公開中
episode.7
三期までの情報しかないはずです!
原作(漫画)を見ながら書いてます!
オリキャラ注意!
episode.6
https://tanpen.net/novel/95c7174a-2055-4729-a3c5-7291acf97a4a/
episode.1
https://tanpen.net/novel/e752c164-a521-44bb-a134-69096a053749/
ある繁華街。
そこで数日もの間、少女は一人で立っていた。
通りすがりの人々は全く彼女のことを気にかけない。
「お嬢ちゃん。ねぇ、誰か待ってんの?」
「……。」
酔っ払った男が声を掛けるが、少女は反応しない。
「こいつ、昨日から同じ|姿勢《ポーズ》だぜ。死んでんじゃね?」
「あっ、今|瞬《まばた》きしたよ」
男達を無視し続ける少女。
しかし、ある人影を見つけるなり人混みを掻き分けながら走る。
「うおっ、動いた!」
ある人物の服を少女が掴む。
砂色の長外套に、ぼさぼさの黒い蓬髪。
首や手に巻かれた包帯が印象的な男だった。
その男──武装探偵社の社員である太宰治はもちろん戸惑い、声を上げる。
「え? 私?」
「……見つけた」
少女がそう言うと、強い風が二人の足元から吹いた。
紫色の光が少女を包み込み、背後に何かの《《影》》が現れる。
「……これはまずい」
---
--- episode.7 |少年と檸檬爆弾《boy and lemon bomb》 ---
---
ルイスside
失礼しまーす、と僕が探偵社の扉を開くと何やら騒がしかった。
「あ、ルイスさん!」
「おはよう、敦君。慌てているようだけど、どうかしたの?」
話を聞くと、太宰君が行方不明らしい。
電話も繋がらず、下宿にも帰っていないという。
「また川だろ」
「また土中では?」
「また拘置所でしょ」
全員酷くないか、と思いながらも僕は太宰君へ電話を掛ける。
「しかし、先日の一件もありますし……真逆マフィアに暗殺されたとか……」
「阿呆か。あの男の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自殺未遂を重ねてまだ一度も死んでいない奴だぞ」
「自分でも殺せないのに、マフィアが殺せるわけないだろう?」
まぁ、あの|首領《ボス》のことだから、そう簡単に殺したりしないだろうけどね。
やはり電話には出なさそうなので切ることにする。
「でも……」
「ボクが調べておくよ」
背後から声が聞こえてきた。
振り返るとそこには、傷一つない谷崎君の姿が。
そういえば今日は悲鳴を聞いてなかったか。
本当に数日掛かったんだな、治療。
もう完全回復かと思っていると、国木田君の質問で顔が真っ白になった。
「谷崎、何度解体された?」
「……四回」
あー、と乱歩達は納得しているようだった。
解体って何のことだろうか。
でも確か、太宰君の話だと異能発動に条件があるんだっけ。
「敦君、探偵社で怪我だけは絶ッ対にしちゃ駄目だよ」
「──?」
「今回はマフィア相手と知れた時点で逃げなかった谷崎が悪い」
ルイスが通りかかったから良かったけど。
そう言った乱歩は谷崎君を指差した。
「マズいと思ったらすぐ逃げる。危機察知能力だね。例えば……」
今から10秒後、と乱歩は時計を見ながら言った。
「ふァ〜〜あ、寝すぎちまったよ」
「与謝野さん」
「あぁ、新入りの敦だね。どっか怪我してないかい?」
「大丈夫です」
ちぇっ、と舌打ちをした与謝野|女医《せんせい》。
ふと辺りを見渡すと乱歩達が見当たらない。
何処へ行ったのか探してみると、机の影でコソコソと手招きをしていた。
どうして隠れているのか、とりあえず近くへ行ってみることに。
「ところで、誰かに買出しの荷持ちを頼もうと思ったンだけど……アンタしか居ないようだねェ」
「え!?」
敦君は半強制的に、与謝野女医に連れてかれて行った。
なるほど、これが危機察知能力か。
「さて、谷崎君の元気な姿が見れたから僕はもう行くかな」
「……暫く戻ってくる気はないんだね」
「え、そうなんですか?」
谷崎君の言葉に、僕は小さく微笑む。
元々こんな長居する予定じゃなかったし、太宰君のことが少し気になる。
本来の目的であった人物も帰国するからだろうしね。
「福沢さん達によろしく伝えといてくれ」
また機会があったら、と僕は探偵社の扉を抜けるのだった。
そして、放置していた携帯を懐から取り出す。
ずっと非通知から着信が来ている。
この携帯の番号を知っている人物は、そう多くない筈なんだけどね。
そんなことを考えながら、私は電話に出るのだった。
「……もしもし」
『私だ。先日は世話になったな』
珍しいな、と思いながら僕はエレベーターの釦を押す。
「広津さんですか。一体何の用ですか?」
『太宰君について話があるのだが、時間はあるかな?』
「ありますよ。今からなら幾らでも」
『そうか。彼はポートマフィア暗殺者によって捕えられ、手枷のついた状態で地下にいる』
「あー、裏切り者が拘束される場所ですね」
流石だな、と広津さんは言う。
首領から依頼を受けて数年の間、マフィア本部で働いていたからね。
「それで、また依頼ですか?」
『話が早くて助かる。詳細は首領から──』
「申し訳ないんですけど僕、現在休業中なので依頼は受けれません」
『……探偵社に入ったからかい?』
おっと、と僕は思わずエレベーターを降りたところで足を止めた。
広津さんとは違う男の声。
声の主が誰かは一瞬で理解した。
「ずっと思ってたんだけど、僕は探偵社に入ってないからね?」
『おや、ならどうして事務作業をしていたり広津さん達を返り討ちにしたんだい?』
「どうせ言っても信じてくれないでしょ」
信用されてないね、とその男は笑う。
ここで何か言ったとして、相手にはただの嘘にしか聞こえない。
あと敦君に用があったと言えば、例の組織との関係を疑われてしまう。
それが一番面倒くさい。
「とにかく、何でも屋は休業中なので依頼は他の人に──」
『太宰君を解放すると言ったら?』
「……どういうこと」
『そのままの意味だよ。君が無事に依頼を達成したら太宰君を解放してあげよう』
呆れすぎて、ため息を吐くことも出来なかった。
「僕は交換条件を出されても動きませんので。それでは失礼します」
ピッ、と半強制的に通話を終了する。
《《あの》》太宰君が不運と過怠で捕まるとは思えないけど、何を考えてるか分からない。
そもそも、彼を捕まえることが出来るほどの実力者がいるのだろうか。
現在のマフィアは、僕がいた頃とは全然違う構成員達がいるんだろうな。
「……とりあえず向かうか」
敦side
買い出しを|付き合わされて《お手伝いして》数時間。
僕は沢山の荷物を両手いっぱいに持たされていた。
「ま、まだ購うんですか?」
「落とすンじゃないよ?」
落としたら、と笑みを浮かべる与謝野さん。
苦笑いを浮かべることしか出来ない。
その時、和装の少女とすれ違った。
一瞬目が合ったけど、すぐに逸らされてしまう。
「……?」
何か引っ掛かっていると、近くを歩いていた女性とぶつかってしまった。
持っていた荷物は散乱して、紙袋の中に入っていた檸檬はコロコロと道を転がっていく。
「ウォウッ!?」
そんな声がした方を見てみると、中年男性が檸檬で転んだようだった。
わなわなと震える男性に駆け寄った僕は、すぐに声を掛ける。
「大丈夫ですか!」
「どうしてくれる。|欧州職人《おうしゅうデザイナー》の特別誂えだぞ!」
「す、すみません、本当に……」
「ご容赦を。お怪我は?」
与謝野さんが、スッと男性の汚れを払う。
ニコッ、と笑っている姿を見て、素直に凄いと思った。
しかし男性は足で与謝野さんの手を払った。
「五月蝿い! 女の癖に儂を誰だと思ってる!」
どうしようか戸惑う僕。
でも、与謝野さんは自分へ向けられた指を持って少し笑っていた。
「そいつは恐れ入ったねェ。女らしくアンタの貧相な××を踏み潰して××してやろうか?」
「……ッ!」
与謝野さんの言葉を聞いて、男性は逃げるようにその場を去った。
それから少しして、僕達は電車に乗っていた。
「済みません、さっきは」
「気にするこたァないよ。ところでアンタ、マフィアに脚を喰い千切られたそうじゃないか」
あぁ、と僕は芥川に右足を喰われたときのことを思い出していた。
ルイスさんが助けに来てくれたから助かったのに、ちゃんとお礼を言えてないな。
帰ったら伝えないと。
「ふぅん、綺麗なモンだねェ」
「ぎゃい!?」
いきなりズボンを捲られ、足を見られる。
色々とされ、とてもくすぐったい。
「あ、あの、何か問題でも?」
「別に。|妾《アタシ》が治療できなくて残念だ、ッて話さ」
でも次はないよ、と与謝野さんは言う。
前回は探偵社に正面から来て自滅していたけど、マフィアは奇襲夜討が本分。
何時どこで襲ってくるか分からない。
マフィアの狙いは僕。
もし一人の時に教われたとしても、探偵者の誰かがいたとしても。
結局、自分の身は自分で守るしかない。
『あァ~、こちら車掌室ゥ』
突然アナウンスが流れ始めた。
『誠に勝手ながらぁ? 唯今よりささやかな〝物理学実験〟を行いまぁす! 題目は〝|非慣性系《ヒカンセーケー》における|爆轟反応《バクゴウハンノー》および|官能評価《カンノーヒョーカ》〟っ! 被験者はお乗りあわせの皆様! ご協力まァ~っことに感謝!』
早速ですがぁ、これをお聞きくださぁ~い。
そんな言葉が聞こえたかと思えば、大きな揺れに襲われる。
トンネル内だからか、爆発音がとても反響していた。
ルイスside
『今ので2、3人は死んだかなぁ~? でも次はこんなモンじゃありません! 皆様が月まで飛べる量の爆弾が、先頭と最後尾に仕掛けられておりまぁ~す!』
テンション高いな。
そんなことを考えながら、僕は乗っている車両に怪我人がいないかを確認した。
音的に、爆発したのは前方車両。
どうやら脱線するほどの威力にはしなかったらしい。
『さてさて、被験者代表の敦くん! 君が首を差し出さないと乗客全員、天国に行っちゃうぞぉ~?』
まぁ、予想通り犯人はマフィアだよね。
そんなことより、この電車に敦君が乗ってるのか。
つまり与謝野さんも近くにいるな。
ここで手を出せば探偵社の味方と認識されてしまうことだろう。
二人なら大丈夫な気もするけど、一応手を貸せるようにはしておこうかな。
「それにきても、凄い覚悟──否、執着だな」
一般人も乗ってる白昼の列車に自爆紛いの脅迫。
敦君に対して、物凄い執着じゃないだ。
「通らせてくれ!」
「──!」
予想通り、与謝野さんがいた。
先頭車両の爆弾を止めるつもりなのだろうか。
「……うるせぇな」
逃げ惑う一般人の叫び声に混ざって聞こえたその声を、僕は聞き逃さなかった。
あまりにも落ち着きすぎている。
まさか、逃げてくるであろう真ん中の車両にも爆弾はあって、マフィアが紛れ込んでるのかもしれない。
その可能性を考えると、僕が動かないといけないかもしれないな。
多分、敦君は最後尾の爆弾へ向かっているはず。
「とりあえず、マフィアを見つけないと」
辺りを見渡したが、パッと見た感じでは誰も怪しくない。
正確に言うなら、人が多すぎて全員の様子を見ることが出来ない。
どうしたら、と僕は頭を悩ませる。
「──!」
何か、固いものが背中に突きつけられた。
あの状況で声が聞こえたということは、あまり遠くにはいない。
気付くのが遅かった。
少し振り返ると、そこには一人の男がいる。
背丈はそこまで変わらないだろうか。
「久しぶりだな、ルイスさん」
「あぁ、なるほど」
わざわざ僕を捕らえるために彼を使うなんて、首領も嫌なことするな。
それにこの状況では異能力を使うことも出来ない。
突然姿を消したら不自然すぎる。
「確かに久しぶりだね。最後に会ったのは六年前かな?」
マフィアが紛れ込んでいる、とは言ったけど構成員と思っていた。
《《五大幹部》》の一人だと誰が予想しただろうか。
「首領の命でアンタを捕らえに来たぜ」
「敦君──否、人虎は良いの? 流石に爆破されたら死ぬと思うけど」
「さぁな、俺は特に聞いていないが大丈夫じゃないか?」
適当すぎないか、と思いながらも僕は手を後ろへ回す。
背中に突き付けられたのは拳銃だな。
一般人が巻き込まれることは避けたいし、大人しく着いていくしかないか。
探偵社の与謝野晶子と申します。
それにしても、マフィアはやっぱり凄い執着だねぇ。
先頭車両で待ってるのがどんな奴か知らないけど、爆弾は解除させないと。
もし入った瞬間に爆撃されても妾の異能力なら──。
おっと、次が先頭車両だね。
次回、英国出身の迷ヰ犬。
episode.8 少年と暗殺者
次回も、どうぞお楽しみに。
さて、敦も着いた頃だろうし一仕事頑張るとするかねぇ。