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|奈桜《なお》との衝突から二週間。
その間、私はいつものグループの中心で笑っていて、奈桜だけが一人きりで過ごしていた。
今は昼休みで、みんなでお弁当を食べている。いつもの奈桜の場所──私の隣の席だけが空いていて、それが目に映るたびに心にぽっかりと穴が開く感覚がした。
「…な、はな!」
「あ、はい! なんでしょうか!」
友達の声が聞こえ、慌てて答える。いつの間にかぼーっとしてしまっていたようだ。
周りを囲む友達を見回すと、皆一様に不安げな表情で私の方を見ていた。
声をかけてきた友達の一人が口を開く。
「ねぇ、華菜。…まだ奈桜と話してないの?」
そう言われて、私は曖昧に笑う。
自分が一番気にしていることを、友達とはいえ何の関係もない人に指摘されるのは心底不快だった。
「私、華菜と奈桜が一緒に笑ってないと嫌なの。…ちゃんと話せば仲直りできるから。私たちも協力するからさ、ね?」
「うん。そうだね…」
ちゃんと話せば、か。確か|結《ゆう》にも同じことを言われた。
一人きりで悩んでいた時、結だったらいい答えを出してくれるんじゃないかと期待して、奈桜とのことを打ち明けた。
だけど返ってきた答えは、私が期待していたものとは程遠いものだった。
勝手に期待して、勝手に落胆するなんて最低すぎる。
「じゃあ、今話しちゃおっか!」
そう言って立ち上がった友達は、そのまま奈桜のもとに向かおうとした。
私は慌ててその子の腕を掴んで引き止める。
「ちょっと待って! 奈桜とは…ちゃんと話すから。自分のタイミングで」
「そう?」
友達はほっとしたように息を吐いて席に座り、周りの友達と喋り始めた。
私も気持ちを切り替えてその輪の中に入っていった。
帰りのホームルームが終わり、教室からクラスメイト達が出て行った。
部活がない人や、そもそも部活に入っていない人は、教室に残って友達と話している。
今日、私は部活が休みで、残っている友達も見当たらなかったから、荷物をまとめ終えてすぐに教室を出ることにした。
私が出入り口のドアを開けて廊下に一歩踏み出したその時、
「華菜!」
私の名前を呼ぶ声がした。
後ろを振り返ると、そこには強張った表情を浮かべた奈桜がいた。
「な…」
「華菜ごめん!」
奈桜は私の言葉を遮ってそう言い、次の瞬間、勢いよく頭を下げた。
教室に残っていた何人かのクラスメイトが目を丸くしてこちらを見ている。
私自身も奈桜の行動に驚いていたが、なんとか奈桜を促して階段へと移動した。
しばらくの沈黙の後、奈桜が口を開いた。
「華菜。…あの時、私、言い過ぎた。ごめんね」
奈桜がしょんぼりした顔で私を見つめてくるのを見て、私は思わず奈桜を抱きしめた。
「全然いいよ! 私の方こそ、不安にさせちゃってごめん。私は奈桜のこと一番大事に思ってるからね!」
「ありがとう。…というか抱きしめなくてよくない?」
そう言った奈桜はいつも通りのテンションに戻っていて、それが嬉しくて、私は奈桜をさらに強く抱きしめた。
「奈桜は、どうしてあんなこと言ったの?」
奈桜から離れて私がそう聞くと、奈桜は僅かに俯いて考え込んだ後、答えた。
「うーん…華菜が有栖結にとられるのが嫌だったから、かな」
「え、それってヤキモチ!?」
私がそう言うと、奈桜は頬を紅く染めて小さく笑った。
「奈桜から離れることなんてないからね」
「ふーん…、あの後から一回も話しかけてこなかったくせに?」
「あ! それは言わなくていいじゃん!」
前みたいに一緒にふざけられるのがすごく嬉しくて、私たちは2人で笑いあった。
最後まで読んでくれてありがとう!
次回は8,9話、1/30投稿予定です!
ではまた〜!