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episode.6
三期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.5
https://tanpen.net/novel/40c2a6d9-d5e9-4026-9638-bd45a658f4d6/
episode.1
https://tanpen.net/novel/e752c164-a521-44bb-a134-69096a053749/
マフィアの武闘派集団──黒蜥蜴。
その襲撃を受けた探偵社は少し荒れていた。
「また殺人事件の解決依頼だよ! この街の市警は全く無能だねぇ。僕なしじゃ犯人ひとり捕まえられない」
ニッ、とその男は笑った。
片付けをする社員や事務員だが、彼は鼻歌混じりの軽やかな足取りで室内を歩いている。
「でもまぁ僕の『超推理』は探偵社、いやこの国でも最高の異能力だ! 皆が頼っちゃうのも仕方ないよねぇ!」
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--- episode.6 |少年と探偵《boy and detective》 ---
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ルイスside
「乱歩さん。その足元の本、横の棚に戻さないと」
これは失礼。
そう言った乱歩は避けて本のあるべき場所を指差した。
何故自分で片付けないのか、という表情を浮かべる敦君。
対して国木田君はサッと拾い、棚へとしまった。
「頼りにしています、乱歩さん」
「そうだよ国木田。きみらは探偵社を名乗っておいて、その実猿ほどの推理力もありゃしない」
あーあ、と僕はため息を吐いた。
これ長くなるやつだ。
「皆、僕の能力『超推理』のお零れに与っているのうなものだよ?」
「凄いですよね、『超推理』。使うと《《事件の真相が判っちゃう能力》》なんて」
「探偵社、いえ全異能者の理想です」
あ、国木田君達が強制的に終わらせた。
「小僧、ここは良いから乱歩さんにお供しろ。現場は鉄道列車で直ぐだ」
僕なんかが、と乱歩の助手を重荷に感じているようだった。
しかし、助手などいらないと彼は言う。
「え? じゃあ何故」
「僕、列車の乗り方判んないから」
二人が探偵社を出て、数分が経った。
片付けは終わり、襲撃前にしていた資料整理の続きを始める。
そういえば敦君って電車乗れるのかな。
まだ横浜の街に来てから日が浅いけど大丈夫だろうか。
「──はぁ」
苦情の対応に忙しい国木田君がため息を吐いていた。
「誰か、手の空いている奴はいないか」
「どうされたんです?」
「小僧が迷子になったらしい」
おっと、フラグになってしまったか。
全員忙しく、動ける人はいなさそうだな。
「僕で良ければ行ってくるよ」
「……すみません。ルイスさんは探偵社員ではないのに」
気にしないで良いよ、と僕は笑う。
資料整理の引き継ぎをしようとする国木田君だったが、生憎と全て終わっている。
目を丸くする国木田君は放っておいて、探偵社の扉を抜けるのだった。
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乱歩side
「まさかきみも駅までの道が判らないとは!」
アッハッハ、と僕は大声で笑う。
「す、すみません……」
「全部がきみのせいというわけではないだろう。この街に来て日の浅いきみに僕のお供を命じた、国木田も悪い」
そんな事を話していると、新人くんの携帯が鳴った。
誰からの電話かは、画面を見なくても分かる。
「──はい、分かりました」
現在、僕達がいる場所を説明するのは難しかったのだろう。
周りに見えるものを、彼は電話の相手に説明していた。
さて、と僕は笑みを浮かべる。
《《彼》》の異能力ならすぐだと思うけど、あまり使いたがらないからな。
「ごめん、待たせたね」
「ルイスさん!」
「意外と早かったじゃん」
どうやら、僕達はあまり探偵社から離れていなかったらしい。
「それじゃあ、敦君は駅までの道をちゃんと覚えてね」
「は、はい!」
ルイスside
結構時間が掛かっちゃったな。
先方、と言っても警察だからそこまで文句は言われないと思うけど──。
「遅いぞ探偵社!」
「ん、きみ誰? 安井さんは?」
箕浦、と名乗った警官は何処か余裕がないように見えた。
そちらが呼んだから来たのに不要と言われ、思わずイラついてしまう。
しかし、そんな僕とは違って乱歩は堂々と言った。
「莫迦だなぁ。この世の難事件は須く名探偵の仕切りに決まっているだろう?」
「抹香臭い探偵社など頼るものか」
「何で」
「殺されたのが──俺の部下だからだ」
納得した。
部下が殺され、平常心でいられる人は中々いない。
僕も戦争で仲間を殺され、何度も涙を流したからよく分かる。
「ルイス」
「……あぁ、ごめん。少し考え事をしてた」
だろうね、と乱歩は僕の顔を見るなりため息を吐いた。
人の顔を見てため息を吐くのはどうなのだろうか。
でも、昔を思い出していた事が表に出ていたような気がする。
そんなことを考えていると、被害者の状態を確認することになった。
「今朝、川を流れている所を発見されました」
「……ご婦人か」
色々と情報が多いな。
ご遺体に損傷はあまりなく、メイク崩れはしていない。
時計は水没しており、時刻は6:00過ぎを指している。
「胸部を銃で三発。それ以外は不明だ。殺害現場も時刻も、弾丸すら貫通しているため発見できていない」
「で、犯人は?」
「判らん」
職場での様子を見る限り、特定の交際相手などはいないらしい。
それ、と乱歩は外していた帽子を被る。
「何も判ってない、って云わない?」
「だからこそ、素人あがりの探偵になど任せられん。さっさと──」
「おーい、網に何か掛かったぞォ」
どうやら、証拠が流れていないか川に網を張って調べているらしい。
そんなことをしなくても、乱歩は犯人の目安ついているんだろうな。
「ひっ、人だァ!」
「人が掛かってるぞォ!」
まさか第二の被害者じゃ、と焦る周りの人達。
川を流れている、という点に関して一つだけ思い浮かんだことがある。
けど、まさかね。
「……ハァ」
僕はその人物の顔を見るなり、頭を抱えてしまった。
「やぁ敦君、仕事中? おつかれさま」
「ま……また入水自殺ですか?」
「独りで自殺なんてもう古いよ、敦君」
警察の人達は敦君達の会話を見て、呆れたような顔をしていた。
もちろん僕もそうだ。
「前回、美人さんの件で実感したよ。矢っ張り死ぬなら心中に限る! 独りこの世を去る淋しさの、何と虚しいことだろう!」
ぞわっ、って背筋がなった。
本当にヤバい奴と化していないか、太宰君。
「というわけでね、一緒に心中してくれる美人募集」
「え? じゃあ今日のこれは?」
「これは単に川を流れてただけ」
ドヤ顔で言うことじゃないでしょ。
太宰君は警察の人達に降ろしてもらい、簡単に今回の事件の内容を聞いていた。
その間にラムネを飲んでいる。
いつ、それに何処で買ってきたのだろう。
「何とかくの如き。佳麗なるご婦人が若き命を散らすとは……!」
何という悲劇、と太宰君は何か叫んでいる。
「悲嘆で胸が破れそうだよ! どうせなら私と心中してくれれば良かったのに!」
「……誰なんだあいつは」
「同僚である僕にも謎だね」
流石に失礼すぎるので一発殴ろうかと思った。
けど、止めておくことにする。
乱歩が被害者の無念を晴らすと何故か自信満々に言っている太宰君。
しかし、未だに依頼は受けていない。
「君、名前は?」
「え? じ、自分は杉本巡査です。殺された山際女史の後輩──であります」
ポン、と乱歩は杉本君の肩に手を置く。
そして《《60秒でこの時間を解決しろ》》と中々難しい事を言った。
いきなりそんな事を言われたら当然、一般人なら焦るわけで。
刻々と時間は過ぎていく。
「そ……そうだ。山際先輩は政治家の汚職疑惑、それにマフィアの活動を追っていました!」
へぇ、と思わず顎に手を添えた。
どちらも色々と面倒事には変わりないが、マフィアだったら少しおかしい点がある。
「そういえば! マフィアの報復の手口に似た殺し方があった筈です! もしかすると先輩は捜査で対立したマフィアに殺され──」
「違うよ」
「え……?」
杉本君の推理を遮ったのは、太宰君だった。
「マフィアの報復の手口は身分証と同じだ。細部が身分を証明する」
「彼等の手口はまず裏切り者に敷石を噛ませて、後頭部を蹴りつけ顎を破壊。激痛に悶える犠牲者をひっくり返して胸に三発……だったかな?」
「た、確かに正確にはそうですが……」
改めて口に出してみると、色々と苦しそうだな。
顎が破壊されてないところを見るに、マフィアに似ているけどマフィアじゃない。
「犯人の偽装工作!」
「そんな……偽装の為だけに、意外に二発も撃つなんて……非道い」
「ぶ〜!」
突然、乱歩が大声を出した。
杉本君はとても驚いているようだ。
もう一分が立ってるのか、と僕は懐中時計を見る。
「はい時間切れー。駄目だねぇ、君。名探偵の才能ないよ!」
「あのなぁ、貴様! |先刻《さっき》から聞いていればやれ推理だ、やれ名探偵だなどと通俗創作の読み過ぎだ!」
事件の解明は地道な調査、聞き込み、現場検証。
流石にこの茶番に付き合っていられなくなった箕浦さんは言った。
まぁ、確かに茶番には飽きてきたな。
「まだ判ってないの? 名探偵は調査なんかしないの」
乱歩の能力『超推理』は凄い。
一度経始すれば犯人が誰で、何時どうやって殺したか瞬時に判るのだから。
それだけでなくどこに証拠があって、どう押せば犯人が自白するかも啓示の如く頭に浮かぶらしい。
「巫山戯るな、貴様は神か何かか! そんな力が有るなら俺たち刑事は皆免職じゃないか!」
「まさにその通り、漸く理解が追いついたじゃないか」
煽るように乱歩は言う。
勿論、箕浦さんは平常心でいられるわけがない。
「まぁまぁ刑事さん、落ち着いて。乱歩さんは始終こんな感じですから」
「僕の座右の銘は『僕がよければすべてよし』だからな!」
「そこまで云うなら見せて貰おうか。その能力とやらを!」
おや、これは少し意外だ。
「それは依頼かな?」
「失敗して大恥をかく依頼だ!」
久しぶりに見るな、乱歩の異能力。
懐から出した眼鏡はとても年季が入っている。
「あっはっは。最初から素直にそう頼めば良いのに」
「ふん。何の手がかりもないこの難事件相手に、大した自信じゃないか。60秒計ってやろうか?」
「そんなにいらない」
笑みを浮かべる乱歩は、楽しそうに見える。
--- 『|超推理《ちょうすいり》』 ---
「……な•る•ほ•ど」
「犯人が分かったのか」
勿論、と乱歩は言った。
箕浦さんは未だに信じていないらしい。
どんな|牽強付会《こじつけ》が出るか気になっているようだ。
乱歩はクイッ、と腕を上げてある人物を指差す。
「犯人は君だ」
全員が指先にいる人物を見て目を丸くした。
指差されていたのは、杉本君。
「おいおい、貴様の力とは笑いを取る能力か? 杉本巡査は警官で俺の部下だぞ!」
「杉本巡査が、彼女を、殺した」
箕浦さんは声を上げて笑っているのに対して、乱歩はしっかりと杉本君を見ていた。
「莫迦を云え! 大体こんな近くに都合良く犯人が居るなど……」
「犯人だからこそ捜査現場に居たがる。それに云わなかったっけ? 『どこに証拠があるかも判る』って」
拳銃貸して、と乱歩は杉本君へ言う。
勿論、一般人に官給の拳銃は渡せる筈ない。
その銃を調べて何も出てこなければ、乱歩の推理は間違っていることに。
でも彼には自信しかないようだった。
「……ふん。貴様の舌先三寸はもう沢山だ。杉本、見せてやれ」
「え? で、ですが」
「ここまで吠えたんだ。納得すれば大人しく帰るだろう。これ以上時間を無駄にはできん。銃を渡してやれ」
杉本君は、黙り込んでいた。
それを見て乱歩は推理の続きを始める。
「いくらこの街でも素人が銃弾を補充するのは容易じゃない。官給品の銃であれば尚更」
「何を……黙っている、杉本」
「彼は考えている最中だよ。減った三発分の銃弾についてどう言い訳するかをね」
流石、としか言いようがない。
杉本君は銃弾の数をどう誤魔化すか必死に考えている事だろう。
しかし、彼は意外にも銃を取り出した。
そして近くにいた僕へと銃口を向けてきた。
「……死にたいとは思っているけど、そう簡単には|あの世《あちら》へはいけないんだ」
悪かったね、と笑いかければ少し戸惑いが見える。
仕方がないので銃を蹴り上げた。
そして太宰治に押された敦君が杉本君の身柄を拘束する。
一瞬、瞳が虎になっていたような気がした。
気のせいだろうけど。
「放せ! 僕は関係ない!」
「逃げても無駄だよ。犯行時刻は昨日の早朝。場所はここから140|米《メートル》上流の造船所跡地」
「なっ、何故それを……!」
「そこに行けばある筈だ。君と、被害者の足跡が。消しきれなかった血痕も」
やっぱり、乱歩は凄いな。
僕も杉本君が犯人なのは分かったけど、流石に正確な犯行時刻や、場所までは当てられない。
杉本君が色々と話してくれたことで、事件は解決された。
「凄かったですね乱歩さん!」
敦君がとても興奮している様子で僕達に語り掛ける。
しかし、太宰君は呟く。
「半分……くらいは判ったかな」
「判った、って何がです?」
「だから先程のだよ。乱歩さんがどうやって推理したか」
どうやら敦君はまだ知らないらしい。
「乱歩は能力者じゃないよ」
「へっ?」
「能力者揃いの探偵社では珍しい、何の能力も所持しない一般人なんだ」
それに、ああ見えて26歳。
見た目が子供らしい僕とは違って、言動が子供っぽいんだよな。
本人は眼鏡をかけると異能が発動すると思ってるんだっけ。
「でも……どうやって事件の場所や時間を中てたんです!?」
杉本君は『偽装の為だけに遺骸に二発も撃つなんて』と言っていた。
普通なら三発撃たれている死体を見たら“三発同時”も考える筈。
つまり、彼は解剖前なのに一発目で被害者が亡くなったことを知っていた。
まぁ、そんなこと犯人しか知らないよね。
犯行時間については、被害者の状態から想像できる。
遺体の損害は少なかったから川を流れていたのは長くて一日。
昨日は火曜で平日だと言うのに、彼女は私服で化粧もしていなかった。
激務で残業の多い刑事がそんな状態で亡くなったことを考えると、早朝とも推理できる。
「他の……犯行現場とか、銃で脅したとかはどうやって」
「そこまではお手上げだよ。乱歩さんの目は私なんかよりずっと多くの手掛かりを捉えていたのだから」
「あ、でも! 彼女の台詞まで中ててましたよね」
「それは僕にも判ったよ」
被害者には交際相手はいない、という話だった。
でも彼女のつけていた腕時計は海外の|銘柄《ブランド》。
独り身の女性が自分用に買う品じゃあないでしょ。
杉本君も同じ|機種《モデル》の紳士用だった。
「じゃあ……あの二人は」
「うん。早朝の呼び出しに化粧もせず駆けつける。そして同じ機種の腕時計」
二人は恋人同時だった。
しかも、職場には内緒だったのだろう。
「それに僕が『悪かったね』と言った時に戸惑いが見えた。普通の女の人が言うのなら『ごめんなさい』だろ?」
「な、なるほど……」
「流石はルイスさん。私はそこまで判らなかったよ」
マフィアの仕業にしようとしたけど、杉本君が最後まで出来なかった理由。
そりゃあ、彼女の顔を蹴り砕けるわけがないよね。
多分政治家も捕まるだろうし、一件落着かな。
「さて敦君、これで判ったろう?」
「何がです?」
「乱歩さんのあの態度を、探偵社の誰も咎めない理由さ」
おーい、と僕達を呼ぶ声が聞こえる。
遠くには手を振る乱歩と、箕浦さんがいた。
「駄菓子を途中で買って帰ろう!」
「そうですね、乱歩さん」
敦君と太宰君で先導するのを、僕達がついていく。
おすすめの駄菓子についての話を聞いていると、不意に乱歩が言った。
「まだ死にたいって思ってるんだね」
キョトン、と思わずしてしまう。
乱歩の表情は悲しそうにも、怒っているように見える。
銃を向けられた時にあんなことを言ってしまったからだろう。
「僕が生き残っていた意味が分からないからね。でも──」
--- |仲間《あの人》達の分まで、生きないと ---
そっか、と乱歩は帽子を深く被った。
僕はいつか心の底から生きたいと思える日が来るのだろうか。
胸を張って生きれる日は、来るのだろうか。
僕はこの宇宙一の名探偵、江戸川乱歩だ。
どうやらルイスはまだ死にたいと思っているらしい。
でも、昔より少し前を向けるようになったんじゃないか?
社長も僕も大歓迎なのに、やっぱり探偵社には入ってくれないんだって。
どうやら敦にしか用はないらしい。
七十億の懸賞金を懸けた組織について何か知っているようだけど……
次回、英国出身の迷ヰ犬
episode.7 少年と檸檬爆弾
次回も、ルイスの活躍を見ることをおすすめするよ。
てか、僕は探偵じゃなくて名探偵なんだけど!