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episode.22
四期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.22 |二つの組織の唯一の共通点《The only thing the two organizations have in common》
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No side
「ようこそ、|首領《ボス》」
四年ぶりだねぇ、と手を軽く振る森鴎外。
「私が購ってあげた|外套《コート》はまだ使っているかい?」
「もちろん、焼きました」
二人の間を静かな風が通り過ぎた。
「ポートマフィア|首領《ボス》、森鴎外殿」
「武装探偵社社長、福沢諭吉殿」
因縁の二人が向かい合う。
部下の間には緊張が走っていた。
「竟にこの時が来たな」
「探偵社とポートマフィア。横浜の二大異能組織の長がこうして密会していると知ったら、政府上層部は泡を吹くでしょうねぇ」
「単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が、貴君らポートマフィアとの『同盟』を具申した」
ほう、と森鴎外は細めていた目を開く。
「私は反対した。非合法組織との共同戦線など、社の指針に反する。だがそれは、マフィアに何度も撃たれ斬られ拐かされた者から為された提案だ。言葉の重みが違う」
故に福沢諭吉は耳を傾けざるを得なかった。
森鴎外はお互いに苦労が絶えない立場だと、一人静かに笑う。
「結論を云う。同盟はならずとも、《《一時的な停戦》》を申し入れたい」
「……興味深い提案だ」
「理由を云う。第一に──」
「T・シェリングを読まれた事は?」
J・ナッシュにH・キッシンジャー。
森鴎外はドンドンと異国人の名を並べていく。
「孰れも戦争戦略論の研究家ですね」
昔、誰かさんに教え込まれた。
そう太宰治は呟く。
福沢諭吉はどれも聞き覚えがないが、孫子なら読むと伝える。
「国家戦争と我々のような非合法組織との戦争には、共通点があります」
--- 協定違反をしても、罰するものが居ない。 ---
「停戦の約束を突然マフィアが破ったら? 探偵社が裏切ったら? 損をするのは停戦協定を信じた方のみ。先に裏切ったほうが利益を得る状況下では、限定的停戦は成立しない」
あるとすれば完全な強調、と森鴎外が云う。
しかし、即座に太宰治が否定した。
「マフィアは面子と恩讐の組織。部下には探偵社に面目をつぶされた者も多いからねぇ」
「私の部下も何度も殺されかけているが?」
「だが死んでいない。マフィアとして恥ずべき限りだ」
ふむ、と福沢諭吉は少し考え込む。
そして脇に差した刀へと手を掛けた。
「今、此処で凡ての過去を精算する」
福沢諭吉の言葉に、森鴎外の後ろに控えていた部下は武器を構える。
しかし、一瞬にして|武器《エモノ》は破壊されていた。
森鴎外の首元には刀の先が、福沢諭吉の首元には|手術刃《メス》が当てられる。
「……刀は捨てた筈では? 孤剣士『銀狼』──福沢殿」
「|手術刃《メス》で人を殺す不敬は相変わらずだな──森|医師《せんせい》。相変わらずの幼女趣味か?」
「相変わらず猫と喋っているので?」
次の瞬間、福沢諭吉の姿が消えた。
森鴎外の数歩後ろに立っている福沢諭吉。
彼の背後の草むらには、立体映像の異能力を持った谷崎潤一郎が潜んでいる。
福沢諭吉は刃をしまった。
「楽しい会議でした。続きは孰れ、戦場で」
「今夜、探偵社は詛いの異能者“Q”の奪還に動く」
それが、と森鴎外は足を止める。
「今夜だけは邪魔をするな、互いの為に」
「何故」
「それが我々唯一の共通点だからだ──」
--- この街を愛している ---
「街に生き、街を守る組織として異国の異能者に街を焼かせる訳にはゆかぬ」
「組合が強い。探偵社には勝てません」
君達がいれば話は別だが。
そう言った森鴎外の視線は木の上を見ていた。
ルイスside
「……なんで僕を見て言うのかな」
木から降りた僕は、ため息混じりに森さんへ言った。
どうやら気付いていたのは森さんに福沢さん、あとは太宰君ぐらいだったらしい。
殆どの人が僕を見て驚いていた。
「僕に戦況を変える程の力なんてないよ」
「戦神に、赤の女王。君達が戦場に来てから英国軍は有利になっただろう?」
「他の異能者も居たよ」
多くの人は、戦場で命を落としたけど。
そうだ、と森さんはわざとらしく僕達へ話しかけてきた。
「ルイス君がマフィアに入る勧誘話と、太宰君は幹部へ戻る勧誘話は未だ生きているからね」
「真逆、抑も私をマフィアから通報したのは貴方でしょう」
「君は自らの意思で辞めたのではなかったのかね?」
「森さんは懼れたのでしょう? いつか私が|首領《ボス》の座を狙って、貴方の喉笛を掻き切るのではと」
嘗て貴方が先代にしたように、と太宰君は淡々と告げた。
そういえばあの暴君、森さんに殺されたんだっけ。
色々と問題視されていたから悪い判断ではなかったと思うけど。
「鬼は他者の裡にも鬼を見る。私も貴方と組むなど反対です」
「なんか凄い密会だったね」
はい、と彼は嘘らしい笑みを浮かべていた。
探偵社とマフィア。
どちらもヨコハマを愛しているという点は一緒、という福沢さんの発言に成程と思った。
「森さんがどう出るか、君はもう予想がついてるんでしょ?」
「……えぇ、まぁ」
密会ではあんなことを言っていたけど、《《完全な同盟を結ぶ論理解は存在する》》。
「ま、頑張りなよ。僕は関わる気ないから」
「え〜、手伝ってくださいよ〜」
「残念ながら僕は《《この街を愛しているわけじゃない》》からね。君達とは違うんだ」
それじゃあ、と僕は太宰君が向かうであろう探偵社とは真逆へ歩を進めた。
少ししたところで、彼の声が聞こえてくる。
「you love the people who live in this town.」
思わず足を止めてしまった。
「結局、ヨコハマを愛している事と変わらないと思うのは私だけですか?」
「……昔から気がつかなくて良いところに気付くよね、君」
「褒めていただき光栄です」
全く、君には敵わないな。
次回、英国出身の迷ヰ犬
episode.23 双つの黒