公開中
episode.8
三期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.7
https://tanpen.net/novel/fa9e75da-41ea-42e3-a2dd-d0bbc5fa016a/
episode.1
https://tanpen.net/novel/e752c164-a521-44bb-a134-69096a053749/
「大人しく着いてこい。でないと、乗客の命は保証できねぇ」
そう、中也がルイスへと告げる。
元より反抗するつもりはないので、ルイスは素直にしたがった。
歩いていくと、最後尾が見えてきた。
戦闘音が聞こえてくる。
「……敦君」
「あれが噂の人虎か。あれだけ血を流してるのに倒れないなんて凄いな」
敦と異能生命体が戦っている。
あの夜叉は奥に見える少女の異能か。
ルイスは敦を助けようかと思った。
しかし、迂闊に動けない。
ただ、見守ることしか出来ないのだった。
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--- episode.8 |少年と暗殺者《boy and assassin》 ---
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与謝野side
先頭車両の扉を開けて中に入ると、何かを踏んだ。
転んでしまった|妾《アタシ》は足元を見る。
そこには何故か、《《檸檬》》が転がっていた。
ヒールがピンを抜いてしまい、爆発が起こる。
「果断なる探偵社のご婦人よ、ようこそ! そしてさようならぁ~!」
白衣にゴーグルの男が、座席に腰掛けながら言った。
「おやおや……誰かと思えば有名人じゃないか」
「驚きだなぁ。最近の女性は|頑丈《タフ》だ」
男女同権の時代だからねぇ、と妾は言う。
それにしても、と立ち上がりながら男の姿を確認する。
「アンタみたいな指名手配犯が、こんな所にいる方が驚きだ」
梶井基次郎。
隠密主義のマフィアの中にあって珍しく名の知れた爆弾魔だ。
この前の丸善ビル爆破事件で、一般人を28人も殺している。
あれは素晴らしい実験だったよ、と梶井は笑みを浮かべていた。
「拍動の低下! 神経細胞の酸欠死! 乳酸アシドーシス! 死とは無数の状態変化の複合音楽だ! そして訪れる不可逆なる『死』!」
「死が……実験だって?」
「科学の究極とは『神』と『死』! どちらも実在し、しかし科学で克服できず。ゆえに我らを惹きつける」
さぁて、《《貴女の死は何色かな》》?
そう言った梶井に対して、妾は一言だけ返した。
「確かめてみな……!」
ルイスside
物凄く中也君を蹴り飛ばしたい。
そうすれば、敦君があれ以上傷つかない。
けど、乗客を全員殺すことを彼は出来る。
下手したらマフィアも巻き込んで、全ての証拠を燃やしてしまうだろう。
(異能さえ使えたら)
何も出来ない自分の状況に、だんだんと腹が立ってきた。
「彼女、一体何者?」
「……鏡花は六ヶ月《むつき》で35人殺した天才だ。姐さんと同じく夜叉を具現化するが、携帯電話からの声しか指示は出せねぇ」
なるほど、と僕は少女の首に掛けられた携帯電話を見る。
常に通話状態で、指示を出しているのは一体誰だろうか。
中也君に聞いても教えてくれないだろうな。
梶井side
「噂ほどじゃないなぁー、探偵社ってのも」
下駄で踏みつけながら、僕はナイフは取り出す。
もう爆弾でボロボロだし、次の爆発で死ぬだろう。
その前に教えてもらうことにしようかな。
「『死ぬ』って何?」
「……何だって?」
「学術的な興味だよ。僕は学究の徒だからね」
人の死因──脳細胞の酸欠も、テロメアの摩耗も──。
実験室レヴェルでは単純で可逆的な反応だ。
「なのに何故、死は不可逆なのだ? 何故人は、孰れ必ず死ぬ?」
「そんなことも判らなンのかい?」
笑いながら彼女は言った。
「科学の求道者たるこの梶井が知らないことを……街の便利探偵屋如きが判ると?」
「勿論、理由は簡単。アンタがアホだからさ」
勢い良く、僕は女性の手に持っていたナイフを差した。
参考になる意見をどうも、とだけ告げて袖から檸檬爆弾を出す。
「出血多量で死んだ後も、脳と意識は8時間生きているそうだ」
後で彼女の死体に訊いてみることにしよう。
『死んだけど今どんな気分?』
──ってね。
どうやらナイフは床まで刺さっているらしく、女性は逃げられないようだった。
車掌室へと避難した僕の後ろから、爆発音が響き渡った。
少しして、まだ熱の残る車両へと入ると女性は窓側にいた。
軽い足取りで近づいて顔を覗き込むと、目が合った。
女性の右手が、僕の顔へ向かってくる。
「んー、イマイチだねェ。もっと飛ぶかと」
「な、何故」
あんなネズミ花火で死ぬもンか、と女性は僕の胸ぐらを掴む。
「あー、今殴ったのどっち側だっけ」
震える手で左頬を指差す。
すると、何故か右側を殴られた。
「そんな、|先《さっき》まで瀕死だった筈……」
「妾はこう見えても医者でね。アンタの百倍は死を見てる」
死とは何かって、と女性は距離を詰めてくる。
「死は命の喪失さ。妾達医者が|凡百《あらゆる》手を尽くしても、患者の命は指の間から零れ落ちる」
女性は開いていた手を、グッと握りしめた。
そして、僕を見ながら叫んだ。
「命を大事にしない奴は、ぶッ殺してやる」
「お、思い出した……」
彼女は探偵社の専属医である与謝野晶子。
極めて希少な『治癒能力者』だと聞く。
ただ、条件が厳しいと彼女が言った。
「瀕死の重傷しか治せないのさ。これが実に不便でね。何しろ……程々の怪我を治そうと思ったら、まず半殺しにしなくちゃならない」
「な……」
「……おやァ?」
鞄から鉈を取り出した与謝野に、恐怖を覚えた。
「怪我してるねェ、治してやろうか?」
--- 『|君死給勿《キミシニタモウコトナカレ》』 ---
ルイスside
「来ないで」
「ごめん、もう無理だ」
夜叉と距離を詰める敦君。
初撃は皮一枚で済んでいたけど、次の攻撃は避けられそうにない。
流石、唯一の女性幹部である彼女と似た異能と言ったところだろう。
手を出そうとする僕だったが、どうやらその必要はなかったらしい。
「……!」
敦君の腕が、虎に変わっている。
一切刃は通っておらず、その後の攻撃も避けれている。
「おいおい、さっきまでと別人じゃねぇか」
「あれが君達が捕らえようとしている虎人《リカント》の力だよ」
見た感じ、身体能力はもちろん反射神経も上がっている。
気がつく頃には、少女の首に虎の爪を立てていた。
「終わりだ。この能力を止めて、爆弾の場所を教えろ」
「私の名は鏡花、35人殺した。一番最後に殺したのは三人家族。父親と母親と、男の子。夜叉が首を掻き切った」
一体何を、と警戒していると少女は着物の胸元を開けた。
そこには時限式であろう爆弾がある。
「君は……何者なんだ」
言葉からも彼女自身からも、何の感情も感じない。
敦君の言うとおりだな。
あれが、ポートマフィアでの訓練の賜物か。
そんなことを考えていると、車内アナウンスが響き渡った。
どうやら与謝野さんは無事だったらしい。
非常時用の停止釦で止められるらしいが、果たして本当なのか。
敦君は少女から釦を受け取り、押した。
その途端、爆弾から警告音が鳴り響いた。
「まぁ、そんなことだろうと思った」
『解除など不要。乗客を道連れにし、マフィアへの畏怖を俗衆に示せ』
あと数秒で爆発するな。
爆弾を外そうにも、ここからでも分かるほどしっかり固定されている。
「爆弾を外せ!」
「間に合わない」
ドンッ、と少女は敦君を押して壊れた扉の元へ向かった。
「私は鏡花、35人殺した。もうこれ以上、一人だって殺したくない」
--- 僕は、もう誰も── ---
少女の表情を見て、僕は思わず息を飲む。
遠い日の自分と、その姿が重なって見えた。
列車の外へ身体を放り投げて、川へと落ちていく。
「──!?」
中也君を投げ飛ばして、少女を助けに飛び出した敦君の後を追った。
爆弾は外してくれたので、僕は二人を急いで異能世界へと転移させる。
爆弾を転移させた方が良かったのかもしれはい。
けど、二人が川に落ちるところは見ていられない。
空中に残されたのは爆弾と、僕。
連続で異能世界に送るには数秒のインターバルが必要だ。
「……ヤバいな」
落ちていく僕が最後に見たのは、手を伸ばす中也君の姿だった。
中也side
ルイスさんに触れた俺は、重力を何倍にも掛けた。
落下速度が速まり、ギリギリ爆破に巻き込まれることはない。
だが、川に勢い良く飛び込むことにはなった。
どうにか陸に上がると、ルイスさんは笑っていた。
それを見た俺は、思わず叫んでしまう。
「バカじゃねぇの!?」
下手すれば、爆発に巻き込まれて死んでいた。
それなのに何で、この人は笑っている。
「中也君は優しいね」
「はぁ?」
ルイスさんは俺を投げ飛ばして、人虎と鏡花を助けに行った。
つまり、俺との約束を破ったことになる。
本来なら乗客全員の息の根を止めてから、ルイスさんの元へ行かないといけない。
でも、俺はこの人を助けた。
「……そういうところが変わってなくて何よりだよ」
さて、とルイスさんは立ち上がって異能力を発動させた。
すると、何もない場所から二人が現れる。
「貴方は……」
「えっと、鏡花ちゃんだっけ。多分探偵社が保護してくれるだろうから、何か聞かれたら僕に助けられたと言うといい」
俺は色々と口を出したかったが、ルイスさんの圧で黙ってしまった。
「僕の名前はルイス。ルイス・キャロルだ」
それじゃあ、という声が聞こえたかと思えば何処かへ歩いていく。
ルイスさんを放って置くわけにも行かず、俺は着いていくことにした。
どうもこんにちは! いや、こんばんはかな?
ポートマフィアの爆弾魔こと梶井基次郎だ!
まさか探偵社の女医である与謝野晶子が持っている異能があのようなものだったとは!
治療する為に一度半殺しにされるとか、探偵社は中々大変そうだねぇ……。
おっと、次回予告をしないとだ!
次回、英国出身の迷ヰ犬
episode.9 少年と首領
次回もお楽しみに!
作者曰く、僕の口調が書けないからコレでいいのか分からないらしい!