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|夕月華菜《ゆうづきはな》と並んで教室に入ると、教室にいた全員から|怪訝《けげん》な目を向けられた。
それも当然だ。
クラスの隅で存在感を消して過ごしている僕と、常にクラスの中心にいる夕月華菜が一緒にいるなんて、誰だって不思議に思うだろう。
僕は自分の席に戻って、担任が来るのを待った。
5分ほど経った頃、教室の扉が開いて担任が入ってきた。
僕のクラスの担任───|木元将《きもとまさる》先生は、親しみやすい性格で生徒から人気がある。
木元先生は教壇に立つと、クラスを見渡して欠席者の確認をした。
僕自身、名前を呼ばれて返事をするのが苦手なので、それがないのはとても助かっている。
今日の朝礼では、修学旅行についての話があった。
班は自由に決められることになったようで、今日の5限目、事前学習の時間までに決めておくようにと言われた。
朝礼が終わり、各々が行動を始める。
授業の予習・復習をする人、読書をする人、友人のもとに行って話をする人など、その行動は様々だ。
今日は、周囲から修学旅行の班について話す声が多く聞こえてきた。
ちなみに僕はいつも、授業の予習をしながら|英美《えみ》と話している。
僕が1限目に使う教科書やノートを準備していると、英美が凄い勢いで近づいてきた。
僕が顔を上げると同時に、英美は僕の肩を掴んで強く揺さぶった。
「なんでさっき夕月さんと一緒にいたの!? 2人って関わったことすらなかったよね!? 説明して〜!」
「わかったから1回離して。頭おかしくなりそうだから…!」
僕がそう訴えると、英美は「ごめんごめん」と言いながら僕の肩を離して、空いている隣の席に座った。
「で、どういうことなの?」
英美に改めて聞かれ、どこまで言っていいものか少し考えた後、口を開いた。
「屋上に行ったら夕月さんがいたんだ。そこで少しだけ話した。ただそれだけ」
「話したって何を?」
「屋上に来た理由を聞かれたから、いつもそうしてるって答えた」
英美はまだ納得していないようで、僕を|訝《いぶか》しげな目で見てくる。
「ほんとにそれだけ?」
「それだけだって」
本当は他にも話したことはあるが、「内緒にして」と言われたため、それについて話すわけにはいかなかった。
「じゃあどうして一緒に帰ってきたの? 結だったら先に戻ってくるとかしそうだけど」
「話の途中でチャイムが鳴ったから、必然的に一緒に戻ることになったんだよ」
そこまで言ったところで、1限目の始まりを知らせるチャイムが鳴った。
英美はまだ何か言いたそうだったが、渋々といった感じで自分の席に戻っていった。
ふと気になって夕月華菜を見ると、彼女もこちらを見ていたのか、目が合ってしまった。
僕は慌てて顔を背ける。
その後に、顔を背けたのは印象が悪かったのではないか、という不安に襲われ、1限目は授業に全く集中できなかった。