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episode.10
三期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.9
https://tanpen.net/novel/6469b779-8362-4e22-b146-7c1d9635084e/
episode.1
https://tanpen.net/novel/e752c164-a521-44bb-a134-69096a053749/
ポートマフィア本部の正面に立つ、一つの影。
少年は懐から懐中時計を取り出して呟く。
「……あと一時間か」
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--- episode.10 |少年と船上での戦い《boy and battle on board》 ---
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ルイスside
太宰君なら普通に脱出しそうだけど、一応ね。
疑われると面倒だからスーツにサングラスをかけてみている。
「さて、太宰君のところへでも向かいますか」
太宰君を処刑するにしても、しないにしても。
暫くは動かされることはないだろう。
普通に真っ直ぐ向かっていると、目的地で誰かの話し声が聞こえてきた。
「一番は、敦君についてだ」
「……人虎のことか」
「彼の為に七十億の賞典を懸けた御大尽が誰なのか、知りたくてね」
太宰君、そして何故か中也君の声がする。
何故、と思っていると面白い話をしているようだった。
まだ入らない方が良いかな。
「明日『五大幹部会』がある」
名の通り、ポートマフィアの五大幹部の集まる会。
確か数年に一度、組織の重要事項を決定する時だけ開かれる会だったかな。
僕の件は別にそこまで重要じゃないし、一体どうして?
「理由は私が先日、組織上層部にある手紙を送ったからだ。で、予言するんだけど……」
「──?」
「君は私を殺さない。どころか、懸賞金の払い主に関する情報の在処を私に教えたうえで、この部屋を出ていく。それも内股歩きのお嬢様口調でね」
意味が分からなく叫んだ中也に、僕は同感しかなかった。
少し気になるけど、そんな中也君は見たくない。
「……手紙?」
「手紙の内容はこうだ」
『太宰
死歿せしむる時、
汝らの凡る秘匿
公にならん』
あぁ、なるほどね。
元幹部であり、裏切り者の太宰君を捕縛した。
でも上層部に『太宰君が死んだら組織の秘密がぜんぶバラされるよ』って手紙までついてきた。
検事局にでも渡ればマフィア幹部全員、百回は死刑に出来るだろうな。
幹部会を開くには重要すぎる。
どうせ中也君は太宰君へ厭がらせに来たのだろう。
でも幹部会の決定前に殺した場合は罷免か、最悪の場合は死刑かな。
もし処刑になっても、太宰君は死ねて喜ぶだけというね。
「ってことで、やりたきゃどうぞ」
絶対満面の笑みを浮かべてるんだろうな、太宰君。
「ほら早く」
それに対して、中也君は本気でイラついていることだろう。
「まーだーかーなー?」
この二人の仲は相変わらずか。
そんなことを考えていると、カランと金属の落ちる音が聞こえてきた。
「何だ、やめるの? 『私の所為で組織を追われる中也』ってのも素敵だったのに」
「……真逆、二番目の目的は《《俺に今の最悪な選択をさせること》》?」
中也君は本当に嫌がらせに来ていたらしい。
でも、太宰君が嫌がらせする為に待っていたという。
久しぶりの再会なのに、一体何をしているんだか。
「死なす……絶対こいつ死なす……」
「おっと、倒れる前にもう一仕事だ」
どうやら、中也君が太宰君の鎖を壊したらしい。
彼が逃げれば逃走幇助の疑いが掛けられるな。
「君が云うことを聞くなら、探偵社の誰かが助けに来た風に偽装してもいい」
「……それを信じろってのか?」
「探偵社の誰か、じゃなくて僕だったらどうかな?」
二人の視線が僕へと向く。
どーも、とサングラスを取りながら階段を降りていくと、二人とも鳩が豆鉄砲を食らったみたいに間抜けな顔をしていた。
中也君はまだしも、太宰君も僕に気づいていなかったらしい。
「それで、僕が太宰君を助けたことにすればいいんでしょ?」
「え、あ、うん」
珍しく返事が雑な太宰君。
動画でも撮っておけば良かった。
「……太宰、望みは何だ」
「さっき云ったよ」
「人虎がどうとかの話なら芥川が仕切ってた。奴は二階の通信保管室に記録を残してる筈だ」
なんか、無理やり話を戻したような気がする。
そんなことを思いながら、僕はどう偽装するかを考えていた。
防犯カメラでも撃って宣戦布告、では無いけど僕がポートマフィアに潜入した記録を残さないと。
「云っておくがな、太宰」
そんな中也君の声が聞こえて、僕は降りてきた階段へと視線を向ける。
「これで終わると思うなよ。二度目はねぇぞ」
「何か忘れてない?」
あ、そういえば予言が全て当たっていない。
ワクワクしながら、僕は携帯電話の写真機を起動させた。
「二度目はなくってよ!」
内股で青筋を浮かべながら言った中也君。
本当に面白いな、彼は。
足音が遠くなったので僕達は情報共有と、これからのことについて話す。
「さて、ルイスさん。偽装の件だけど……」
「心配しなくても此方でどうにかしておくよ。敦君のいる場所に心当たりは?」
「まぁ、講おうとしているのが海外の組織だったら今頃《《船上》》じゃないかな」
国外に出た場合、探偵社が手を出すことは難しい。
僕が手伝うにも例の組織に顔が割れているし、色々と表舞台に立っては動かないな。
「とりあえず、私は通信保管室へ向かいます。それでは、また後で会いましょう」
「……うん」
異能空間から銃を持ってきて、服もいつもの格好へと着替える。
カチャ、という装填音が静かな地下牢獄へと響いた。
「──作戦開始」
太宰side
遠くから銃声が聞こえてきて、私は来た道を振り返る。
「……これは、少し予想外だね」
あの人がこんな方法を選ぶとは思っていなかった。
しかし、お陰で通信保管室まで誰にも会うことがなく来れた。
敦君を講おうとするのは誰か。
とりあえず金銭に余裕がある人物だとは思うけど、資料はどこだろう。
探していると、一つのファイルが目に入った。
ペラペラと捲っていると、ある頁を見て驚いてしまう。
「此奴等は──!?」
とにかく考えるのは、一度ここを脱出してからだな。
いつまでもルイスさんに偽装してもらうわけにもいかない。
ルイスside
本部内に鳴り響く銃声。
(そろそろ、太宰君はあの組織の仕業と知っただろうか)
彼ならすぐに脱出できるだろう。
僕が逃したという風に情報がまわりきった頃だな。
あまり多い人数は相手にしたくないし、異能者が出てきたら何かと面倒くさい。
少し早い気もするけど撤退しよう。
そして、僕がやってきたのはとある船上。
あらゆる箇所が燃えており、何度も爆発音が聞こえてくる。
「……話し声?」
警戒しながら歩を進めると、敦君と芥川君がいた。
鏡花ちゃんは端の方で気絶しているようだ。
もし日本の海域を出てしまった場合は僕の出番だけど、どうにかなるかな。
ふと海の方を見ると、国木田君が小型高速艇に乗っていた。
逃走経路は確保できてるらしいし、暫く見守ることにしよう。
「その程度か、人虎。嬲る趣味はない。一撃で首を落として遣ろう」
もう生きて渡す気はないのか、ポートマフィア。
敦君が死んでいたら|道標《タイガービートル》も何も無いような気がするんだけど。
「呪うなら己れの惰弱さを呪え。貴様は探偵社と云う武装組織に属した故に、自らも強いと錯覚しただけの弱者。その探偵社へも偶然と幸運で属しただけだ」
「……今日は随分よく喋るな」
「無口と申告した憶えは無いが」
今頃だけど、敦君が羅生門に捕らえられている。
普通に逃げられないだろうし、詰んでいるのではないか。
数刻もすればこの船も沈む。
巻き込まれれば無傷では済まない。
「お前の云う通りだ、僕は弱い。けど、ひとつだけ長所がある」
「何だ」
「お前を倒せる」
「……へぇ」
敦君は虎化を解いて、羅生門の拘束から逃れた。
あれだけ虎に飲み込まれていたというのに、電車の時から何かが変わっている。
部分的な変化が、芥川君との戦闘を可能にしていた。
こんな短期間で人は成長するのか、と思わず感心してしまう。
近接戦に持ち込む敦君だったが、流石に空間断絶を破ることは出来ないらしい。
でも、防御が完璧じゃないことに気がついていることだろう。
アレは意外と発動時間が掛かる。
|速度《スピード》で持ち込めば、実戦経験の差も埋められるかもしれない。
「──!」
「餓鬼の殴り合いには付き合えぬ。悪いが此処から、貴様の奮闘を鑑賞させて貰う」
空中に逃げた芥川君。
安全な場所から、黒獣に敦君を襲わせている。
敦君は攻撃を喰らい、そのままコンテナへ突っ込んだ。
その直後、爆発が起きる。
「……。」
芥川君はその様子を、眉一つ動かさずに眺めていた。
この船が完全に歿するまで五分も無さそうだ。
敦君はもう諦めるつもりなのか、踵を返している。
その背後には、一つの影。
「爆発の破片に乗って跳躍を──!?」
血だらけではあるが、もう傷は治っているように見える。
虎の治癒能力、あまりナメない方がいいな。
「……終演かな」
殴られた芥川君が起きる気配はない。
多分、敦君は鏡花ちゃんを連れて脱出するだろう。
爆発に巻き込まれないように見守ろうかと思っていると、敦君の胸を黒い刃が貫いた。
「何故だ」
「……!?」
「《《何故貴様なのだ》》」
まだ立ち上がるか。
羅生門が拳の形になり、敦君を殴り飛ばす。
「貴様の異能は所詮、身に付けて幾許も無い付け焼き刃。欠缺ばかりで戦術の見通しも甘い」
芥川君の言葉から感じるのは──憎悪か。
彼は何をそんなに《《憎んでいる》》のか、分からない。
「──云わせぬ」
でも、予想はつく。
確か太宰君が芥川君に会ったと言っていた。
多分余計なことを言ったのだろう。
「あの人にあのような言葉、二度と云わせぬ!」
ほら絶対そうじゃん。
敦君を捕らえた羅生門は鋭く尖る。
--- 『|羅生門《ラショウモン》・|彼岸桜《ヒガンザクラ》』 ---
敦side
「待……て……どうして……」
僕はずっと気になっていた。
「お前はそんなに強いのに、どうして……彼女を利用したんだ」
「……『夜叉白雪』は殺戮の異能。他者を殺す時のみ、鏡花は強者だ。人を殺さねば無価値」
利用では無い、と芥川は言った。
彼女に価値を、《《生きる価値》》を与えただけに過ぎないと。
それだ。
「誰かに生きる価値が有るか無いかを、お前が判断するな」
肩を羅生門が貫いても、僕は話す事を止めない。
「どうして彼女に、もっと違う言葉をかけてやれなかったんだ」
羅生門を引っ張ることで、芥川も引き寄せられる。
拳は、強く握られていた。
「人は誰かに『生きてていいよ』と云われなくちゃ生きていけないんだ! そんな簡単なことがどうして分からないんだ!」
拳は避けられ、代わりに羅生門が鳩尾に入る。
痛い。でも今やられるわけにはいかない。
虎の爪を振るうと、羅生門が消えた。
追撃しようにも、また空中へ逃げられそうになる。
飛んで追いかけようにも、地面から生えた黒い刃が幾つも僕の体へ突き刺さった。
芥川side
人虎は自らの手で引き抜き、|早蕨《サワラビ》を足場にした。
しかし、こうなることは予想内だ。
用意していた|獄門顎《ゴクモンアギト》が人虎の身体に確かに入った。
落ちた先は海で、足場にするものはない。
「──!?」
虎の尾が、僕の体に巻き付いていた。
向かってくる拳を空間断絶で防ごうとする。
しかし|硝子《ガラス》のようにパリンと音を立て、割れてしまった。
その時、不意に思い出した。
地下牢であの人に言われたその言葉を、思い出した。
--- 私の新しい部下は、君なんかより── ---
よっぽど優秀、か。
ルイスside
今度こそ、終演か。
芥川君は海に落ちて、敦君は戦場に落ちた。
この戦いは敦君の勝利と言えよう。
そんなことより、もう船が沈むまで時間がない。
どうにか異能で芥川君は、海に浸かる前に回収して脱出艇の上へと寝かせておいた。
多分、誰かは回収に来るはず。
「……後は此方か」
何かあった時にすぐ使えるように、異能力を使わずに船を歩く。
確かこの辺にいた筈だけど、煙と炎で視界が悪すぎる。
「貴女は……!」
「探偵社員が此方で待機している。敦君は僕が背負うから付いてきて」
コクッ、と頷いた彼女。
ボロボロで気絶している敦君を背負い歩くが、爆発のせいか思うように進めない。
沈むまで残り一分を切ったぐらいだろうか。
異能力を使うしかない。
でも、彼処には《《彼女》》がいる。
意識のある人を入れるのは避けたいけど──。
「変な空間に飛ばされるけど、すぐに戻すから」
--- 『|不思議の国のアリス《Alice in wonderland》』 ---
炎も煙も気にせず、国木田君の居た方向へ駆ける。
すると何もない海が目の前に広がっていた。
泳いで探すか……否、爆発に巻き込まれると少々面倒くさい。
その時グラッ、と船が揺れて大きな爆発が起こった。
物凄い風に、僕の体は海へ放り投げられる。
「おぉ、ナイスタイミング」
「ルイスさん!?」
小型高速艇に運良く乗れた僕は、国木田君に軽く説明した。
前回の谷崎君達同様、二人は異能空間にいる。
与謝野さんも待機していてくれているらしいし、とりあえず一安心かな。
数日しかないけど、その間はゆっくり過ごしてほしい。
そんなことを思いながら、僕は少しだけ眠りにつくのだった。
どうも、作者です。
今回は私が次回予告を担当します。
というか、最初の方は後書きなんですけどね。
まずは『英国出身の迷ヰ犬』を読んでくださりありがとうございます!
アニメだと一期分、漫画だと三巻までの内容ですね。
週一投稿って如何でしたか?
一応episode.11以降もこのまま続けていこうとは思っています。
ただ、アニメと同じ展開ではなく「黒の時代」は飛ばさせていただきます。
待って、これ後書きじゃなくね?
次回予告
いよいよ次章が開幕!
敦を購おうとした組織の正体とは?
ルイスの過去も書きたいな。
もっと戦闘が上手く書けたらいいんだけどな。
次回、英国出身の迷ヰ犬
episode.11 少年と平和な日
こんな駄作を読んでくださる方がいるとは思いませんが、どうぞお楽しみに!
え、次回は総集編だって?