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第十六話 海が見えるこの場所で
怜のスキル発覚事件から二週間たった、ある休日。
今日はもうすぐ夏休みということで、まふゆとわたし、美桜ちゃんは夏休みの計画を立てるべく、まふゆ邸に来ていた。夏休みの計画って言っても、ほぼ遊んでるんだけど。
「うわっ!まふゆ、ちょっとあっち行ってよ!」
「でもこっち敵居るじゃん!!あ、危ない、咲葵っ」
「うぎゃっ」
「い、今行きます!」
「ありがと〜!」
夏休みの計画を立てるという遊ぶための口実をほったらかし、わたし達はゲームをしていた。
わたし、下手だなぁ。でも意外に美桜ちゃんがうまかった。あっ。また死んだ。うぅ、、、。これ、初心者モードのはずなのになんでわたしだけこんなに倒れる回数が多いの、、、?
ゲームが一段落し、疲れたわたしは近くにあったソファに寝っ転がる。まふゆの家のソファ、柔らかくて寝心地が良くて肌触りも良くて、色も綺麗で高級そうで最高なんだよね〜。
わたしがソファを堪能しているところ、まふゆが背伸びをしながら提案する。
「疲れたしさ、ちょっと散歩行かない?咲葵はここら辺来たことあるだろうけど、美桜ちゃんここから家遠いし、ちょうどいいと思って。」
すると美桜ちゃんは目を輝かせる。
「いいですね!行きましょう!!」
「「おー!」」
ということでまふゆの家の近くを歩いてみることになった。わたしもまふゆと小学校が同じで家もまぁまぁ近いので、ここら辺は来たことがある。けど美桜ちゃん、隣の市から通ってるっていってたから、ここら辺全然来たことないんだろうな。
まずまふゆ家を出ると、すぐにでっかい道路がある。前、ここでわたし自転車で転んだんだよね、懐かしい。それで怜が思いっきり煽ってきてわたしがブチ切れてまふゆがなだめて、それで帰るのが遅くなってお母さんに心配されたんだよね。まぁ一年も経ってないんだけど。
美桜ちゃんに色々説明していたまふゆがこっちを振り返る。どこに連れていってくれるんだろ。今日、そんなに暑くないから割とどこでもいけそうだよね。どこにいくかわからないので、水筒とかスマホとか、割と色々持ってきた。
「どこいく?」
、、、え、まふゆ考えてなかったの?いやでも妙に抜けてるところがあるまふゆならあり得るか。わたしも考えてなかったし。
「か、考えてるんじゃ?」
すると気まずそうな顔をするまふゆ。
「えーっと。考えていません。」
「考えてなかったんですか、、、。」
ガクッと肩を落とす美桜ちゃん。まふゆって意外とこういうこと考えてなかったりするけど美桜ちゃんからしたら意外だよね、、、。あんな済ました顔してんだし。
「ま、まぁさっきのは置いといて!近くに景色がいいところ知ってるから行かない?」
「置いといていいのかはまぁいいとして、、、行こう!美桜ちゃんは大丈夫?」
すると美桜ちゃんは目を輝かせる。
「はい!いってみたいです!」
「よし、じゃぁ行こう!」
まふゆが行こうとしたのは近くの海が見える公園だった。太陽の光を受けてキラキラ水面が光るのがすごい綺麗らしい。わたしも初めていくのですごい楽しみだ。
歩いて十分、わたし達はその公園に着いた。お昼に近い時間帯だからか、人はわたしたちと数人しかいなかった。
「お、思ったより大きかったです、、、!」
「でしょ」
学校の体育館よりもかなり大きい公園だった。わたしの家の近所にある公園は公園といっていいのかわからないっていうほど小さいからこんな大きい公園に来たのは久しぶり。小学校の遠足以来かも。
「まふゆそういえばどこから海見えるの?」
ふふ、とまふゆは微笑みわたしと美桜ちゃんを手招きする。
「それがね、、、こっちきて!」
まふゆに案内されるがまま歩いていく。木や遊歩道、遊具のある場所を超えていくと、森っぽいところに突入。虫がいる、、、うぇっ。
「ま、まだですか!?」
「もうちょっとだから頑張って!」
「むしぃぃぃぃぃ」
その後少し歩くと、急に森を抜け、、、、海が見えた!
周りはそこらへんだけ草が広がっていて、柵を越えた先には海が見えた。
「うわぁ、、、、綺麗。」
「まふゆさん、よくこんなところ知ってますね、、、!」
光を反射してキラキラと輝く海はまるで宝石のようだった。遠くには船が見える。そこだけがまるで現実じゃないような気がするほど綺麗で、、、息をするのも忘れるほど見入っていた。
わたし達は近くにあったベンチに三人で座り、海を眺める。
「ふふ、、、いいでしょ?」
「えっ!!?」
まふゆじゃない声が頭上から急に聞こえた。バッと後ろを振り向くと、桜色着物を着た、同い年かちょっと小さいかぐらいの女の子が。
いや誰ぇぇぇぇぇ。あといい匂いするぅぅぅぅ。
もしやわたしだけがこの子を知らないのか、と思いちらっとまふゆと美桜ちゃんを見ても二人だって驚いている。知り合いじゃないのか、、、。
「ここ、私のお気に入りの場所なの。綺麗でしょ?」
いやなのってぇぇぇぇぇ。誰!?でも、さっき気配が全くしなかった、、、、。
「じゃぁね、バイバイ」
最初の「えっ」しかわたしは喋ってないのに、その女の子は手を振り、やがてどこかへ走り去っていってしまう。森の方に行ってたけれど、着物に虫とかつかないのかな、、、。
「今の人、、、誰?」
まふゆが疑問に満ちた表情でこっちを見つめてくる。
「いやわたしだって知らないよ!?誰!?」
「私も知りません、、、。初対面です。」
本当に誰も知らないんだ、、、。なんで話しかけてきたんだろう。
しかも七月になって着物って、、、暑くないのかな。半袖っぽいというかなんかアレンジされた着物だった??ぽかったけど。
「と、とりあえず、、、もう12時だし帰ろっか。」
「だね」
「ですね」
二人ともまだ困惑した表情のままベンチから立ち上がり、森の方へ進んでいく。
「まふゆさん、あそこって有名なんですか?」
「いや、、、今まで行った中で一回も人がいるのを見たことがなかったからわかんないけど、、、穴場だと思う。」
森の中を進んでいきながらみんなで考える。
「あの子、見たことないんだけど、、、」
そう言いながら喉が渇いたなと思い水筒に手を伸ばす。、、、ん?水筒?
「あっ水筒忘れてた、、、。」
後ろを振り返るとさっきの場所からそんなに離れていない。
「取りに行ってくる!」
そういうなりわたしは身を翻し、ダッシュ。まふゆ達が何か言ってるけど、、、いいや。そんなに時間かからないし。
あの場所に戻ると、ベンチにはわたしの水筒。あの子は、もういない。
危ない危ない、このままじゃ一週間放置するところだった、、、、。
そう考えて水筒に手を伸ばすと、ベンチに七月には不似合いな綺麗な桜の花びらが落ちていた。しかも、一つなら偶然かもしれないけれど、何個も落ちていた。
(、、、?)
疑問に思ったけれど、まふゆにあとで怒られると怖いので、わたしは深く考えずにその場を去った。
夏休みに戻りたい、、、。