままだね。うーん、じゃぁ、なにしょっかなー。」
笑みを浮かべ、九里さんはまふゆの方に向かっていく。
「お前、優等生ですっごいムカつく。いっつもヘラヘラした笑顔だけどさ。どうせ家に帰ったら人の悪口でも考えてるんでしょ?偽善者さん。」
九里さんは指をパチンと鳴らし、わたし達は動けるようになった。体が、ちゃんと動いている。
「解除してあげるねー。私、優しいから。で、そうやって探偵部だっけ。で、ヒーロー気取りしてさ。なにが楽しいの?おまけに友達も巻き込んで、さ」
その言葉にまふゆの手が反応する。
「あんたみたいな弱者が、なにきどってんの?」
ヘラヘラとした笑みを浮かべた九里さん。、、、何も、なにもまふゆのことはなに一つ知らないくせに、よく言える。そしてわたしが思わず立ち上がった、その瞬間。
**「うるさい」**
まふゆの声だ。今までで一番、怒っているような気がする。
「私が偽善者?確かにその通りかもしれない。だからって、あなたみたいなやつが救世主の演技をするのは反吐が出る」
「なんなの?急に言い出してッ、、、!」
九里さんが喋ろうとした瞬間、まふゆが胸ぐらを掴む。な、殴ろうなんて、考えてないよね、、、?
「あの事件の主犯を操っていた奴が今更優しいとか、ないでしょ!」
そうだったんだ。あの時、確かに主犯はわかったけれど、あれは「なにもやってない、言われただけ」とか言ってた。まさか、その犯人が九里さん、、、?
そんなことより、今だ。まふゆは九里さんに絶対に何かやろうとしてる。いくら悪人だとしても、傷つけるのは、、、!
するとその時。
「え、ちょっとさいっち。こんなマズイ状況だとは聞いてない」
「いやおれがいた時から時間経ってんですからね?考慮してください。あとさいっちはやめて下さい」
「み、みなさん!多分大丈夫です!」
屋上の入り口からやってきたのは、、、美桜ちゃん、卑怯者・西園寺と一ノ瀬先輩!
先輩、ふにゃふにゃしてるけどまぁ任せとけばなんとかなる、みたいな安心感があるんだよね。
「、、、誰ッ。」
「西園寺に、先輩?」
あ、そっか。九里さん、先輩と初対面じゃん。なんか気まず、、、。いやそれどころじゃない。
胸ぐらを掴んでいたけど力が抜けたまふゆの手を払い、九里さんはもう一度手を叩く。
やばい、これじゃ先輩まで停止くらっちゃう、、、!と思ったけれどわたしは止まってしまう。
でも、わたしの焦りは完全に杞憂だった。
「いや〜弱いね〜。まだこれだけの人数しか止められないの?時ぐらい止められなきゃ」
、、、?先輩??
先輩、声を出せるってことは、九里さんのスキルが効いてないってこと、、、??まさか、先輩もスキルを使ってるとか。じゃなきゃ、無効化なんてできない。あとサラッと時ぐらいって言ってた、、、。
パチンッと音がして、今度は九里さんも止まってしまったのが見える。するとそこに近寄っていく先輩。
なんで二つもスキルが使えるのかはさておいといて、早くわたし達の解除をできるならばお願いしたい。
「うわ〜、ついてる。あ、解除しておくね」
、、、?なにそれ。でも、わたし達は解除され、動けるようになった。(九里さん以外)
みんなが動き出し、わいわい話そうとする中。
「この人、どうすればいい?」
困惑した顔でこっちをみる先輩。
それを見て、わたしは気づく。一ノ瀬先輩、そういえば九里さんの名前知らないんだ、、、。あ、でもどうしよう、、、。
「とりあえず能力の無効化はしておくね。厄介〜」
無効化なんてできるんだ、、、。よくわかんないけどすごい。わたしも早くスキル、使えるようになりたいなー。
「まじでナイス、西園寺と天野!」
「当然のことをしただけです」
「えへへ、ありがとうございます!」
あの事件との繋がりとか、まだ消えてない不安もあるけれど、とりあえず一旦は「不幸の手紙事件」は解決したようだった。
後半色々雑ですが許してください