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episode.16
四期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
「さて、マフィアからの|贈品《ギフト》はこの先かな?」
「明らかに我々を誘い出すための罠だ……何故行く?」
君達の実力なら罠ごと粉砕できるだろう。
それが、フィッツジェラルドの考えだった。
「それに今回は《《餌》》が魅力的だ」
組合と探偵社の対立まで、残り数分。
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--- episode.16 |少年と呼吸する災い《boy and breathing calamity》 ---
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ルイスside
「こんな僻地で、再び君と|見《まみ》えるとは……。余程、私と雌雄を決したいらしい」
そう言った太宰君の目の前には、犬がいた。
犬は吠えている。
「おっと! 威勢がいいね。だが無駄だよ、こちらには切り札がある」
見給え、と懐からドッグフードを出した太宰君。
「欲しいかい? 欲しいよねぇ」
「何してるの、太宰君」
「僕に聞かれても……」
手に出したドッグフードが一瞬にして消える。
格の違い、って犬相手に本当に何をしてるのだろうか。
ドッグフード食べてるし。
「犬……苦手なんですか?」
「人間より余程難敵だよ。それで事務員さん達の避難は?」
「国木田君からの連絡が来てたよ。予定通り次の列車だって」
「事務員が狙われるなんて……この三社戦争、探偵社は大丈夫でしょうか」
僕も太宰君も、見立てでは探偵社が最も劣勢。
最優勢はマフィアだ。
手数が多いだけでなく、普通にこの街について詳しいから何でもできる。
|組合《ギルド》はというと、軍資金に優れているしこの街を何とも思っていない。
目的の為なら手段を選ばないだろう。
「太宰さん、何か逆転の計略は無いのですか?」
「あるよ、このぐらい」
太宰君は指で三を表していた。
「三つも?」
「いや? 三百だけど」
「三百!?」
流石、としか言えない。
でも戦況は生き物だ。
必勝の秘策が、僅かな状況変化ひとつで愚作に豹変する。
だから情報が大切になる。
特に今回は相手が相手だからな。
「森さんは合理性の権化でね。数式の如き冷徹さで戦況を支配する」
「問題は、刺客から逃れて気が緩む今だね」
「……必ず何かを仕掛けてくるよ」
少しして、電車が到着する数分前になった。
「……む」
突然、太宰君が立ち上がった。
何かあったのか少し心配していると、理由が物凄く下らなかった。
「これ……食べ過ぎた所為か、急に差し込みが……」
「え?」
太宰君の手には、空っぽになったドッグフードの袋。
僕も敦君も目が点になった。
一度深呼吸をして、一言だけ告げる。
「莫迦じゃないの?」
「うっ、ルイスさんに言われると何か凄く傷つく……」
胃腸が限界らしく、太宰君は走って何処かへ行ってしまった。
本当に言い訳が下手だな。
あの子がいることを敦君に言わなかったのは、流石だと思うけど。
「云っておくけど、あの人は凄い人なんだぞ」
「……おいで」
「ルイスさん?」
手を広げれば、犬は僕の方へ駆け寄ってきた。
うん、可愛い。
指を鳴らして|異能空間《ワンダーランド》からドッグフードを持ってくる。
食べてるところも可愛い。
存在してくれているだけで可愛い。
「モフモフだぁ……」
「あの、ルイスさん?」
「可愛いは正義なんだよ!?」
「唐突すぎますって!?」
その時、列車が止まった。
扉が開いて、ナオミちゃんと春野さんが降りてくる。
「ご無事でしたか!」
「えぇ……でも真逆、事務員が狙われるなんて」
「安心してください。僕達が避難地点まで護衛しますから」
これ、僕も入れられてるかな。
そんなことを考えながら僕は太宰君が帰ってこないか、彼が行った方向を見つめる。
「そうだ、紹介しますわ。列車の中で知り合ったのですけど……」
悪意。
誰かを傷つけようとする意志を感じて、僕はすぐに距離を取った。
「おっと」
敦君はその人物に当たった。
僕は驚いて目を見開く。
何故ここにいる。
まさか、これが森さんの作戦か。
「籠のなぁかのとぉりぃは、いつぃつ出遣ぁる」
嫌な笑い声が、響き渡る。
「後ろの正面だぁれ?」
なんてものを解き放ったんだ。
異能の中でも最も忌み嫌われる『精神操作』の異能力者━━Q。
多くの構成員の命と引き換えに座敷牢へと封印された、呼吸する厄災。
Qには、敵味方の区別などない。
命あるものを等しく破壊する、狂逸の異能者。
太宰君がここから離れたのは間違いだったかもしれない。
「━━!」
人形が自分で頭を壊した。
つまり、呪いが発動される。
「敦さん!」
「下がって、ナオミちゃん」
多分、敦君が見ている景色と僕達の見ている景色は違う。
だから《《春野さんを自身の手で傷付けている》》。
呪いが発動すると幻覚に精神を冒され、周囲を無差別に襲ってしまう。
太宰君が早く戻ってくるのを願いたいけど━━。
「━━まだ帰ってこなさそうだな」
敦君は探偵社に入り、異能力をそこそこ扱えるようになった。
その為、彼を止めようにも一筋縄ではいかない。
「くっ……」
「ルイスさん!」
脇腹にキツい一撃が入って、床を転がる。
僕が弱くなっているのもあるだろうが、どうしても虎の速度についていけない。
立ちあがろうにも、うまく力が入らなかった。
その間に、ナオミちゃんへと拳を向ける。
もう僕は眼中にないのだろう。
どうにか立ち上がった頃、敦君は彼女の首を絞めていた。
虎の握力は物凄いし、今は力のリミッターが少し外れている。
「……女性に手を上げるのは、感心しないねぇ」
僕は急いで敦君に蹴りを入れ、興味を向かせる。
多分、本能的に僕から先に潰そうとする筈。
「見ろ! 此れが僕だ! 僕の力だ!」
先程と比べ物にならない速度。
避けることができず、首が絞められた。
苦しいけど、ナオミちゃんや春野さんにされるよりは数倍マシだ。
でも、もう意識が━━。
「止めるんだ敦君! よく見ろ!」
え、と首から手が離れる。
地面へと落ちた僕は咳き込みながら、しっかりと息をした。
ナオミちゃんも春野さんも、大した怪我はない。
まぁ、心がどうかまでは分からないけど。
「やめろ! やめろおおおォォッ!」
「嫌ぁぁぁっ!」
敦君が無差別に攻撃をする。
虎の爪は近くの柱へと当たり、建物は物凄い音を立てる。
すぐさま異能力で対応したのはいいが、まだ精神が不安定だ。
これ以上は、難しい。
「消えろ」
--- 『|人間失格《ニンゲンシッカク》』 ---
「だ、ざいくん……」
「人形も、敦君の痣も消えました。もう大丈夫です」
その言葉を聞いて一安心する。
「太宰さんの新しいお友達、ずいぶん壊れやすいんだね。けどいいんだ、太宰さんを壊す楽しみが残ってるもの☆」
「それはおめでとう」
「僕を閉じ込めたお礼に、いっぱい苦しめて壊してあげるね」
「よく憶えているよ。君ひとり封印する為に大勢死んだ。けど、次は封印などしない。心臓を刳り抜く」
「ふふふ。また遊ぼうね、太宰さん☆」
列車が発車し、その姿は遠く小さくなっていく。
その頃にはもう、僕も落ち着いていた。
「私も策の清濁に拘っている場合ではない……か」
何をしようとしているのかは、聞けなかった。
どこにも属さないと決めたのは、僕自身だから。
だからもう、行った方がいい。
「行くよ、敦君」
「……。」
「立つんだ」
駄目だ、と敦君は顔を覆う。
「僕は駄目だ……僕は居ちゃいけなかったんだ……」
その気持ちは、よく分かる。
でも、僕達から過去を取り上げることはできない。
「自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」
「……。」
「さぁ、そろそろ反撃といこう。こちらも手札を切るよ」
一番は、と言った太宰君と目が合う。
でも僕は笑うだけにした。
手を貸すのは、これで最後になるから。
太宰君が切ろうとする鬼札は、容易に想像できる。
「この戦争に、政府機関を引き摺り込む」
次回予告。
僕の名前は夢野久作。皆からはQって呼ばれてるよ。
それにしても、太宰さんの新しいお友達はずいぶん壊れやすかったな。
多分だけど、あの金髪の人の狂気はもっと──。
……ふふふっ、早く見てみたいな。
え、次回予告しないと駄目なの?
次回、英国出身の迷ヰ犬
episode.17 少年と少女
次回も見てね☆
そういえば僕って少年なのかな?少女なのかな?