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episode.2
三期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.1
https://tanpen.net/novel/e752c164-a521-44bb-a134-69096a053749/
--- episode.2 |少年と爆弾《boy and bomb》 ---
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side.ルイス
昨日は色々あったような気がする。
太宰君と会ったのはもちろん、例の|虎人《リカント》にも会うことが出来た。
彼は多分、あのまま武装探偵社に入ることになるんだろうな。
「……ふわぁ」
欠伸をしながら僕は布団から出る。
そういえば、芥川君にも会ったんだよな。
「さーてと」
僕は立ち上がってさっさと着替える。
そして、昼過ぎに宿から出るのだった。
「太宰君の連絡先って変わってるのかな……」
マフィアを抜けた時、普通なら変えるだろうけど彼に常識は通用しない。
でも、万が一のこともあるから掛けるのはやめておこう。
探偵社は確か政府公認の異能者集団だから、僕のことも色々と知られているかもしれない。
別に過去を忘れたいわけでも、行いを恥じているわけでもない。
けど、どれだけ勲章を貰っても世に認められても、人を殺したという事実が消える筈なかった。
洗っても洗っても、手を染める真っ赤な血は落ちない。
実際はもう大丈夫な筈なのに、汚れている幻覚を見てしまう。
「……はぁ」
もう、僕は昔みたいに戦場に立つことは出来なくなった。
だから軍を抜けて、裏社会に身を置くことにした。
「とりあえず、彼が帰ってくるまでは暇つぶしが必要かな」
そんなことを呟きながら僕が歩いていると、ある声が耳へと入って来た。
聞いたことがあるような気がして、声のする方へと歩を進める。
やはり知り合いだった。
「この包帯無駄遣い装置!」
「……国木田君、今の呼称はどうかと思う」
「この非常事態に何をとろとろ歩いて居るのだ! 疾く来い!」
朝から元気だなぁ、と太宰君は何か話し始めていた。
国木田君はそれを本当と信じ、必死にメモを取っている。
しかし嘘だと言われ、怒りから国木田君が締めている。
少し呆れ顔をしていた敦君だったけど、話を戻そうとしていた。
「あの……『非常事態』って?」
「そうだった! 探偵社に来い、人手が要る!」
「何で?」
「爆弾魔が、人質連れて探偵社に立て篭もった!」
大変そうだな、と僕は他人事だと思っていると見つかった。
太宰君と目が合ったかと思えば、満面の笑みを浮かべている。
もう、ため息を吐くことも出来ない。
探偵社に着くと、本当に爆弾魔がいた。
起爆釦らしいものを手に持っており、女学生が人質に取られている。
「犯人は探偵社に恨みがあって、社長に会わせないと爆発するぞ、と」
「ウチは色んな処から恨み買うからねぇ」
国木田君が状況説明してくれている間に、私はそっと顔を出してみる。
あれ、|高性能爆薬《ハイエクスプロオシブ》だな。
この部屋ぐらいなら、簡単に吹き飛ばすぐらいの威力はあるだろう。
「爆弾に何かを被せて爆風を抑える手もあるけど……」
「この状況じゃ無理だろうね」
「どうする?」
緊迫した状況の中、冷静に判断しようと思考を回す。
「会わせてあげたら? 社長に」
「殺そうとするに決まってるだろ! それに社長は出張だ」
人質をどうにかする仲間優先だろうな。
そんなことを考えていると、太宰君と国木田君がジャンケンをしていた。
何度かあいこになり、太宰君は勝つとニタァと笑った。
ぐぬぬ、と国木田君は舌打ちをしながら爆弾魔の前へと出る。
一体何をしてるんだ、この人達は。
太宰君は22歳だった筈だけど、何故こうも子供っぽいのだろうか。
「おい、落ち着け少年」
「来るなァ! 吹き飛ばすよ!」
流石、探偵社に私怨を持つだけはある。
社員の顔と名前ぐらいは調べ上げているのか。
もちろん、太宰君が行っても余計警戒されるだけ。
「却説、どうしたものか」
そう言った彼の視線は僕達の方を向く。
にやぁ、と笑ったかと思えば想像通りの提案をされた。
「社員が行けば犯人を刺激する。となれば、無関係で面の割れていない君達が行くしかない」
「むむ無理ですよ、そんなの!」
「知ってると思うけど、僕やらないからね?」
えぇ、と敦君は僕の方を見た。
気を引くのはあまり得意じゃない。
戦場では正面突破しかしてこなかったし、面倒ごとは嫌い。
「犯人の気を逸らせてくれれば、後はルイスさんがやるよ」
「おい」
「そうだな、落伍者の演技でもして気を引いては如何かな」
敦君はムリムリと言っているが、爆弾魔の前に出すことで強制的にやることになっていた。
この感じだと、僕もやらないといけないのかな。
「ぼぼ、僕はさ、騒ぎをき、聞きつけた一般市民ですっ! いい、生きてればいいことあるよ!」
「誰だか知らないが無責任に云うな! みんな死ねば良いんだ!」
「ぼ、僕なんか孤児で家族も友達も居なくて、この前その院さえ追い出されて、行くあても伝手も無いんだ!」
「え……いや、それは」
「害獣に変身しちゃうらしくて軍警にバレたらたぶん縛り首だし、とりたてて特技も長所も無いし、誰が見ても社会のゴミだけどヤケにならずに生きてるんだ!」
あれ、不幸自慢大会でも始まった?
爆弾魔も困ってるの面白いな。
隣で太宰君は笑っている。
「ね、だから爆弾捨てて一緒に仕事探そう」
目が本気なんだよなぁ。
でも本心が混ざった演技だからこそ、爆弾魔に隙が生まれた。
僕が飛び出すと同時に、太宰君は何か指示を出している。
「手帳の頁を|消費《つか》うから、ムダ撃ちは厭なんだがな……!」
--- 『|独歩吟客《どっぽぎんかく》』 ---
理想と書かれた手帳に何かを書き込んだかと思えば、頁を破った。
「手帳の頁を──|鉄線銃《ワイヤーガン》に変える」
変化の異能力なのだろう。
宣言通り頁が鉄線銃に姿を変えた。
国木田君のお陰で、起爆釦は爆弾魔の手から離れる。
今だ、と言わんばかりに太宰君は視線で合図をして来た。
息を吸った僕は足に力を込め、一気に解放させる。
すると一瞬にして爆弾魔との距離は詰められた。
「少し眠って貰うよ」
懐に入ってから顎めがけて蹴り上げる。
結構良い音がしたかと思えば、すぐに国木田君が取り押さえていた。
爆弾は起動していないし、一件落着かな。
へなっ、と安心して座り込む敦君。
一般人からしたらたまったもんじゃないだろうな。
そんなことを考えていると、ピッという音が聞こえたような気がした。
嫌な予感がして爆弾を見たら、カウントダウンがスタートしている。
「あ」
全員が間抜けな声を出したかと思えば、敦君の叫び声が室内に響き渡った。
残り五秒で爆発とか、どうしようもないのでは?
そんなことを考えていると、思わぬ光景が目に映った。
「──は?」
敦君が、爆弾に覆い被さっていた。
確かに何かを被せて爆風を抑える手もあるとは言った。
でも、まさか実践してしまうとは誰が予想したのだろう。
「莫迦!」
そんな太宰君の声が響き渡る。
刻々と爆発するまでのカウントダウンは進んでいく。
あまりこの力は使いたくは無かった。
でも、目の前で誰かが死ぬ方がもっとごめんだ。
--- 『|不思議の国のアリス《Alice in wonderland》』 ---
残り一秒。
そんなギリギリの時間で僕は爆弾を|異能空間《ワンダーランド》に送ることが出来た。
あそこは時の流れの影響を受けないから、ずっと一秒で止まったまま。
とりあえずは一安心かと思って敦君の元へ向かうと、後ろから笑い声が聞こえて来た。
「やれやれ……莫迦とは思っていたがこれほどとは」
「|自殺愛好家《じさつマニア》の才能があるね、彼は」
「へ?」
「ああーん兄様ぁ! 大丈夫でしたかぁ!?」
ゴキッ、と爆弾魔の少年に抱きついた人質の少女。
折れてそうだったけど大丈夫かな。
敦君の方を見てみると、まだ理解が追いついていないようだった。
僕は何となくだけど状況が分かってきた。
「恨むなら太宰を恨め。若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」
「そう云うことだよ、敦君。つまりこれは一種の──入社試験だね」
「入社……試験?」
「その通りだ」
声のした方を見れば、一人の和装の男がそこに立っていた。
社長、と国木田くんが呼んでいる。
この人こそ、武装探偵社の社長──福沢諭吉。
「そこの太宰めが『有能な若者が居る』と云うゆえ、その魂の真贋を試させて貰った」
「君は社長に推薦したのだけど、如何せん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてね。で、社長の一声でこうなったと」
「で、社長……結果は?」
少ししてから、福沢さんは口を開いた。
「太宰に一任する」
これさ、僕がいる意味ってあったのかな。
まぁ考えるだけ無駄だよね。
「少し良いか?」
「……別に構いませんよ」
ついて行くと、社長室に案内された。
椅子に座らされて少しすると、茶が運ばれて来た。
特に口をつけることもなく黙っていると、彼が話しかけてくる。
「変わらないな、貴君は」
「見た目?」
「それはそうなんだが、人を守る為ならば異能を使うところ等もな」
確かに、あの力はあまり使いたく無いと思っている。
それなのに爆弾の被害を出さないため、いつの間にか異能空間へと送っていた。
終戦後に『万事屋』として様々なことを請け負っていたことがある。
少しでも罪を償おうと、戦争のことを忘れようと。
あの頃に出会った彼が言うのならば、間違いはないだろう。
「あ、僕は探偵社に入らないからね」
「分かっている」
もう誰の下にもつかず、仲間を作らない。
その為に僕は軍を辞めたのだ。
「……数日後にマフィアの方へも行くんだけど、なんか伝言ある?」
「無い」
「即答ですか」
仲直りはする気ないんだろうな。
はぁ、とため息を吐いた僕は立ち上がった。
そろそろ太宰君や敦君のところへ戻った方がいいだろう。
「貴君は先程、孤独でいることを選択していたが──」
扉に手を掛けたところで、足を止める。
振り返ってみると、福沢さんは優しい笑みを浮かべていた。
「もし困ったことがあったら頼ってくれ」
「そうだよ! 君は一人で抱え込もうとするからね!」
子供らしい声が聞こえた。
福沢さんの後ろからひょっこりと顔を出している少年──江戸川乱歩。
まさか、彼もここにいたとは思っていなかった。
にしても一人で抱え込む、か。
心当たりしかなく、思わず笑ってしまう。
「あぁ、そうさせてもらうよ」
side.福沢
ルイスは笑みを浮かべていたが、どこか不自然さがあった。
誰かに頼ることなく生きてきたという話を、昔に本人から聞いた。
何度も裏切られ、自分の力だけで乗り越えなければならない状況に陥ったと。
「それじゃ失礼します」
彼が退室し、私は一口だけ茶を飲んだ。
乱歩はルイスに差し出た菓子をモグモグと食べている。
「世界が色付く日は来るのかな、彼に」
「……さぁ、どうだろうな」
side.ルイス
爆弾騒動のあった部屋へと戻ると、敦君が何とも言えない表情をしながら涙を流していた。
話を聞くと武装探偵社という物騒な職場で働くのは、無理だと考えた敦君。
しかし、入らない場合は社員寮を出ていかなくてはいけない。
それに寮の食費や電話の支払いもある。
先程自分で言った通り、|害獣《白虎》に変身してしまうことがバレたら縛り首。
ここで働く以外の選択肢はないらしい。
少し可哀想だとは思った。
(命の安全は保証されるけどね)
政府公認ということは、縛り首にされることはないだろう。
まぁ、例の組織に狙われることは変わりないけど。
「そういえばルイスさん、社長と一体なに話してたの?」
太宰君がそう訪ねてきた。
僕は先程の会話を思い出しながら言った。
「……秘密だよ」
「えー」
彼的には、僕も探偵社に入れたかったのかもしれない。
けど、僕に仲間は必要ないから。
次回予告。
紳士淑女の皆さん、初めまして。太宰治と申します。
それにしても今日はとても天気が良く、最高の自殺日和ですね。
美女に声を掛けて心中するというのも悪くはない。
おや、買い出しを終えてきた敦君が先輩の前職当てに挑戦するらしいね。
新入りの定番だけど、何人当てられるのかな?
とても楽しみだね。
次回、英国出身の迷ヰ犬。
episode.3 少年と或る依頼。
もちろん、次回も見てくれますよね?
とても美しいお嬢さんが依頼にいらしたよ、敦君。