公開中
episode.5
三期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.4
https://tanpen.net/novel/1ce05114-98f1-45d1-97ae-95ba5f027854/
episode.1
https://tanpen.net/novel/e752c164-a521-44bb-a134-69096a053749/
探偵社へと戻ってきたルイス、太宰、敦の三人。
何処となく空気は重い。
「おい太宰、貴様一体今まで何処に──!」
「与謝野|女医《せんせい》は居る?」
「|妾《アタシ》を呼んだかい?」
医務室から顔を出した与謝野晶子。
太宰は簡易的に説明をし、外傷のない敦を中へと運び込んだ。
マフィア、しかも|芥川《禍狗》との戦闘。
負った傷は決して浅くはない。
「とりあえず敦君を。谷崎君達は……」
「僕の異能空間に入れて時間を止めてる。治療は今すぐじゃなくても大丈夫だけど、早めに治してあげて」
そうかい、と与謝野は敦を寝台へと運ぶように指示を出した。
与謝野は簡易的に診ていたが、驚きを隠せないようだった。
何故なら敦は、芥川の黒獣に脚を喰われていた筈なのに傷一つない。
「谷崎達を先に治す。二人一気に呼べるのかい?」
「あぁ」
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--- episode.5 |少年と襲撃《boy and raid》 ---
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太宰side
「二人の容体は?」
敦君に七十億の懸賞金が懸けられていることを知ってから、数日が経った。
ルイスさんの異能力のお陰か、あまり傷は悪化していないらしい。
ただ、何回は与謝野女医が治療をしないといけない。
「数日もすれば復活してますよ」
「……そっか」
安心したのか、ルイスさんは少しだけ笑みを浮かべた。
でも、罪悪感を感じているように見える。
幸か不幸か、彼は敦君達が樋口さんに案内された路地裏の近くを通りかかった。
そこで不穏な空気を感じて向かうと、二人は重傷。
敦君も芥川君によって脚を喰われるところだったらしい。
もっと早く、とか考えているのだろうか。
「君も知っての通り、僕は万事屋として活動していた。今回の一件でマフィアに追われるかもしれない」
「……|探偵社《此処》から離れるんですか」
「まぁ、留まる理由もないからね」
ここ数日の様子を見るに、多分ルイスさんは敦君のことで横浜に来たのだろう。
流石に理由までは分からない。
七十億に興味があるわけではないだろうし、白虎を飼うつもりもない筈だ。
「ルイスさん、やっぱり探偵社に入りませんか?」
数日前に言っていた《《面倒事》》。
探偵社員なら、乱歩さんや私がなんとかすることが出来るかもしれない。
「仲間を作りたくないのは分かっています。けど、私は昔みたいに貴方と──!」
「ごめん」
一言だけ呟いたルイスさんは、何故か泣きそうに見えた。
あんな顔、私は一度も見たことがない。
困らせてしまったことを、瞬時に理解した。
「す、いません……」
「謝らなくて良いよ。心配してくれたことは分かってるから」
それで、とルイスさんは医務室の方を見た。
「悲鳴はいつまで聞こえてくるのかな」
与謝野女医の治療は、普通ではない。
何故なら極めて稀少な《《治癒能力者》》で、条件があるらしい。
私が《《触れた能力しか》》無効化できないのと同じなのだらう。
「笑い声も聞こえてくるのはおかしくない?」
「多分、そのうち聞こえなくなりますよ」
「あ、ノーコメントなのね」
そんな事を話していると、遠くで爆発音が聞こえてきた。
先日の交番爆破といい、最近のマフィアは少し行動が派手な気がする。
昼間にわざわざ活動する理由がいまいち掴めないな。
まぁ、理由なんてどうでもいいけど。
「ルイスさん、ついでに太宰。小僧が目覚めたぞ」
「良かった」
「おや、国木田君。眼鏡を額に掛ける遊びはもう辞めたのかい?」
手帳を逆さに持ったりと、最近の国木田君面白いんだよな。
流石に動揺しすぎな気がする。
「七十億の懸賞金、か……。探偵社も襲撃されるかもね」
「備品の始末に、再購入。どうせ階下から苦情もくる。業務予定が狂いまくる……」
私に怒鳴りつけようとする国木田君だったけど、ルイスさんのお陰でそれは免れた。
まぁ、予定が狂うのを想像して頭を抱えながら何か呟いてたけど。
「それじゃあ、私は近くの川を流れてくることにするよ」
いつもなら国木田君が怒鳴りながら突っ込みを入れる。
けれど今日はそれどころではないらしい。
ルイスさんが見送ってくれたのに少し驚きながらも、私は少し遠くの川へと向かうのだった。
ルイスside
「手伝わせてしまい、申し訳ありません」
「別に気にしないでいいよ」
太宰が何処かへ行かなければ、と国木田君はブツブツ何かを言っていた。
面倒くさくて止めなかったから、僕のせいなんだけどな。
まぁ、説明する必要はないだろう。
「小僧も消えたし、全く……探偵社員なら報連相をしっかりしないと駄目ではないか」
そういえば敦君は起きたんだっけ。
谷崎君達も早く復活してくれたらいいな。
「こんな所に居ったか、小僧。お前の所為で大わらわだ」
手を貸せ、と続ける国木田君だったが敦君は大荷物で手が塞がっている。
それに少しばかり悲しそうな表情をしていた。
「……心配いりません。これでもう探偵社は安全です」
「はぁ?」
何となく状況が分かった。
敦君は何処かで、先刻の爆発がマフィアの仕業だと知ったのだろう。
探偵社が巻き込まれないよう、自らが離れる事を決意した。
走り去った敦君を追いかけることは出来ず、その場に立ち尽くす国木田君。
資料いっぱい持ってるもんな。
「とりあえず仕事しようか、国木田君」
「え、あ、はい!」
資料整理を始めて数分が経っただろうか。
幾つか足音が聞こえてくる。
「……面倒だな」
バンッ、と大きな音を立てて扉が飛ばされる。
それと同時に事務室へ流れ込む黒服の男達。
完全にマフィアだな、と思いながらも僕は資料を整理していた。
「失礼。探偵社なのに|事前予約《アポイントメント》を忘れていたな。それから|叩敲《ノック》も」
驚く探偵社員に対し、流石は実働部隊『黒蜥蜴』だな。
一つ一つの所作がとても早い。
「大目に見てくれ。用事はすぐ済む」
銃声が鳴り響くのと同時に、僕は指を鳴らした。
すると、銃弾は放たれた瞬間に姿を消す。
全員が驚いているのを横目に、僕は整理し終わった資料を段ボールへと入れた。
そして銃声が鳴り止む頃、銃自体も異能空間へと転移させた。
武器の持たないマフィアなんて、そこら辺を歩く一般人と大した差はない。
「銃が消えた!?」
「……どうやら探偵社にいるという噂は本当らしい」
顔見知りが何人かいるな。
というか、僕は探偵社員じゃないのを知ってるのか?
「この状態でも続けるならご勝手に」
それだけ告げて、次の資料に手をつけることにした。
視界の隅では、僕を捕らえるためか手を伸ばす人がいる。
しかし、すぐに国木田君が対応してくれて彼は投げ飛ばされた。
他の黒服達も色々な手段で戦闘不能状態にさせられているようだ。
「辞めろ!」
そう、叫びながら敦君が戻ってくる頃には全てが終わっていた。
あまり備品は傷ついていない。
謝罪巡りはしないとだが、普通に襲撃されるよりは被害が抑えられてるだろう。
「おぉ、帰ったか」
グチグチと小言の始まった国木田君。
片付けを僕も手伝った方がいいな、と資料を閉じる。
「国木田さーん、こいつらどうします?」
「窓から棄てとけ」
敦君は変な顔をしている。
どうせマフィアの武闘派集団であり、特殊部隊なみの実力を持っているから探偵社が危ないと思っていたのだろう。
まぁ、普通に銃弾の嵐は危ないよな。
いつもと違って備品の始末や再購入がほぼ必要なく、国木田君が僕にお礼を言ってきた。
大したことはしてないんだけど。
「国木田くーん。僕そろそろ〝名探偵〟の仕事に行かないと」
「名探偵? あぁ、例の殺人事件の応援ですか」
そう、と乱歩は机の上に飛び乗った。
「警察がね、世界最高の能力を持つこの名探偵、乱歩さんの助言が欲しいって泣きついてきてさ」
「こいつに手伝わせます」
とりあえず降りてください、と国木田君は敦君を指差す。
未だに敦君はポカンとしている�。
「おい、呆けていないで準備しろ。仕事は山積みだ」
「太宰君も連れてったら? どうせその辺の川を流れてるだろうし」
「そうですね」
にしても太宰君は何処を流れてるのかな。
探偵社への襲撃を予知して逃げたことを考えると、近くではない気がする。
「あ? 何だお前泣いてるのか?」
「泣いてません」
「泣いてないのか」
「泣いてません」
「泣いてるのか?」
「泣いてます!」
国木田君と敦君の会話を見て、僕は思わず笑ってしまった。
探偵社は、想像以上にずっと強かったのだろう。
敦君を社員として歓迎してくれるだけでなく、普通に接してくれる。
彼の過去については彼奴から色々と聞いていたけど、この組織に入れて良かったのではないだろうか。
(仲間、か……)
遠い昔を思い出してしまった。
戦場で共に戦ったあの人達はあの世で元気にしてるだろうか。
そんなことを考えながら、僕はよく晴れた空を窓から眺めるのだった。
次回予告。
黒蜥蜴の百人長をしている広津柳浪だ。
私のような人物がしていいものか分からないが、精一杯やらせてもらう。
それにしても、探偵社は襲撃慣れしているようだったな。
我々は武闘派集団の筈だが、すぐに制圧されてしまった。
窓から捨てられたことには驚いたが、彼たちの情報通りルイス君が探偵社にいた。
樋口君によると首領の命は──。
次回、英国出身の迷ヰ犬。
episode.6 少年と探偵
次回も楽しみにしてくれたまえ。
とりあえず、一度本部へ戻ることにしよう。