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episode.14
四期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
--- episode.14 |少年と光に焼かれた女《boy and woman burnt by light》 ---
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ルイスside
「これからどうしよう」
そう呟きながら、僕は空を見上げていた。
探偵社の厄介になるわけにはいかない。
かと言って、行く宛があるわけでもない。
何処かの組織に入れば、幾分か見守りやすい気がする。
「……否、それは無いな」
古い知り合いと交流したせいで、ルイス•キャロルという人間が変わりつつある。
それは良いことなのか、はたまた悪いことなのか。
今の僕では判断ができない。
「おや、ルイスではないか。息災じゃったか?」
「これはこれは、ポートマフィアの幹部サマが何故こんなところに?」
ポートマフィア幹部──尾崎紅葉。
行く先々で何故こうも知り合いに会うのだろうか。
もしかして今朝の占いが最下位だったせいかな。
とりあえず、くだらない事を考える余裕はあるらしい。
「愛しの鏡花を迎えに行くところでのぉ……お主も連れてくるよう鷗外殿に頼まれておるのだが、一緒に来るかぇ?」
断る、と僕は即答した。
数年共に過ごした紅葉なら、僕が断ることぐらい想像できていたのだろう。
驚いているわけでも、悲しんでいるわけでもない表情をしている。
「やはりそう答えるのじゃな、ルイス」
僕は昼の世界で胸を張って生きることも、夜の世界でこれ以上手を染めることも出来ない。
軍人となり英国に尽くした時点で、この未来は確定したのだろう。
どれだけ称賛されようとも、僕がしてきたことは殺人鬼と大差ない。
強く握り締められた拳は爪が刺さって、少しだけ痛い。
「一番は鏡花じゃ。お主と共に過ごす日々を取り戻すのは、また今度にしよう」
「また会わない事を願っているよ、紅葉」
さて、と僕は彼女の背を見ながら考える。
紅葉と此処で出会ったということは、鏡花ちゃんは意外と近くにいるのだろう。
ポートマフィアに戻ることが彼女にとっての救いなのかは、分からない。
光でも闇でも沢山の困難に頭を抱えてしまうだろう。
『君、何で此処から逃げないの?』
『私は……闇に咲く花は、闇にしか憩えないから……』
いつの日か、紅葉とした会話を思い出す。
確かに光に焦がれ、焼かれて落ちたかもしれない。
でも、鏡花ちゃんが同じ道を辿ると断言できる根拠はない。
「……本当に変わったな」
僕はため息を吐く。
そして、紅葉の後をついていくのだった。
「夜叉白雪よ。鏡花に近寄り嘘の世界を教えるものに、罰を与えよ」
その瞬間、血の匂いが風に乗って流れてきた。
近くに誰かがいるのだろう。
どうにか物陰に姿を隠しながら見てみると、敦君が紅葉に踏まれていた。
「彼女はもうマフィアには戻らない! 彼女の力は探偵社の仕事で振るわれるものだ!」
「……!?」
「矢張り……鴎外殿の許可など待たず、迎えに来るべきであった。このような欺瞞と偽善の巣にそなたを一秒も置いてはおけぬ」
紅葉は本気で泣いていた。
鏡花ちゃんの事を心配しているが、彼女は組織に戻るつもりはあるのだろうか。
「案ずるでない。異能目当ての屑共など、|私《わっち》が微塵に切り裂いてくれる」
「マフィアがそれを云うか……!」
敦君は紅葉に飛び掛かる。
しかし、そう簡単に五大幹部へ攻撃が届く筈がない。
一瞬にして血だらけになった敦君を挟み、夜叉の刃は柱に突き刺さる。
夜叉白雪ではないもう一体の夜叉──金色夜叉。
鏡花ちゃんとは違って自身の意思で操作できるだけでなく、紅葉自身の実力もあって五大幹部へと上り詰めた。
「悪いのう、|童《わっぱ》。これも仕事でな」
「やめて!」
森さんは敦君だけでなく、探偵社の鏖殺を望んでいるらしい。
組合が来ているのに、二組織で戦争するのは本当に最適解なのだろうか。
「判った。戻ります。だから……」
「凡てはそなたの為じゃ。いずれ判る時が来る」
傘を差し、鏡花ちゃんの手を引いていく紅葉。
今のうちに敦君を|異能空間《ワンダーランド》へ引き込めば、これ以上傷が悪化することはない。
敦君は胸を貫かれていた。
虎の再生能力は素晴らしいけど、流石に心臓を貫かれたら死んでしまうのではないだろうか。
与謝野さんに早く診せた方がいい。
そう考えていると、紅葉の傘が地面に落ちた。
鏡花ちゃんが寄りかかったように見えたが、短刀を向けているのだろう。
「明るい世界を見た。知らなかった頃にはもう戻れない」
「……それを使うな。使えばそなたは」
「夜叉白雪、私の敵を倒して」
鏡花ちゃんは震えていた。
殺戮の権化である異能力を自らの意思で使うのは、勇気がいるのだろう。
今まで人の命を奪う為にしか使ってこなかったのなら尚更だ。
「……今出るわけにはいかない、か」
微かに聞こえる車の走行音。
それは徐々に近づいてきていた。
多分、紅葉の部下達が待機しているところなのではないだろうか。
下手に出て、格好の的になると色々と面倒だ。
「戻れ鏡花、判っておる筈じゃ」
「嫌──戻りたくない、それでも私は──」
戦いの行く末を、僕は見守ることしか出来ない。
「そなたは目的の為に|凡百《あらゆる》殺戮を正当化する。その本性は変えられぬ」
そのように夜叉を武器として使える筈がない、か。
鏡花ちゃんはやはり暗殺者としての才能がある。
本人が気づいているのかは判らないけど、辛いだろうな。
「何故なら夜叉は、そなたの両親を惨殺したのじゃから」
「そんな、どうして……」
「違うの……これは、」
携帯が地に落ち、夜叉は消える。
予想通り黒服が現れたし、どうにか敦君を助け出さないと蜂の巣にされてしまう。
「頭、下げてくださーい」
「え?」
黒服が乗ってきたであろう黒塗りの車が、空から降ってきた。
「は、何で……え?」
語彙力が何処かに行った。
その代わりに賢治君と国木田君がやってきた。
探偵社が増援、ねぇ。
鏡花ちゃんの携帯の|指示式《プログラム》を変えたとはいえ、着信があったら信号が出るようにしていたのだろう。
「探偵社の毒虫め……鏡花にこれ以上、毒の光を見せるな!」
「組織同士の全面戦争と云う訳か。この忙しい時に」
巻き込まれるのは嫌だし、逃げるか。
「ワァ、タイミング最高」
そう思ったら、聞き慣れない声が聞こえてきた。
誰かな、と覗いてみると外国人が二人いる。
会話を聞く限り、二人とも『組合』の人間か。
「あ、そこ危ないよ。『|荷物《パッケージ》』が届く頃だから」
また上から何かが落ちてきた。
今度は何事だ、と砂埃が落ち着くのを待っていると四つの人影が見えた。
すぐに紅葉が指示を出して攻撃させる。
No side
「ポオ殿とオルコット殿はどちらに」
「高い所をお恐れあそばして、お残りに」
死ねばいいのに、と傘を差した女性は小さく呟いた。
「楽な仕事だったね! 皆、余った時間でドライブに行かない?」
青年の言葉は無視して、組合の五人は歩いていく。
追い掛けていた青年の後ろには、血で赤く染まった公園が広がっていた。
ルイスside
「……これが今の組合か」
とりあえず全員を|異能空間《ワンダーランド》に送って、組合の六人の背中を見つめる。
どうやらフィッツジェラルドは、優秀な異能者を結構な人数勧誘しているらしい。
僕がいなくても充分ではないだろうか。
「とにかく、探偵社に向かわないと」
でも、あまり大人数を入れておきたくない。
簡易的な手当てだけしてマフィアに送ろうかな。
とにかく僕が異能空間に行かないことには始まらない。
--- 『|不思議の国のアリス《alice in wonderland》』 ---
転移した僕が見たのは、地獄絵図としか表せようになかった。
探偵社、マフィア関係なしに血だらけでボロボロだ。
「ルイスさん」
「……もう目覚めるなんて、流石に早すぎない?」
「あの人が守ってくれたから」
紅葉の事か。
確かに彼女の傷はそこまで酷くないように見える。
全員気絶していると思っていたけど、息を潜めていたのか。
「また、助けて貰った」
「僕は助けてないよ。敦君が傷ついても、見てただけの僕は」
鏡花ちゃんは特に何も言わなかった。
さて、と僕が手当てを始めようとすると彼女は少し手伝ってくれる。
一人でこの人数をやるのは大変だから、とても助かった。
「よし、それじゃあ探偵社へ──」
「待って」
「……どうかしたの?」
どこか、鏡花ちゃんは話を切り出しにくそうだった。
多分、探偵社には行きたくないのだろう。
正確には、紅葉に言われたことを気にして帰りにくい。
彼女が今の状態で探偵社に戻るのは、あまり良いとは言えなさそうだった。
「場所さえ言ってくれたら、そこで外に呼んであげる」
「ありがと、ございます……」
次回予告。
ポートマフィア五大幹部が一人、尾崎紅葉じゃ。
ルイスが来てくれないのは少し寂しいのぉ。
じゃが、仕方がない。
彼奴は闇の世界にいるべき人間じゃないのじゃから。
組合から守ったが、鏡花は無事じゃろうか。
おっと、予告をしないといけないのぉ。
次回、英国出身の迷ヰ犬。
episode.15 少年と三つの組織
次回もお楽しみに。
それじゃあ、私はどうしたものかのぉ……。