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episode.11
四期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
--- episode.11 |少年と平和な日《boy and peaceful day》 ---
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ルイスside
何故、僕はまだ日本に滞在しているのか。
これという理由はない。
ただ傍観者として、彼らの行く末を見守りたくなったのだ。
面倒ごとに巻き込まれるのは分かっている。
でも、興味の方が勝ってしまった。
「……僕も変わったな」
うずまきのカウンター席で、僕は珈琲を飲んでいた。
相変わらず万事屋は再開する予定はない。
もう宿を取るの面倒くさいから、福沢さんにでも頼んで社員寮に泊まらせてくれないかな。
「──あの」
そんなことを考えていたら、背後から声を掛けられた。
ゆっくり振り返ると、そこには鏡花ちゃんが。
「僕に何か用かい?」
「この前のこと、お礼できてなかったから」
お礼なんて必要ない、と伝えたが彼女が引く様子はなかった。
この前、って船上での件だよな。
鏡花ちゃんなら、僕がいなくてもどうにかなったような気がするけど。
まぁ、素直に礼は受け取っておくことにした。
「敦君は?」
「市警の依頼に行ってる。走行中の車が爆発したって」
「これまた面倒くさそうな依頼だこと」
先程、建物に箕浦さんが入っていく姿を見た。
市警っていうのは彼のことだろう。
流石にポートマフィアの仕業じゃないだろうし、何処かのギャングだろうな。
何か飲むか鏡花ちゃんに尋ね、珈琲のおかわりを頼むついでに注文する。
お金を払おうとするが、受け取るつもりはない。
「もう君の人相の手配書きは市警内で共有されていると思うけど、大丈夫だった?」
「社長が、孫娘だって」
あぁ、なるほどね。
確かに無言で圧をかけにくる所とか似てる気がする。
孫と言われたら、納得してしまうことだろう。
「ルイス、さんは何者なの?」
鏡花ちゃんの質問に、僕は少しだけ考え込む。
万事屋は休業しているし、過去のことを話す訳にもいかない。
「……マフィアにいた時に何か聞いてないの?」
「うん。でも元々ポートマフィアにいた?」
数年前のことだけどね、と僕は小さく笑う。
話を聞いていると、色々と先日までのマフィアについて知ることが出来た。
電車の時、鏡花ちゃんと梶井基次郎という爆弾魔の目的は敦君。
しかし第二の目的は僕だったらしい。
マフィアに戻ってきてもらう為、という話を少し聞いたという。
「万事屋として、殺し以外なら何でもしてたんだよね。それで三年ぐらいポートマフィアと契約してた」
「何故、殺しだけはしなかったの?」
「……それはね」
「鏡花ちゃん! それにルイスさんも!」
そんな声が聞こえたかと思うと、敦君がいた。
気づけば、もう日が暮れ始めている。
もう依頼は終わったのだろう。
「君はまだゆっくりしていきなよ。マスター、これお釣りはいらないから」
「あの、飲み物代──」
大丈夫だよ、と僕は立ち上がって扉を抜ける。
硝子に、鏡花ちゃんが頭を下げる姿が映っていた。
「さて、と……彼の様子でも見にいくかな」
そう呟いた僕は、ある場所に向かい始めた。
ポートマフィアが先日解体させた組織──カルマ•トランジェットの残党が潜伏する倉庫。
芥川君が目覚めない今ほど、報復に適した時はない。
僕の予想では、この倉庫の奥にいる筈だ。
彼個人を襲った密輸屋に対し、マフィアは組織をあげて反撃しない。
他組織に飛び火して大規模抗争になる恐れがあるからだ。
あの人の最適解は、《《芥川君を切り捨てる》》。
太宰君が彼らを引き合わせた理由はわからないけど、こんなところで死ぬには惜しい。
借りを作っておくことも悪くない気がする。
「……?」
見たことのある女性が、そこにはいた。
確か樋口さん、だっただろうか。
芥川君の救出には来ないと思っていたけど、これは予想が外れたな。
「そんな震えた状態じゃ誰も助けられないよ」
「あ、貴方は──!?」
Shh……と僕は口に指を添える。
こんなところで大声を出したら、自分はここにいると言っているようなもの。
「君の独断で助けに来たってところか。まぁ、仲間を助けたい気持ちは理解できる」
「どうしてここにいるんですか、ルイス•キャロル」
「目的は一緒だよ。だから少しだけ手を貸してあげる」
誰にも言わないでよね、と一応念を押しておく。
彼女に手を貸すということは、マフィアに手を貸すことと同じだ。
自身の判断で上司を助けに来た彼女を、僕は尊敬しよう。
「手を貸すって、殺しはしないのでは?」
あぁ、と僕は即答する。
それだけはどうしても出来ないからね。
でも元軍人を舐めないでもらいたい。
銃を持った人間なんて、僕の異能力の前では意味をなさない。
黒蜥蜴が探偵社を襲撃した時に知った、と思っていたけど。
「君が怪我しないようにサポートぐらいはしてあげる」
「……そうですか」
僕は閃光弾を一つ|異能空間《ワンダーランド》から取り出して、倉庫へ投げ入れる。
白い明かりが倉庫から溢れた。
それをきっかけに、樋口さんは銃を構えて建物へ入っていく。
銃声が屋内に響き渡る。
窓から入って銃撃戦を眺めていると、一人の傭兵が背後へ忍び寄っていた。
これはマズい、と異能力を使って助けようとした。
しかし、|不思議の国のアリス《alice in wonderland》では助けることができない。
樋口side
背後から銃声が聞こえた。
振り返ろうとしたが、その瞬間に視界が奪われる。
(煙幕か!)
どうしようか迷う暇もなく、私は誰かに腕を引かれた。
もつれそうになる足をどうにか動かしていると、煙が晴れてくる。
目の前には、《《足から血を流す》》ルイス•キャロルがいた。
「まさか、先程後ろから聞こえた銃声から……」
「今考えると、銃を蹴り飛ばせばよかったな」
何で私なんかを、と思っていると足音が近づいてくる。
ルイス•キャロルの足から流れた血が、床に残っているのだろう。
銃を構え直し、私は覚悟を決めた。
玉砕しても構わない。
私は芥川先輩を──!
バンッ、と扉の開かれる音が聞こえた。
「知らねぇ顔は全員殺せ!」
視線を向けると、そこには黒蜥蜴がいる。
首領から奪還命令は出ない筈。
「貴女は我々の上司だ。上司の危機とあっては、動かぬ訳にもいくまい」
黒蜥蜴の協力もあって、すぐに殲滅することは出来た。
静かになった倉庫の奥から小さく声が聞こえる。
光の漏れている方へ向かうと、酸素マスクのついた芥川先輩がいた。
「……樋口か」
「先輩……血が」
頬についた血を拭おうとするが、少し昔のことを思い出してしまった。
『お前の扶けなど要らぬ、誰の扶けも』
芥川先輩は私の扶けなど必要としていない。
狼煙を上げ、ずっと一人で誰かを探していらっしゃる。
拭うことを止めた手を、先輩の手が触れる。
「……済まんな」
「……仕事ですから」
判っていた。
私がこの仕事に向いていないことも、部下が私に敬意を払っていないことも。
|組織《マフィア》を抜けることは容易ではない。
しかし前例もあるので不可能ではなく、実際何度も考えた。
それでも私がそうしなかったのは──。
「黒蜥蜴、本当に助かりました……って」
「ジィさんなら煙草を吸いに行ったぜ。ついでに車を回してくるって」
そうですか、と私は言って倉庫内を歩き始めた。
あの人の姿が見当たらない。
黒蜥蜴に殺された、なんてことはないでしょう。
でも、まだお礼が言えてないのにな。
ルイスside
もう結構遅い時間だから、与謝野さんを訪ねるわけにはいかない。
黒蜥蜴がやってきた僕は少し離れた海岸へ来ていた。
「──ッ」
応急措置でしかないが、傷口を包帯で縛ることにした。
歩くことは難しそうだし、こんな状態で泊まれる場所なんてない。
太宰君にでも迎えに来てもらおうかな。
そんなことを考えていると、足音が近づいてきた。
距離を取れなかったし、ポートマフィアしかありえない。
「こんなところに居たか」
「……広津さん?」
何で彼がここに、というか僕がいたことを何故知っているのだろうか。
「樋口君は怪我をしていないのに、近くには血痕が残っていた。そして君なら|マフィア《我々》を先回りしていてもおかしくはない」
流石、としか言いようがなかった。
ここに来るまでの血痕も辿ってきたのだろう。
もう銃声は聞こえないし、芥川君の救出も無事終わったのか。
「上司の危機を助けてくれたこと、感謝する」
お礼に、とあることを言われたが僕の方から断った。
確かに今すぐ脚の傷を治療したいけど、マフィア本部へは行きたくない。
「それではずっとここに居るつもりか?」
「……。」
一般人に見つかるほど面倒くさいことはないだろう。
もし銃弾が足に残っていたりでもしたら、中々面倒くさいことになる。
異能空間にいてもいいけど、あそこは時間が止まっている代わりに外の時間の流れが分からない。
マフィアに一度世話になった方が、色々と都合が良い気がしてきた。
「一台多く車は呼んであるが、どうする?」
「僕、加入はしないからね」
「首領も芥川君を助けてくれたとあれば、そう何度も言わないだろう」
広津さんはそう言うと、何処かへ電話をかける。
暫くすると黒い車が僕達を迎えに来た。
マフィア本部にそう離れていなかったので、数分もすれば着く。
しかし、歩こうにも体重が掛かる度にとてつもない痛みに襲われた。
どうしようか考えていると、首領が車椅子を持って出迎えている。
先に状態の説明はしてあったのだろう。
「思ったより早い再会になったね」
「僕も想像してなかったよ。銃弾が残っていないかと、一応効くか分からないけど鎮痛剤も出して」
もちろんそのつもりだ、と首領が本部へと入っていった。
車椅子に乗った僕に広津さんが手を貸してくれる。
「マフィアに入れ、と今は言わない。その代わりに一つ教えてもらってもいいかな」
手当てが終わった僕へ、首領はそんなことを言った。
一体何を聞かされるのか、少しばかり警戒してしまう。
しかし、彼の口から出た言葉は予想の遥か上をいっていた。
「君は何を恐れているんだい?」
「……どうしてそんなことを聞くのか、分からないね」
上手く誤魔化そうとしたけど、その程度の言葉しか出てこなかった。
戦争を経験して、万事屋として。
僕はここ数年の間に色々なものを見てきた。
大抵のことでは驚かなくなり、怖がることも減っただろう。
けれど首領の言う通り、僕は恐れていることがあった。
この感情が消えることは中々ないと思う。
「深く追求するつもりなら、今度は本物の銃で撃つよ」
「それじゃあ、やめておく事にするよ」
「手当て、ありがとうございました。今度こそ失礼します」
次回予告。
僕はルイス、ルイス•キャロルだ。
この選択が間違いではなかったと願いたいね。
それにしてもポートマフィア首領は観察力も高いらしい。
何に恐れているか、か。
まぁ、彼は知らなくて当然だろう。
そろそろ次回予告でもしようか。
次回、英国出身の迷ヰ犬。
episode.12 少年と組合
次回もお楽しみに。
……え、次回いよいよ彼が来るって?